9月22日(木)から25日(日)の期間中、東京・ビッグサイトで「ツーリズムEXPOジャパン2016」が開催されました。
「ツーリズムEXPOジャパン2016」は日本国内だけではなく、世界から国と地域が一同に集まり、観光地としてアピールする旅の祭典です(2015年の来場者数:17万人以上)。会場には各ブースごとに趣向を凝らした展示が行われていました。
今回は、本イベントにて360度動画を展示していたブースを紹介します。
国内出展者ブース
日本遺産「灯り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」
能登半島各地で行われるキリコ祭りを紹介する映像です。案内役の女性と一緒にキリコと呼ばれる巨大灯篭の展示施設から、夜のお祭り本番までを360度動画で見るものです。
案内役の女性が常にこちらを向いて説明してくれるので非常にわかりやすく、映像の中に入りやすいです。そのため360度動画ではよく見られる「自分が放って置かれている感覚」がなく、一緒に施設やお祭りに行っている感触です。
昼間の映像はとても綺麗ですが、夜の映像ではキリコが明るく映るのと反対に、暗い場所は顔がわかりにくくなってしまうところは気になった点でした。お祭りシーンはBGMが入っていないので、太鼓の音などお祭りのにぎやかな雰囲気が味わえます。
こちらはOculus Rift 製品版、Gear VR、モバイルの3種類のVRヘッドマウントディスプレイを用意しており、体験者が好きなものを選んで体験できるようになっていました。
公式サイト:
http://www.hot-ishikawa.jp/kiriko/
『バーチャル旅行を体験してみよう』
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こちらの展示は、羽田空港の利便性と旅行の楽しさを伝えるために作られた映像になります。
モノレールと京急電鉄に乗って、羽田空港に行き、そこから香港へ。香港では2階立てバスに乗り、美しい夜景を見た後、また羽田に帰ってくるという内容です。
工夫している点は移動方法。駅から空港、空港から香港へ大きく移動するときに、バラエティ番組などでよく見る、ジャンプするとワープするという方法を使っています。実際にVRヘッドマウントディスプレイをつけたまま、「ジャンプしてください」のメッセージがでたときにその場でジャンプをするとワープします。ちょっとしたインタラクティブ要素があると楽しくなりますね。
『列車で行く 東北の祭 驚きの360度映像体験!』
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東北6県のお祭りの踊りなどの光景を360度動画で楽しめる展示です。
360度カメラを長い三脚に取り付けて、踊りの列の内部から撮影しています。祭りの様子を頭上から見下ろすシーンや地面にしゃがんだ視点から見上げるようなシーンがあります。
三脚を持ちながら徒歩で移動してるシーンは人によっては酔いやすくなるので注意が必要ですが、東京にいながらなかなか全てに足を運ぶことは難しい¥6ヶ所の有名な祭りを間近で見られるのは興味を掻きたてられます。
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地方ごとのお祭りは、開催時期に現地に行かなければ見られないものです。360度動画では祭りがどれほどの規模なのか、面白そうなのかが疑似体験できるので、実際に行ってみたいと思わせられるのではないでしょうか。
『JAPAN VR TOUR』
こちらの展示は、地域活性化などをテーマとした併設イベント「インバウンドEXPO 2016」にて出展されていたものです。株式会社クロスデバイスと株式会社JTBプランニングネットワークの共同ブースとなります。
展示内容としては、クロスデバイスが配信している360度動画配信アプリ『idoga(イドーガ)』などで地方の観光地を体験できるものとなっています。
今回の出展では、タブレットで好みの映像を選択することで、簡単に360度動画を見ることができます。補助者による「ヘッドマウントディスプレイを被って、中の映像から見たいものをゲージが最後まで行くまで見続けてください」といった説明や、体験者が見たいものを選んでから渡すということもなく、初めての人でも好きな映像をタブレットでタッチ、そしてヘッドマウントディスプレイを覗くだけで良いものです。
CDショップの視聴用機器といった感じで、置いておくだけでも誰もが使えるというところが良いと感じました。
・ダウンロード
<iOS>
https://itunes.apple.com/jp/app/360-panorama-dong-hua-zai/id723243287?mt=8
<Android>
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.movie360.n0001&hl=ja
『360Channel』
『360Channel』は、株式会社コロプラの子会社である360Channelが提供する360度動画配信アプリです。配信動画はアイドルのライブや映画のプロモーション用などさまざまなジャンルです。
今回の出展では、その中から旅にふさわしい、観光地を紹介する360度動画を展示していました。こちらもすでに配信済のアプリです。
・ダウンロード
<iOS>
https://itunes.apple.com/jp/app/id1132576676
<Android>
https://play.google.com/store/apps/details?id=tv.ch360.platform
国外出展者ブース
『360度動画でオーストラリアをバーチャル体験』
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オーストラリア政府観光局が配信している360度動画配信アプリの展示です。オーストラリアは海に囲まれているので海の動画が多いものの、似たような風景がないため、どの動画も新鮮な感覚があります。
9月現在で17本の動画がアップされていますが、その中のおすすめは南オーストラリア州の「ポート・リンカーン」。海中から見るアシカの映像です。アシカは人懐こく、ダイバーのそばにきたり、見ているすぐそばをすり抜けることもあります。カメラを気にするかのように見つめることもあります。特に真上をアシカが泳いでいく様子を、見上げて見ていると海中にいる気分を味わえます。
すでに配信しているアプリなので、ダウンロードすればどこででも楽しめます。
・ダウンロード
<iOS>
https://itunes.apple.com/jp/app/360du-dong-huadeosutorariawobacharu/id1138627883?mt=8
<Android>
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.australia.jp360
『最新鋭機材A350 VR体験』
シンガポール航空による、最新鋭機エアバスA350の内部を見られる360度動画です。
男性と女性の2人が目の前でエアバスの内部、席の広さなどを説明してくれます。これだけならば普通のプロモーション用360度動画です。この動画自体は現地で作られたものなので日本語ナレーションがついていますが、こちらが今回のツーリズムEXPO限定のもので某有名バラエティ番組のパロディになっています。ナレーターも文章もそのままなので、聞いた瞬間、笑いだしてしまいました。
プロモーションに実写の360度動画を利用するのは今後さらに増えていく中で、他と違う、記憶に残すという点から音声のみでパロディとして見せるのもいい方法です。パロディだと、その後、公開するのが難しいこともあり、イベント限定としての特別感もあります。
まとめ
全体で確認したところ15ブースでVRコンテンツや360度動画をVRヘッドマウントディスプレイでの展示をおこなっていました。筆者は土曜に行きましたが、大半のブースで数人から20人程の待機列が形成され、整理券制のブースも午前中には配布が終わる人気ぶりでした。
使用するVRデバイスは、Gear VRや、スマートフォンをセットするプラスチック製・紙製のVRヘッドマウントディスプレイが多かった印象です。一方で、HTC Viveや、Oculus Rift 開発者版を使っているブースもありました。
実写の360度動画はリコーの「THETA」やサムスン電子の「Gear360」、iPhone用360度カメラ、「Insta360 Nano」(国内販売代理店:ハコスコ)などがあります。他にも360度動画に対応したカメラが発売されています。今後、誰でもますます手軽に360度動画を作成できるようになっていくでしょう。
観光地のプロモーションとしてどういった映像を撮るのか、見ている人にどのような体験をしてもらいたいのかを、きちんと考えた映像でないと、多くの360度動画の中で埋没してしまうことになりかねません。ですが、新しい表現手法が生まれる分野でもあります。