【VRビジネス導入事例】VRを活用した消費者・個人向け新サービスまとめ

最近ニュースでよく目にするVR。ゲームなどエンタメ用途で使うものという印象が強いかもしれませんが、VRを用いたサービスを導入し、ビジネスに活用しようと試みる企業も増えてきてます。分野は不動産、観光、ショッピングなどさまざまです。

そこで今回は、VRを活用したサービスなど、国内や世界でVRをビジネスに導入した事例をBtoC(消費者・個人向け)ビジネスを中心にまとめました。

完成前に部屋を内覧! 不動産・建築業界とVR

特にVRのビジネス活用が盛んなのは不動産・建築業界です。不動産・建築業界では以前から、まだできていない建築や部屋の様子を表現するためにCGが使われてきましたが、VRを使えば実際にCG空間に入ることができるので、従来よりもわかりやすく、仕上がりを体験することができるためです。

たとえば、注文住宅やリフォーム後の部屋のイメージをVR空間上に再現して、実際に注文する前に内覧ができるサービスなどが実用化されています。

不動産内覧時にリフォーム後の部屋をVR体験 「中古ミテクレ」

https://www.youtube.com/watch?v=KPrpMCGMEg0

株式会社リニューアルストアの「中古ミテクレ」は、中古マンションや中古住宅のリフォーム後がバーチャル体験できるサービスです。リフォーム前の物件を内見・内覧するときに、VRHMD(VRヘッドマウントディスプレイ)をかぶると、リフォーム後の様子を確認できるというもの。現在は愛知県や大阪府の物件でサービスが提供されています。

不動産内覧時にリフォーム後をVR体験できる「中古ミテクレ」がローンチ

新築マンションの3Dモデルルームを体験! スーモスコープ

VRビジネス活用事例

株式会社リクルート住まいカンパニーは、新築マンション情報誌「SUUMO新築マンション首都圏版」(無料)2016年8月2日(火)発行号に、Google Cardboardの技術を活用したVRゴーグル「スーモスコープ」を付録として綴じ込みました。スマホアプリの「スーモアプリ」と組み合わせることで、新築マンションの3Dモデルルームを自宅にいながら内覧する体験ができます。

VRで家具などの設置をシミュレーション イケアなど

家具メーカー・イケアは、VR内でキッチンのショールームを見ることができるアプリ「IKEA VR Experience」を無料で試験的に公開しています。

VRビジネス活用事例

対応するVRHMDはHTC Vive。最大4m×3mの空間を歩くことができるというHTC Viveの特徴を生かし、VR内で現実と同じ背の高さでショールームを歩くことができます。また、瞬時にキッチンのデザインを模様替えしたり、身長の設定を変更したりすることも可能です。


イケア、HTC Viveで体験するキッチンのVRショールームを実験的に公開。フィードバックを募集

このほか、開発中のVR対応サービスとして、フィンランドのVividWorks Ltd.の「VividHQR」があります。商品やインテリア空間を実物サイズでデザインすることができ、ショールーム、営業所や展示会などでの利用が想定されています。正式発売は2017年第一四半期を予定。

VRで家具などの設置をシミュレーションできるサービスが発表

360度動画で観光名所をPR! 観光業界とVR

観光もVRの活用が広がっているビジネス分野のひとつです。観光名所をPRする360度動画や遠隔海外旅行サービスなど、すでに数多くの事例があります。

360度動画で各地の観光名所をPR エイチ・アイ・エスほか

VRビジネス活用事例

株式会社エイチ・アイ・エスが今月名古屋にオープンしたH.I.S.栄本店は、VRで旅行の下見ができるコーナーを併設しています。

栄本店で体験できるVRコンテンツは3つ。ひとつは、ハワイ専門デスクに設けられた、ハワイの旅行先のホテルの部屋の下見をVRで体験できるコーナーです。さまざまなタイプの部屋からの眺望や室内の様子、ホテルの施設などを360度カメラで撮影した映像を見ることで、楽しみながら具体的なプランを選ぶことができます。

国内旅行フロアでは、長崎のハウステンボスと愛知のラグーナテンボスのVR体験が可能。園内の様子をリアルタイム中継するなどの取り組みも行います。

H.I.S、名古屋栄本店で旅行の下見ができるVR体験を導入

このほか、9月に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」では、各地の観光名所をPRする360度動画が国内外から出展されていました。地方のお祭りを360度動画で体験できるブースのほか、空港の利便性をバーチャル旅行体験で紹介するブースもありました。

【体験レポ】 360度動画で国内外の観光名所を体験!ツーリズムEXPOジャパン2016

360度動画で遠隔海外旅行サービス KDDIほか

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KDDI株式会社と株式会社ナビタイムジャパンは、KDDIが取り組む「SYNC PROJECT」で、VRを活用したリアルタイム遠隔海外旅行サービス「SYNC TRAVEL」を11月3日~4日の期間限定で提供しました。

サービスが提供される会場にて、VRゴーグルと現地ガイドが持つ360度カメラをリアルタイムで接続します。ガイドを通じて、観光スポットを巡って旅行先の人々とのコミュニケーションを楽しむことができ、見えている風景を写真で撮影したり、お土産を選んで日本で受け取ることができます。

KDDI、VRを活用した遠隔海外旅行サービスを期間限定で提供

VRビジネス活用事例

また、外出ができないお年寄りの方々向けに360度動画・静止画による疑似的な世界一周旅行を楽しんでもらう取り組みも進められています。介護施設で働いている登嶋健太氏によるもの。

現在は第2回のプロジェクトが進行中。10月にクラウドファンディングで資金を募っており、第1回に続き目標金額を達成しています。

お年寄りに360度動画で世界旅行を クラウドファンディングが開始

試乗体験や、VRショールームも! 自動車業界とVR

店舗やモーターショーの車を試乗体験!? ジャガー、ランボルギーニなど

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イギリス自動車メーカー・ジャガーは、正規ディーラー各店舗でVRHMDのOculus Riftを用いてバーチャル試乗体験ができる「ジャガー・バーチャル・ドライブ」および「ランドローバー・バーチャル・ドライブ」を提供し、VRをプロモーションに活用しています(制作:カディンチェ株式会社)。新型サルーン「XE」の試乗体験では、なんと錦織圭選手の運転する新型XEの助手席に乗ってドライブデートができます。


【体験レポ】錦織圭選手とスポーツカーでバーチャル・ドライブを体験してきました

VRビジネス活用事例

イタリア自動車メーカー・ランボルギーニは、2015年3月にイタリアで開催されたモーターショーで、展示されている車にVRを利用して試乗できるコンテンツを提供しました。

用意されたVRコンテンツは、 Huracán という車種の助手席に乗り、コースを1周回るというものです。展示されている Huracán の助手席に実際に乗って体験することができます。

Gear VRと360度動画を使ったランボルギーニの取組。モーターショーでリアルな乗車体験を。

車のVRショールームを販売代理店へ アウディ

VRビジネス活用事例

自動車メーカーのアウディは、VRを活用したショールームのプロジェクトを進めており、近日中にも各地の販売代理店に展開すると発表しています。

Oculus RiftやHTC Viveを用いて自由に車を見回し、モデルやカラー、オプションや車を置く環境を好きに組み合わせ、内装まで自由にチェックできるというもの。アプリとして配信されるのではなく、各地の店舗・オフィスに設置予定です。アウディのVRショールームによって、「狭いスペース」で、「多くの組み合わせ」を、目で見て確認できる、新しい販売体験が実現するでしょう。

アウディ、VRショールームを販売代理店へ展開予定

自宅で車を体感できるVRアプリ 「SUBARU体感360°」「RelayCars」

実店舗に行かなくても車の新機能などを体感できるコンテンツも開発されています。自動車メーカーのスバルは、スマホ向けに、自社製品を360度映像で体感できるアプリ「SUBARU体感360°」を配信中です。

現在体験できるのは、ぶつからないクルマ?でおなじみのスバルの機能「アイサイト」をバーチャル試乗体験できる「体感!アイサイト」、2016年秋に発売のNewインプレッサのインテリアを360度映像で体感できる「体感!New インプレッサ インテリア」です。


スバル、ぶつからないクルマなどを体感できるスマホVRアプリ「SUBARU体感360°」を配信開始

VRビジネス活用事例

また、Gear VR向けに高級車のショールームアプリ「RelayCars」が配信されています(開発:Evox Images)。Evox Imagesは現実のショールームに代替することを狙っており、近々、車種を1,000種以上にまで広げ検索機能などを強化するとしています。

車のVRショールーム『RelayCars』50万DLを突破

VRで結婚式会場を下見! ウェディング業界とVR

ワタベウェディング株式会社は、リゾートウェディングの魅力を体験できる「リゾ婚 cafe」を8月4日から9月3日までの期間限定でオープンしました。モバイルメーカーのGalaxyとコラボレーションし、Gear VRを使って渋谷にいながらハワイウェディングを体験することができたものです。

結婚式の準備といえば、何度も会場を下見にいくもの。ハワイでの挙式となると、何度も足を運んで下見をするということが難しくなりますが、結婚式やチャペルの様子をVRコンテンツとして作ることで、日本にいながらハワイのチャペルを何度も下見・疑似体験することができるようになるのです。

もう何度も下見しなくても安心? 『リゾ婚 cafe』でハワイでの結婚式をVR体験

衣服やブランドの世界観をVRで体験! ファッション業界とVR

ファッションに特化したVRショッピングサービス「STYLY」

VRビジネス活用事例

伊勢丹新宿店は、ファッションVRサービスが体験できるイベントを開催してきました。2015年12月から翌年1月にかけての「ようこそ、ISETAN宇宙支店へ ~わたしたちの未来の百貨店~」と、今年7月から8月にかけての「PITTI IMMAGINE UOMO at ISETAN MEN’S」です。

これらのイベントで活用されたのが、Psychic VR Labの提供する、VRを使用したファッションに特化したショッピングサービス「STYLY」(2016年度にβ版サービス公開予定)。高精度3Dスキャン技術により、細部まで商品の立体表現が可能です。そのため、VRヘッドセットを使用すると、実際に商品が目の前にあるかのように体験できます。また、「PITTI IMMAGINE UOMO at ISETAN MEN’S」では、その衣服が生まれた場所や生産者に関する記憶も映像で体験することができました。

【体験レポ】 新宿伊勢丹でVRが変える未来のショッピングを体感してきた

VRでブランドの世界観を体験 TARA JARMON、ユナイテッドアローズ

パリのファッションブランド「TARA JARMON」は、今年9月に開いたポップアップストアで、最新コレクションの世界観を3次元で体験できる「VRギャラリー」を併設。VRを用いることで、洋服を眺めるだけではない新しい体験型ポップアップストアとなっていました。

VRから売り場への効果的な導入 イトキンの期間限定店舗でブランドのイメージを“体験”

また、ファッションブランドの店舗の魅力を360度映像アプリで体験してもらうという形のプロモーションも行われています。「UNITED ARROWS」は、今年9月にリニューアルオープンした六本木ヒルズ店をバーチャル体験できる360度映像アプリを配信中です。

ユナイテッドアローズの店を体験できる360度映像アプリが配信

VRHMDを外さずに決済まで! VRショッピングサービス

ショールームを見てまわるだけでなく、VR空間のなかで購入までできるショッピングサービスも海外では始まっています。

オーストラリアで開店、eBayのVRデパート

VRビジネス活用事例

今年5月、世界初のVRショッピングモールを開いたのは、大手ECサービスを運営するeBay。スマホ上で専用のアプリを起動し、Google CardboardなどのVRHMDで見て利用します。商品を3Dで見ることができ、VR空間にいるまま購入できます。ただし、現在のところ利用できる地域はオーストラリアのみです。

EC大手eBay、オーストラリアで最大の百貨店と世界初のVRショッピングサービスを開始

VRHMDを着けたまま支払いまで 中国・アリババの「VRペイ」

VRビジネス活用事例

また、10月には中国の電子商取引最大手であるアリババ・グループ・ホールディング傘下のオンライン決済サービス会社アント・フィナンシャルが、VRHMDを装着したままVR内で買い物を行うことができる新決済システム「VRペイ」を発表しました。

VRHMDを外さずに買い物 中国・アリババ子会社、新決済システム「VRペイ」を発表

日本では会話機能付きVRショッピングサービスが開始へ

日本では、メディア型ECモール「kabukiペディア」を運営する株式会社KABUKIが、スマホを利用したVRショッピングサービス「VR Shopping with Voice Chat」を随時提供開始します。遠方にいる離れたユーザーどうしで「おしゃべり」をしながらショッピングが楽しめる、世界初の会話機能を搭載している点が特徴です。現在はアプリ申請中とのこと。

今後ますます広がるVRのビジネスへの導入

アメリカの大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、2025年時点でのVR/ARの市場規模を予測しています。やはりゲーム用途での利用が最も多い(116億ドル)ものの、ヘルスケア、エンジニアリング、不動産、小売などのゲーム以外の用途は全体で234億ドルにものぼりゲームを上回るのです。

今回まとめた事例のように、VRを活用したサービスは今後も幅広い業界で導入され、消費者への新しいアプローチの形を広げていくのではないでしょうか。

ゴールドマン・サックス、今後10年でのVR/AR市場の可能性を予測

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この記事を書いた人

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    今年で結婚6年目の新婚さん。アニメやゲームを楽しみながらのんびり暮らしていたら、いつの間にやらVRにハマっていました。法律のお勉強中です。

    Twitter:@yulinyuletide

    Mogura VRのライター一覧はこちら
    http://www.moguravr.com/writers/