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VR動画 2022.07.31

VR映画100本を体験レビューしてきた著者が、これまでの名作を振り返る

これまで、MoguLiveでVR映画のレビューを100本公開してきた待場勝利さん。6月29日には連載100回を記念したオンラインイベントが開催され、共著者の玉置淳さんと、MoguraVR久保田編集長が参加。対談形式で作品を振り返りました。

対談では、VR映画ガイドで取り上げた100作品を振り返りつつ、ベスト10を発表する内容となっていました。今回はその対談の模様を一部取り上げます。

待場セレクトVR映画ベスト10

玉置セレクトVR映画ベスト10

「The Key」

「Namoo」

「A Fisherman’s Tale」

「The Golden Record」

「MOWB」

「When We Stayed – Home」

「Daughters of Chibok(邦題:チボクの娘たち)」

「Back to the Moon」

「END OF NIGHT」

「犬ヶ島」

「Space Explorers: ISS Experience Episode3 UNITE」

「Paper Birds」

「Replacements 諸行無常」

「Replacements 諸行無常」

「Feather」

「Feather」

「The Line」

「The Line」

「Amebient」

「Traveling While Black」

待場:
100本って結構ありましたね。日本の作品は圧倒的に少ないんですけど、海外では色んな国がいろんな作品を生み出しているので、日本のクリエイターもどんどん作ってほしいなと思います。

久保田:
怒涛の100作品でしたけれど、2人にそれぞれにベスト10を選んでもらいました。共通している作品は3つありました。

第14回の「The Line」、第29回の「Feather」、第39回の「Replacements 諸行無常」。それぞれ選ばれた理由はどういったものでしたか?

玉置:
「The Line」と「Feather」は同じような箱庭系のアニメーションであるのですが、どちらも完成度がとても高かった。「Feather」の最後、階段を上がってくるシーンは箱庭から飛び出して、体験者のいる空間に作用しているのがよかった。

待場:
そうですね、「Feather」と「The Line」の2本はVRの体験としてすごく完成度が高い。「Replacements 諸行無常」はインドネシアのある街角の定点観測の作品で、全部手描きで描かれているんですけどディテールがすごく描かれていていろんな発見があります。

「The Line」も「Feather」と同じくインタラクションが考えられています。ブリキのおもちゃが走ってくるんですけど、そいつをいろんな障害から助けて……長くなるな。

玉置:
インタラクションとその物語の意味というのがうまく関連していて、ただやらせるのではなく、話の中に介入できる。

待場:
最後、それまでの場所から飛び出して世界が広がって、物語が展開したのも「The Line」の面白いところだったんだなと思う。

久保田:
この3つは鉄板ということですかね。インタラクションとストーリーが噛み合ってる作品だからこそ、評価が高いのだろうと思いつつも、「Replacements 諸行無常」は360度映像ですよね。

残り7つが玉置さんと待場さんで全然違うんですが、2人が評価した軸というのが多分違ったのだと思います。それぞれどういう軸で選ばれたんでしょうか。

玉置:
うーん「VRでやる意味があるのか」という軸はあったと思います。ここにあげてないのがなかったというわけではないですけれど。

「Paper Birds」は箱庭系ですけれど、現実ではこういう小さいものが自分の周りで動き回ることはできない。そういう意味ではVRでやる意味があるなと。

「犬ヶ島」は手前はストップモーションアニメがちゃんととアニメーションしていくのですけれど、後ろはその時撮影しているスタッフの様子がとびとびに見えていて、この演出は全く考えつかなかったなと思いました。

「Back to the Moon」は自分の机の上で起こる物語なのでARでないと作れない。

「When We Stayed – Home」はこのコロナ禍という状況だからできたというのもあるのですけれど、人がいる時といない時を比較する、そういう意味で良い記録であると思います。

「The Golden Record」はアニメーションとして面白いというのももちろんあるのですけれど、「Namoo」もQuillというツールをうまく使ってできたアニメーションでした。

「TRAVELING WHILE BLACK」は人種差別が行われた空間で当事者が語るのを、まさにその空間で聞くというのはVRのドキュメンタリーならではのものであったと思います。

待場:
僕の評価軸は「6Dof」と「3Dof」それぞれの作品で、アニメーションと実写をうまく入れたものを選出したいなと。

久保田:
バランスですね。

待場:
そう、それぞれでいい作品を。今のVRって演出方法を様々なクリエイターが模索していて、その中で発見された表現を紹介したい思いが一番強かった。それぞれ演出方法に工夫があったりとかオリジナリティがあるので。

「The Key」もファンタジーのように見せて、現実の話だったのだと体験者に理解させていく。もちろん現実をそのまま見せるドキュメンタリーの方法もあるんですけど、こういう形で今の実際に社会問題を見せるっていうのも、今までなかったですね。

「A Fisherman’s Tale」ではストーリーの深さが印象的で、ゲームと映画の垣根が無くなっていくのだなと思いました。

「MOWB」は、日本の若い監督が1人で12-3分くらいのVRの手描きのアニメーションを作っていて、その内容が素晴らしかった。

僕はもともとテレビのドキュメンタリー出身なのですけれど、「Daughters of Chibok」は、ジャーナリズムの表現そのものが変わっていくのではないかなという衝撃的な作品でした。

「END OF NIGHT」は、これぞ長編VR映画だなって思わせる骨太な作品。ちゃんとオチもあって、何故ずっと旅をしているのかという疑問に納得感のあるかたちで答えてくれましたね。素晴らしい作品だった。

Felix & Paul Studiosの「Space Explorers: ISS Experience Episode3 UNITE」も、やり方次第で面白いものが作れるんだっていうのを見せてくれた作品。船外活動の模様を見せるのは相当技術的に大変だったと思うんですよ。

カメラもオリジナルで開発してるし、どれだけの大きなプロジェクトなんだと思うのですが、船外に出た時に凄く衝撃的だったんですよ。「これぞ、VRの体験だな」って思わせるくれました。VR映画では6Dof形式の作品に注目がいきがちですが、360度映像もちゃんと演出すれば負けない。

100回目に紹介した「Amebient」はVRChatクリエイターたちが作っているので、全く僕の感覚にはない作品を見せてくれたというのもありました。彼らの話を聞いていると、ものすごい深いところまで考えていて、「これは何とか知ってもらわないといけない」と思って取り上げました。世界観が練られていて、自分がどういう行動をするのかを求められているというか、「見られている」というか……新しい感覚の作品だったと思います。

久保田:
100本を追うのは大変だったと思うのですけれど、その中でも選び出そうとすると17本。特に3つなのかなと思います。今お話を聞いてて思ったのは、そもそもVR映画の方法論が確立していない中でのコンテンツ作りなので、1本1本が全く違う方向に向かっている。トライアンドエラーを繰り返しながら生まれているという印象ですね。同じような映画も100本を並べればあるかもしれないけれど、今回選出された17本を見れば、それぞれの作品の個性を楽しめるのだろうなと思います。

待場:
ここで100本を語るより、皆に体験してもらう方が早いので、なかなか体験してもらう場所が作れないけれど、ぜひ鑑賞してもらいたいです。

この連載では取り上げてほしいVR映画作品を募集しております。
自薦他薦は問いません。オススメ作品がありましたら下記問い合わせ先まで送ってください。よろしくお願いします。
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