VRの普及の前夜となった2015年、VRで起きたことを振り返る【前編】

2014年末、VRに関して起きた1年間の出来事を振り返る記事(当時はもぐらゲームス)で、「2014年はVR(バーチャル・リアリティ)の幕開けとも言える1年だった。」と振り返りました。

しかし、いま改めて振り返ると2014年は助走の途中。2016年にVRデバイスが一気に発売されることが分かった2015年はまさにVR普及の前夜とも言える年になりました。

Mogura VRがVR専門メディアとしてもぐらゲームスから独立しオープンしたのは、2015年2月のことです。10ヶ月間で更新した記事は500以上。ニュース、コンテンツ紹介を中心に記事を配信してきました。

2015年の締めくくりとして、今年1年間、VR(そしてAR)について起きた出来事を振り返ってみることにしたいと思います。今回はその前編(1~6月)です。

後編はこちら

ハードもソフトも全てがオープンソースな「OSVR」発表

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年明けにラスベガスで開催された家電の見本市CESにて、Razer社はオープンソースのVRプラットフォームOSVRを発表しました。自由に改造できるOSVRベースのVRヘッドセット「OSVR Hacker Dev Kit」を展示。7月から出荷を開始しています。

このOSVRには、様々な周辺機器やソフトウェアデベロッパーも参加しています。5月には後述するSteam VRのValve社も参加し、12月時点でパートナー企業は300を超えています。日本ではほとんど注目されていませんが、今後大きな動きとなる可能性があります。

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マイクロソフト、HoloLens発表

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1月21日に開催されたプレスイベントで、Microsoftはヘッドマウントディスプレイ(HMD)「HoloLens」を発表しました。このHoloLensはVRデバイスというよりは、現実空間にホログラフィックを投影するAR/MRデバイスです。

Microsoftはその後も、HoloLensを使った様々なデモやゲームの様子などをカンファレンス等で発表してきました。一般販売の時期は明らかになっていませんが、2016年第1四半期にはいよいよ開発者版が出荷されます。

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360度動画の共有サービス「ハコスコストア」オープン

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1月22日、手軽なスマートフォン向けVRデバイス「ハコスコ」を開発・販売する株式会社ハコスコは、360度コンテンツを手軽にアップロード、視聴できるハコスコストアをオープンしました。現在はスマホアプリ「ハコスコ」からも対応。さらに様々な公式チャンネルが開設されています。今後は、有料でのコンテンツ販売ができる機能も実装するとのことです。

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Steam VR、HTC Vive発表

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2月末から3月頭にかけて、VR関係者に衝撃的なニュースが報じられました。世界最大のPCプラットフォームSteamを運営するValve社がVRシステムSteamVRを発表、数日後にスマホメーカーのHTCがその1号機であるHTC Viveを開発していることを発表しました。

それまでPC向けのハイエンドのVRHMDはOculus Riftが圧倒的な存在であり、同様のスペックを誇るものとしてはPS4向けのPlayStation VR(Project Morpheus)が発表されていた状況でした。第3の有力なVRHMDとしてOculus Rift製品版とほぼ同性能のHTC Viveが登場したことで衝撃が走りました。さらにLighthouseと呼ばれる独自のポジション・トラッキングシステムにより、4m×3mという広範な範囲を正確に動くことができ、他のVRHMDではできない体験が可能です。

発売は当初2015年内としていたところ、HTCは需要なブレイクスルーを実装するため、2016年4月の出荷となることを発表しています。

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SCE Project Morpheus製品版プロトタイプを発表

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3月頭にサンフランシスコで開催されたGDCにて、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、PS4向けVRHMD「Project Morphrus」(後にPlayStation VR)の製品版プロトタイプを発表。発売時期を2016年上半期とし、スペック等を明らかにしました。
その後、6月のE3、9月の東京ゲームショウ、11月のParis Game Week、12月のPlayStation Experienceで次々と展示、既存のゲームタイトルのVR対応を含め、様々なタイトルをPlayStation VR向けに用意していることを明らかにしています。

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Youtube、360度動画の再生対応

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3月、Youtubeが突如360度動画のアップロード、再生に対応しました。ブラウザ上ではドラッグによって、またスマホではスマホを傾けると360度を見回すことができます。その後、6月にはAndroidスマホではGoogle Cardboardで視聴できるVRモードが搭載。さらに、11月には立体視可能なVR動画の再生にも対応したほか、通常のYoutube動画をVRで大画面で見ることも可能になっています。

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VRコンソーシアム発足

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4月、日本のVR業界を盛り上げるべく、ハコスコのCEO藤井直敬氏らが中心となり、初の業界団体一般社団法人VRコンソーシアムが設立されました。

5月には日本のコンテンツを集めて表彰するVRCクリエイティブアワードを実施、10月には情報共有を目的とした年に1回のVRCカンファレンスが開催されたほか、小規模なワークショップが開催されています。

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Unite2015でパルマー・ラッキーが来日

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4月、ゲームエンジンUnityの開発者イベントであるUnite Tokyo 2015にOculusの創業者パルマー・ラッキー氏が来日。基調講演で日本の開発者に「VRコンテンツを開発するなら今だ」とエールを送るとともに、交流しました。

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ニコニコ超会議が開催、デジアイの初音ミクVR Special LIVEが人気

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幕張メッセでニコニコ超会議が開催され、企業ブース・ユーザー企画ブースにはOculus Rift等を使った展示が多数出展されました。特に注目を集めていたのは、ロートデジアイブースの「初音ミクVR Special LIVE」。10人同時にVR空間でライブを楽しめるというもので、その先進的な試みと、目の前で歌って踊るだけでなく目まで合わせてくれるミクさんには、次世代のライブの到来を予感させられました。

当コンテンツは、ハコスコストアにて公開されたほか、Gear VR向けにはVR Cruiseアプリ内で体験可能です。

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Gear VR Innnovator Editionの発売

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Oculusとサムスンが共同開発したモバイルVRHMD「Gear VR」、開発者とアーリー・アダプター向けとなるInonvator Editionが4月には日本でも発売されました。コンテンツが海外を中心にリリースされ続け、11月(日本では12月)には一般消費者向けの製品版が発売されています。

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Gear VR向けコンテンツのコンテストOculus Mobile VR Jamの開催

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4月から5月にかけてOculusは、Gear VR向けのアプリを制作するコンテストOculus Mobile VR Jamを開催しました。日本からも開発者が参加しましたが、入賞には至らず。入賞した作品の多くは、現在Gear VR向けにOculus Storeより配信されています。

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VRアトラクション施設The VOIDが登場

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5月、アメリカのユタ州にVRHMDを使い、現実の施設と連動させたVRアミューズメント施設「The VOID」が建造されることが発表されました。ユタ州だけでなく全米、世界中への建設も視野に入れており、使用するVRHMDも高性能ということでどのような体験になのか気になるところです。

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Oculus、製品版Rift&Oculus Touchを発表、Riftの発売時期は2016年第1四半期

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5月から6月にかけて、長らく沈黙を保っていたOculusから製品版(正式名称:Rift)に関する情報が公開されました。出荷時期は2016年第一四半期という情報のほか、スペックや必要となるPCのスペック等も明らかになっています。6月のE3直前に開催されたOculus主催のイベントでは、デザインのほかXbox Oneコントローラーの同梱やWindows 10のサポート、そして手の動きをVR内で実現するOculus Touchの発表がありました。

当初2015年中とされていた予約の開始は2016年の年明けと発表されています。

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アイ・トラッキング可能な日本製VRHMD「FOVE」がkickstarter、72時間でゴール

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5月から6月にかけて日本発のVRHMD「FOVE」がKickstarterでクラウドファンディングを行い、開始72時間でゴールの25万ドルを達成、最終的には48万ドルを集めました。

「FOVE」の特徴は視線を認識するアイ・トラッキング。Steam VRのLighthouseにも対応することが明らかになっており、頭の動き、位置、視線の3種類のトラッキングが可能になります。Oculus Rift等とは遅れ2016年春に開発者版の出荷を予定しています。

FOVEは社会性の高いプロジェクトも積極的に行っており、手が不自由な学生がFOVEを使ってピアノを演奏する「Eye Play the Piano」はVRCアワードで大賞を獲得しているほか、寝たきりの祖母が孫の結婚式にFOVEとPepperと使って参加する「Hug Project」も実施しています。

Eye Play the Piano

https://www.youtube.com/watch?v=VHXx7XTPULE

HUG project

https://www.youtube.com/watch?v=xW_9od_Yzfc

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Google、360度の撮影システムJumpを発表

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Cardboardとスマートフォンを使った手軽なVRを推進するGoogleは、6月に開催された年1回の開発者会議Google I/Oで新たな360度撮影システム「Jump」を発表しました。大掛かりなカメラと、独自のスティッチングシステムにより、立体視可能な360度VR映像の撮影を可能にするとのことです。

2015年はVRでの視聴を意識したプロ向けの360撮影機材が他にも登場しました。ノキアは「OZO」を、360度コンテンツ制作のスタートアップJauntは「NEO」を発表しています。また、ライトフィールドを撮影する技術を有するLytro社は、後からフォーカスを変えることができるライトフィールドカメラの製造から一転し、VR向けの360度ライトフィールドカメラの開発を発表しています。

2016年はこうした高性能なVR向け360度撮影機材を使って制作された作品が多く登場するほか、各VRデバイスで体験するための配信プラットフォームの整備が進みそうです。

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

    Mogura VRのライター一覧はこちら
    http://www.moguravr.com/writers/