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業界動向 2015.12.31

VRの普及の前夜となった2015年、VRで起きたことを振り返る【後編】

VRに関して1年間で起きたことを振り返る本企画。7月以降の出来事をまとめた後編です。

Oculus創業者パルマー・ラッキー氏がTime誌の表紙を飾る

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イギリスのタイム誌は、8月頭に発行された号でVRを特集し、Oculusの創業者パルマー・ラッキー氏が表紙を飾りました。その表紙を使ったクソコラ祭りが開催。Twitterや海外版2ちゃんねるとも言える掲示板Redditにも積極的に書き込んでユーザーとのコミュニケーションをとる、などユーザーとの距離が非常に近いことで知られるラッキー氏。彼が世界中で愛されていることが窺い知れます。

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TIMEの表紙を飾ったOculus VRの創業者パルマー・ラッキー氏のクソコラ祭りが盛り上がる(8月7日配信)

秋葉原でOcufes2015夏が開催。来場者は1300人超

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8月24日、東京・秋葉原でOcufes2015夏が開催され、日本中からVRコンテンツの制作者が作品を展示しました。Oculus Riftだけでなく、Gear VRやハコスコなどを使ったものもあり、日本におけるVRの盛り上がりを感じられるイベントとなりました。

このOcufesは10月にもお台場の科学未来館でDCExpoと併催。開発者間の情報共有を行う開発者会も実施されました。

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横浜でCEDECが開催。Oculus Rift Crescent Bayの試遊や国内外の知見共有

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8月末にはゲーム等の開発者会議CEDECが横浜で開催。Oculus Rift製品版プロトタイプでのローンチタイトル、PlayStation VR(PS VR)の試遊や、国内外のVRコンテンツ制作者による知見共有が行われました。

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東京ゲームショウ開催、Oculus、PlayStation VRの体験は大人気

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幕張メッセで開催された東京ゲームショウでは、Oculusが製品版プロトタイプを、PS VRは国内メーカーのコンテンツを中心に展示。体験のための整理券が開場直後に配布終了になるほどの人気ぶりでした。

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(9月18日配信)

VR映像制作のJauntがディズニーから6500万ドルを資金調達

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2015年、海外ではVRコンテンツの制作をしているチームへの投資が非常に盛んに行われました。その代表的なものがVR映像を制作しているJaunt社へディズニーらが6,500万ドルを投資した本事例。他にも2015年に行われた大型の資金調達事例は以下の通りです。

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ディズニー、実写VRコンテンツ制作会社のJauntに6500万ドルを投資(9月22日配信)
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現実の人間をVRなどに3Dで映し出す技術を開発中の8i、1,350万ドルを資金調達(10月15日配信)
Oculus Rift製品版ローンチタイトル『Lucky’s Tale』を開発中のPlayful、2,500万ドルを資金調達(10月23日配信)
VRストリーミング配信を手掛けるNext VR、シリーズAラウンドで3,050万ドルを資金調達(11月12日配信)
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Magic Leap、シリーズCで8億ドル以上を資金調達(12月10日配信)
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小規模なものも含め、投資状況一覧

Ocuilus公式開発者会議Oculus Connect 2が開催

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2回目となるOculus公式の開発者会議Oculus Connects 2がハリウッドで開催。Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏のほか基調講演が行われ、Gear VR製品版、Oculus Rift製品版、Ocuus Touchにまつわる新情報が多く発表されました。また、各種コンテンツをデモルームで体験できたほか、全世界から2,000人近い参加者が集まり、連日情報共有と交流が行われました。

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手軽な360度カメラRICOH THETA S発売開始

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10月23日、4万円強で手軽に360度撮影が可能なカメラRIOCH THETA Sが発売されました。スマートフォンと接続することで簡単に360度撮影を楽しめます。直近のアップデートではHDR合成にも対応、Facebookへの投稿も可能になるなど、機能は進化し続けています。Gear VRと連携し、VR内で360度静止画の撮影・閲覧が可能になるアプリもリリースされています。

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NYタイムズ 100万台配布

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11月頭、アメリカの新聞社ニューヨーク・タイムズは、購読者100万世帯以上にGoogle Cardboardを無料配布しました。そしてスマートフォンで見ることができる「NYTVR」という専用アプリを配信、360度ジャーナリズム映像の提供を始めています。

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コロプラ、映像専門の「360 channel」を設立、60億円規模のファンドも

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VRコンテンツの開発を進めるコロプラは、10月に360度映像を扱う「360 Channel」を設立、資本金は7億円、指揮をコロプラの創業者でありCEOである馬場社長がとるということで、積極的な姿勢が伝わってきます。

さらに12月には60億円規模のVR専門ファンドを立ち上げ、国内外のVRビジネスを支援することを発表しました。この金額規模でのVR専門ファンドは世界でも最大になります。

日本発のVR専門ファンドとしては、同じくスマホゲームメーカーのGumiがVR専門のインキュベーションプログラムを立ち上げており、既に応募を締め切り、1月には詳細が発表されるようです。

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GREE、VR専門のGREE VR Studioを立ち上げ

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GREEは、VRコンテンツの開発に本腰を入れるべく、11月にGREE VR Studioを立ち上げました。第1弾となるスマートフォン向けのVRゲーム「シドニーとあやつり王の墓」の配信を開始しています。

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(11月3日配信)

世界最大のゲーム企業テンセント、独自のVRデバイスを開発

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11月、世界最大のゲーム企業テンセントが、VRへの参入を明らかにしました。公開されたウェブサイトでは、Androidベースで動作するオリジナルのコンソール機「ministation」とオリジナルのVRHMDの様子が報じられています。中国では、欧米のVRHMDを参考に数々のVRHMDが製造されており、混戦状態となっている模様です。

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Facebookが360度動画に対応。Gear VRで見ることも可能に

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Youtubeの360度動画対応に続き、Facebookが360度動画のアップロード、再生に対応しました。Gear VRでシームレスに再生することも可能です。Facebookは2014年にOculusを20億ドルで買収し、VRを「次のプラットフォーム」と位置づけています。

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モバイルVRHMD「Gear VR」製品版が発売。日本でもオリジナルのアプリともに

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Oculusとサムスンが開発を進めてきたスマートフォン用VRHMD「Gear VR」が、北米では11月末、日本では12月18日に発売されました。発売に合わせて、日本国内向けのゲーム/アプリも配信され、製品版のVRHMDとして2016年より一足早く販売されています。

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「スター・ウォーズ」最新作のVRコンテンツがスマホ向けに配信

12月18日に公開された世界的に人気のシリーズ最新作「スター・ウォーズ フォースの覚醒」。そのイントロにつながるVRコンテンツがStar Wars公式スマホアプリで配信されました。

2015年6月には、「スター・ウォーズ」などの特殊効果、VFXのスタジオを手がけてきたインダストリアル・ライト&マジック(ILM)がVRなどの制作を行うILMxLABを設立することを発表していたところ、その第1弾のコンテンツとなります。ILMxLABは他にも、テーマパーク向けのコンテンツも開発するとしており、期待したいところです。

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2015年は、Youtube、Facebook等を通じて映画など様々なコンテンツと結びついた360度映像が配信されてきました。

Mogura VRでもこれまで様々なものを紹介してきましたが、以下はその中でも一例です。

※なお、Gear VR向け動画配信アプリ「Milk VR」で配信されているコンテンツは日本では閲覧不可能です。

ブロードウェイの演劇ライオンキング(Youtube、Gear VR内Milk VR)
スマートフォン向けゲーム「グランブルファンタジー」(Youtube)
アサシンクリード シンジケート最新DLC(Youtube、Gear VR内Oculus Video)
世界的に人気のロックバンドU2のミュージックビデオ(スマホアプリ「VRSE」、Gear VR内「VRSE」)
2016年に公開されるリドリー・スコット監督の新作SF映画「オデッセイ」(Gear VR内Milk VR)
攻殻機動隊 Virtual Reality Diver(Youtube、Gear VR内Vrideo、酔いに注意)
NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズのVRドキュメンタリー(Gear VR)
ディスカバリーVRチャンネル(スマホ、Gear VR内Milk VR)
ビル・クリントン財団によるアフリカの様子を伝える360度ドキュメンタリー(Gear VR)
ウォール・ストリート・ジャーナル(Gear VR内Milk VR)
北朝鮮の様子を360度カメラで撮影したドキュメンタリー(Gear VR内Jaunt VR)


前編はこちら

以上、2015年の振り返りでした。2014年以上に様々なことがあり、参加する企業・個人も国内外で一気に増えました。投資額も相当の金額に上っています。VRのデバイスが一斉に発売される2016年はVRの普及の第一歩となります。果たしてどの程度広まっていくのか、注目するとともに、Mogura VRとしても普及の一翼をなっていきます。


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