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VTuber 2024.03.01

今、タイでのVTuberブームが大変なことになっている “文化のるつぼ”から生まれる新たな才能を追う

バーチャルYouTuberという言葉が始まってから7年以上が経ち、VTuber文化は日本国内の若者から高齢者まで幅広く浸透してきています。このVTuber文化は海外でも少しずつ広がってきていて、各国のユニークな個性を映しだしはじめています。

中国語圏では日本と似た雰囲気のVTuber文化が根付いていて、英語圏ではVShojoを始めとした個人の個性を尊重する文化ができつつあります。ラテンアメリカではよりインディーVTuber(個人VTuber)の存在感がより際立っていて、韓国語圏ではKカルチャーの濃い音楽グループが国内外で人気を集めています。

これらのVTuber文化は言語の壁で、日常的にはなかなか目にする機会が少ないかもしれません。特に知られていない盛り上がりを見せているのがタイ王国です。タイではあるグループが、国内はもちろん国外でも注目を集め始め、今非常に熱いシーンとなっています。

今回は、そんなタイのディープなVTuber文化について語っていきたいと思います。

データから見るタイとの関係性


https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol154/index.html

筆者は国際情勢に詳しくないですが、軽く現在までの日本とタイの関係について触れておきたいと思います。日本とタイは、犬猿の仲ではなく、130年以上もの長い間国交を保ってきました。

経済面でも、両国は友好的な関係を維持しています。例えば、タイでは日本料理店の数が増えている傾向にあり、タイからの観光客も東南アジアの中で最も多いとされています。また、日本で働くタイ人労働者の数も、国別では多い部類に入るほどです。これらの点から、日本とタイの結びつきは非常に強いものがあると言えます。


https://youtu.be/vbSfqmS7va4?t=656

文化的な側面から見ても、タイと日本は密接な関係にあります。その一例としてあげられるのが漫画です。1980年代、日本の漫画はタイの若者文化に浸透し、現在の日本とタイとの結びつきを形成する要素の一つになったと言っても、決して大げさではありません。

集英社が運営する海外向けサービス「MANGA Plus by SHUEISHA」の読者統計では、タイは利用者数で2番目に位置しています。タイの人口が世界でおおよそ20位であることを考慮すると、日本の漫画とタイの結びつきの強さが伺えます。


https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=today%205-y&geo=TH&q=%2Fg%2F11byz8037n,%2Fg%2F11hznck6gj,%2Fm%2F0w68qx3,%2Fg%2F11f7r5y9lz

ただし、日本のコンテンツがタイで楽しまれているとはいえ、一方的に消費されているわけではないということは頭の片隅に置いておいてほしいです。タイのVTuberの配信や動画を見ていると、日本だけではなく、アジア、英語圏など様々な地域の文化が混在しながら、共存している光景を頻繁に目にします。この文化はタイのVTuber業界関係者から「文化のるつぼ」と表現され、タイ動画文化の独特な魅力につながっているのです。


https://streamscharts.com/news/vtubers-viewership-q1-2023-japanese-streamers-continue-lead

VTuberという切り口でも興味深いデータが存在します。配信プラットフォームの視聴データを収集する「Streams Charts」が公開した「VTubers live streaming viewership in Q1 2023」のレポートによると、タイはVTuberの分布で3番目にランクインしています。

もちろん、VTuberの国籍をどう判断しているのかという問題が伴いますが、この統計は非常に興味深いものです。中国のプラットフォームを含まないとはいえ、YouTubeやTwitchではこれまで英語、中国語、スペイン語、韓国語の圏域が目立っていたので、筆者的には驚きの結果でした。しかし、東南アジアのVTuberに関する専門的な情報を収集するValentino Ringoさんのインドネシアに次いでタイの規模が大きいという統計を照らし合わせてみると、Streams Chartsのデータがあながち間違いでないことがわかります。


https://www.youtube.com/watch?v=jtfwOCBx-Qs

そしてそんなタイは、VTuber文化のきっかけを生みだしたキズナアイの最初の流行地でもあります。タイから始まって、韓国からアメリカまで世界中に一気に広がっていきました。Activ8株式会社代表・大坂 武史氏が語るインタビューでも、そのあたりのことが触れられています。

これはVTuberに限らず、音楽など他のコンテンツにおいても近年同様の傾向が見られるそうです。東南アジアを経由して世界へと広まる流行は、一つのトレンドとして確立しているようです。

黎明期:ゲーム実況者からVTuberへ


https://www.youtube.com/watch?v=YbFgtVZikM8

タイはVTuberの歴史においても、非常に深い関係の根が絡まっています。

例えば、「TheQuillmon」は、藤崎由愛さんに影響を受けてタイVTuberを先駆けて始めたことで知られています。活動初期はVTuberと名乗っていたわけではありません。2012年からゲーム実況をスタートし、2017年頃、バーチャルYouTuberがまだ手探りされていた時期に、MikuMikuDance(MMD)と思われる3Dモデルを使用し始め、VTuberへと変化しています。TheQuillmonさんは、タイVTuberの中で唯一、VTuber黎明期から活動を続けている存在です。また、最近では、マレーシアのVTuberエージェンシーに所属していたHØRI07さんが設立した「VZ」に所属していることを匂わせています。


https://vtuberthaiinfo.com/

ちなみに、タイにおいても古株のゲーム実況者からVTuberへ転身(転生)した事例は少なくありません。このような転生を遂げたVTuberたちが、タイのVTuberランキングでどのように扱われるべきかについてファンの間で激しい論争がなされたぐらいです。

例えば、UserLocalのファン数ランキングで上位に位置するGibpuriさんやAitoLHさんは、2013年から実況動画を始めてからVTuberになっています。Gibpuriさんに至っては、初期の段階でゆっくり実況のようなスタイルで投稿していて、VTuberとして適正のあるYouTuberでした。

2019年:企業VTuberの先駆け「Aisha」の登場


https://www.youtube.com/watch?v=DH0i7g77-jE

タイのVTuberシーンで、必ず知っておきたいのは「Aisha(ไอช่า)」です。Aishaさんは、生物の運命を制御する目的で生み出されたAIのネコ型バーチャルアイドルで、アニメーション制作会社「Guardian Angel Ai」からデビュー。2019年当時のタイでは珍しい企業所属のVTuberでした。K-POPやアニメソングが大好きで、K-POP風の衣装を身にまとって3Dライブしたり、流暢な日本語のカバー曲を数多く歌っています。

新しいことに挑戦するのが大好きで、さまざまなブランドとのコラボレーションを目標に掲げています。例えば、タイのゲーム「Home Sweet Home : Online」とのコラボレーションを行い、日本のゲーム実況動画でもAishaさんを見かけることがありました。

技術面ではタイのVTuberの中で特に優れていて、アニバーサリーイベントでは3Dコンサートを何回も開催しています。このようなタイでの先駆的な取り組みと技術力が高く評価され、「Thailand Social Awards」のVTuber部門で「Best Influencer Performance on Social Media」を受賞しました。

タイで初めてのVTuberエージェンシーが誕生


https://twitter.com/Arcanis_Phriezt/status/1690019193863720961

そんなAishaさんが所属している「Polygon Project」にも注目しておきたいところです。このエージェンシーは創設者「Phrezt」と共に運営されている「Polygon Official Co.,Ltd」のプロジェクト。タイでVTuber活動が広まり始めた頃から活動していて、キーマン企業の1つです。Aishaさんはこのプロジェクトの第0世代と位置づけられて、後続が第2世代までデビューしています。


https://www.plg.tv/

Polygon Projectの第1世代メンバーには、さまざまな生き物をモチーフにしたVTuberが多数います。例えば、LapineさんとLuceneさんはうさぎ、Zonaさんはシャチ、Hokuさんはフクロウ、Luxiaさんはさそりをモチーフにしていて、日本のVTuberファンに十分受け入れられる魅力的なデザインです。今回は、特に興味深い活動をしていると感じた、3名を紹介します。


https://www.youtube.com/watch?v=4a1cJ9Y_X9Q https://www.youtube.com/watch?v=3HEEdlzT_7c https://www.youtube.com/watch?v=h5KYvJWuv_A https://www.youtube.com/watch?v=4uyHQIQqnWg https://www.youtube.com/watch?v=ZorebMKm5TM https://www.youtube.com/watch?v=_x6FXjEU8ps

「Hoku(โฮคุ)」は、迫力のある笑い声と元気のあるボイスが印象的なVTuber。特徴的な点は、物怖じしないコミュニケーション力と国をまたいだ人のつながりにあります。

日本のVTuberエージェンシーでは、企業やインディーズの大小関係なしにコラボレーションが一般的になりつつあります。しかし、Hokuさんはそういう環境ができる前から、多数のコラボレーションを成功させてきた実績を持ち、この手の先駆者の1人とも言えます。

Hokuさんは、新進気鋭のインディーVTuberから、現在タイの主要エージェンシーとして名を馳せる「Algorhythm Project」、インドネシアの「MAHA5」、さらには「Hololive」や「PRISM Project」など、多岐にわたるグループとコラボレーションを果たしています。


https://www.youtube.com/watch?v=pIWR515faEg https://www.youtube.com/watch?v=1dF77Yti2hc
https://www.youtube.com/watch?v=8vefV8LsqSU https://www.youtube.com/watch?v=kJ0pN_tbfRI

「Zona(โซน่า)」は優れたシンガーとして活躍していて、その際立った能力として言語に対する積極的な姿勢が挙げられます。特に筆者が驚いたのは、彼女が初めてリリースしたオリジナルソング「MEMORIA」が日本語であったことです。

VTuberは、日本から生まれた文化なため、自然とアニメやボーカロイドの歌ってみたなど日本語圏の文化と接点があります。その結果として、海外のVTuberが日本語曲をカバーしているシーンがよく見られます。しかしオリジナル曲では、多くの場合、自国の言語を選択することが一般的で、その点でZonaさんの選択には驚かされました。

しかし、筆者の考えはすぐに一蹴され、続くオリジナル曲「BREATHE」はタイ語で、その後にリリースされた「REPRISE」はK-POP風の英語曲でした。こうした多様な音楽表現は、タイが”文化のるつぼ”であることを反映しているのでしょう。

また、ファンの母国語に翻訳したカバー曲をアップロードする文化もあり、例えば「星街すいせい-Stellar Stellar」のタイ語カバーがそれです。さらにZonaさんの言語への好奇心は、タイで人気のある曲を日本語でカバーするという姿勢にも表れています。

これらの活動は、単なるマーケティングや戦略を超えた、本人の純粋な興味から生まれたものだと感じます。Billboard JAPANのある記事で「今後は日本語、英語という歌詞の線引きすら意味を成さなくなる時代がやってくる」と述べられていましたが、Zonaさんの活動はまさにその予言を体現している例といえます。


https://www.youtube.com/watch?v=pTh_klItZTA

「Fumi Hausu(ฟูมิ เฮาสุ)」は、Polygon Projectに所属するVTuberでありながら、非常にユニークな経歴を持っています。元々、Fumiさんは1982年に創業したタイの大手食品企業「Farmhouse」の知的財産(IP)として誕生しました。この会社は「北海道ミルク風味パン」という商品を販売したり、日本語のナレーションが付いた3DアニメーションのCMを放送しているなど、日本との関連性が深いです。そのため、Fumiさんがデビュー時に「日本ニキ~居ますか???」と日本人にも親しみやすい発言をした背景には、このような経緯が関係してるのではと考えています。

ところが、2023年1月にFumiさんは突如として卒業することになります。卒業の理由は、どろどろしたものではなく、単に休息を取り新しい挑戦を目的とした卒業で、同僚やファンからは感謝のコメントが寄せられました。そして、その2ヶ月後に、新しい装いで再デビューしたのがPolygon Projectというわけです。面白いことに、Farmhouseでは依然としてFumiHausuというIPを活用していて、Polygon Projectとは良好な関係を維持しています。


https://twitter.com/ZacianVz/status/1713446634330501617
https://twitter.com/xKappa_XALTZ/status/1713601686932185091

Polygon Projectは、タイ国内で積極的にオフラインイベントを開催するエージェンシーでもあります。例えば、3周年記念の「#PLG3Cha」というハッシュタグを用いた歌ってみたチャレンジリレー企画では、多くのVTuberやファンが自分の好きな歌を歌い、大いに盛り上がりました。さらに、オフラインコンサートもファンに楽しまれ、これらのイベントは無事に成功を収めています。

タイと日本を繋ぐ「絆のアリル」


https://twitter.com/VFestaTH/status/1642884917003419648 https://twitter.com/VFestaTH/status/1715338118109548736

先ほど、キズナアイが最初に海外で注目を集めた国の一つとして、タイをあげました。その深い繋がりを示す事例の一つに、「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」で、上記Polygon Project所属のLapineさんの参加があげられます。このようにタイでのキズナアイへの思い入れはそれなりに強いものがあり、この思いはさらに珍事を引き起こします。それは何かというと、「絆のアリル」というキズナアイが原作のアニメで、タイ語吹き替え声優を全員タイのVTuberが務める事態になったのです。

タイのVTuberがアニメの吹き替え声優を務めること自体は前例がありましたが、全役にVTuberを起用したことには本当に驚かされました。さらに、2期の声優も全員VTuberになっています。キズナアイと国内外のVTuberを0から見てきた筆者としては、こんな大胆なリスペクトを表したサプライズは最高でした。

アニメーションMVを活用し始めたエージェンシー


https://www.youtube.com/watch?v=ECm0lLTjZxQ https://www.youtube.com/watch?v=VK5HWGOEJlU https://www.youtube.com/watch?v=8rnTRmG83Qw https://www.youtube.com/watch?v=kwyDbkZwgTE

もう一つ注目すべきタイのVTuberエージェンシーとして「Pixela Project」があります。このエージェンシーは「Pixela Official Co., Ltd.」によって運営されていて、CEOは以前YuChanのマネジメントを手がけた「Ataru」です。

Pixela Projectの特徴は、ホロライブやにじさんじなどの大手エージェンシーと同様に、デビュー時にグループのオリジナルソングのミュージックビデオ(MV)をリリースしている点にあります。初期は日本風のアニメキャラクター寄りで、明るく楽しい雰囲気のMVが多く、最近は3D空間と2Dイラストを組み合わせた、ソーシャルゲーム的なキャラクターでよりダークな雰囲気を持つMVが増えている傾向です。

タイでも盛り上がるリアルイベント:VTuberイベント「V-Festa」


https://reviewspooh.com/v-festa-review/

筆者個人の考えにはなりますが、インターネットでの活動を主とするVTuberが特定の国に定着するには、オフラインイベントの存在が不可欠だと思っています。実際に集まって盛り上がる機会を通じて、同じ趣味を持つ仲間がいることを実感し、共に楽しむ喜びを体験することは非常に重要です。また、まだ知らないVTuberを発見する絶好の機会にもなります。

タイにおいて、このようなオフラインイベントをいち早く実施したのが「V-Festa」です。


https://twitter.com/ShoriNorimaki/status/1484885907262312452

このイベントが初めて開催されたのは2022年1月で、タイの首都バンコクに構えるショッピングモールで行われました。Meet&Greetイベントには、AishaさんやPolygon Project、Pixela Projectから、当時はまだ知名度があまりなかったVTuberたちが参加しました。またこのイベントで、海月シエルさんのオリジナル曲「Vtuber一問一答自己紹介」のテンプレートが、大画面のスクリーンに映し出され、VTuberたちの宣伝動画として流されていたのはとても面白かったです。


https://twitter.com/VFestaTH/status/1586748559411408897 https://twitter.com/VFestaTH/status/1660299412231553024 https://twitter.com/Beam_haruka/status/1642008494546247680 https://twitter.com/VFestaTH/status/1685130019163803648

このイベントは一回限りで終了することなく、定期的に開催されていて、個人的にはタイのVTuberイベントと言われれば「V-Festa」という印象があります。通常、このようなイベントを継続して行うのは困難で、それではなぜ定期的に開催が可能なのかというと、主催者がGuardian Angel Aiと、タイでゲームやポップカルチャーの面白さを市場として育ててきた「SHIN-A Service」主催しているためです。

タイの中で注目すべき存在のVTuberは?

ここで、現在のタイのVTuber文化の中で見逃せない存在といえるVTuberを、どのように活躍しているのかを具体的に紹介しながら、ピックアップしてみます。

インディーVTuberの台頭:声を巧みに操るLaibaht


https://www.youtube.com/watch?v=xrWLzhw8inY https://www.youtube.com/watch?v=nb1fNtfBpj0 https://www.youtube.com/watch?v=egbo6T_toXY https://www.youtube.com/watch?v=ph6h5xmaRcQ

タイのVTuber業界では、グループ活動ではなく、ソロでスターダムの階段を駆け上がった驚異的な存在もいます。「Manybaht V Project」に所属する「Laibaht(หลายบาท)」は、その一人です。Laibahtさんはやや大胆なASMRを中心に、ミームネタを取り入れたネタ動画や人気キャラクターの声真似を披露するなど、声とユーモアを武器に人気を集めています。また、カバー曲も公開していて、個人的には「Earth, Wind & Fire – September」をカバーした「i sing the best september」がお気に入りです。この曲ではLaibahtさんの明るさ、可愛らしさ、ユーモラスさが感じられます。


https://twitter.com/manybaht/status/1608464140879945728 https://twitter.com/manybaht/status/1636326081329524737

VTuberがどれだけ愛されているかを示す一つの指標として、応援広告があります。K-POPの流行に伴って世界的に広がった応援広告は、VTuberのお誕生日を祝うイベントにも定着しています。タイでもこの文化はすでに一般的で、VTuberの応援広告も「MBKセンター」の大型ビジョンに表示されることがあります。

また、飲食店でのコラボイベントも行われ、等身大のパネルが設置されたり、限定グッズが配布されるなど、さまざまな形での応援が行われています。これに加えて、翻訳声優もしていて、Laibahtさんは「パリピ孔明」でメインヒロインの月見英子役や「推しの子」の有馬かな役を担当しています。

eスポーツにも進出:プロゲーミングチームを渡り歩くDtto.


https://www.youtube.com/watch?v=P3_nt4dN6gA

トリリンガルを操るVTuber「Dtto.(でぃっと)」は、APEX LegendsをはじめとするFPSゲームで活躍する国際的なVTuberです。デビュー時には日本のプロゲーミングチーム「SCARZ」に所属し、契約満了後は一時的にインディー活動を経て「REJECT」に加わりました。

渋谷ハルさんやホロライブのラプラス・ダークネスさんとコラボしていて、日本でも知名度があります。また、タイ語での配信も行っているため、タイ国内でも多くのファンに応援されています。そしてタイで活躍するVTuberが参加する「MARUYA」という名のオフラインイベントにも招待され、タイでの知名度の高さが伺えます。

FPSゲーム以外にも、VTuber活動を始める前から歌ってみた動画の投稿を続けていて、その中で心地よいサウンドと独特の柔らかい声で歌い上げた「Glare」という楽曲は、気持ち良い聴後感に仕上がっていてオススメです。

音楽シーンへの広がり:魂に響く声で歌い上げるUnnämed


https://www.youtube.com/watch?v=9gBNlpDTGck

タイのVTuber楽曲シーンという文脈において、見過ごすことのできないシンガーが「Unnämed(U-san)」です。オリジナルソングやカバー曲は力強くも繊細で、エモーショナルに歌い上げた作品が多く、音楽を介して、世界中のファンを魅了し続けています。

特におすすめしたいのは、ARPのDacapoさんとコラボした「Ado - 踊 (Odo)」のカバー曲。この曲の最大の魅力は、実力派シンガーが声で殴り合っていて最高にカッコイイことです。

また、原曲のMVでは元々ボクシングしていたのを、ムエタイの世界観に変えたアレンジが施されています。これは、タイを拠点に活動するARPへのリスペクトの表れであると同時に、インタビューで語られていたタイで活動した経験があるU-sanのルーツが影響しているのかもしれません。

タイ最注目のVTuberグループ「Algorhythm Project(ARP)」とは?


https://www.youtube.com/watch?v=6CbH6mUVPiw

VTuberファンの中には、ニッチに特化した追っかけをするファンが存在します。その1つに、VTuberの音楽をこよなく愛するファンたちがいて、そんなクレイジーなVTuber楽曲愛好家達のセンサーにとあるエージェンシーの音楽がかかり始めます。

そのエージェンシー名は「Algorhythm Project(ARP)」と呼ばれていました。

筆者自身は愛好家ほどの情熱を持ったVTuber楽曲ファンではありませんが、それでも2022年は国内外を問わず、1年間VTuberの音楽に没頭していました。とりわけ、ARP所属Solarさんの「Solar feat. @Selene_ARP – Dawn」に衝撃を受けたことは、いまでも思い出せます。歌声に、感情に殴りかかってくるような力強さがあってバーチャルシンガー「花譜」を彷彿とさせるものがあったからです。そして筆者に感情的な文章を書かせているもう1つの衝撃は、緻密に作り込まれたアニメーションが独創性に富んでいるところです。

2022年時点でVTuber楽曲には、クオリティの高いMVがすでに数多く存在していました。ホロライブでは「宝鐘マリン – I’m Your Treasure Box」、にじさんじでは「Vox Akuma – New Cydonia」などがそれぞれ美しいアニメーションMVを投稿していて、「KAMITSUBAKI STUDIO」は世界観レベルで緻密にクリエイティブしていることで有名です。しかし、海外では無名だった企業が突然、この熱量のMVをだしてくるのは鳥肌でした。さらに注目すべきは、このMVにはなぜか「日本語の翻訳歌詞」が付いていて、非常にそそられる作品でした。

音楽の力で新たな道を切り拓く「Algorhythm Project」


https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1367474401587863555

独自の言語が存在する文化圏には、その土地特有の音楽文化が根付いている。日本にはJ-POP、韓国にはK-POPが存在するように、タイにもT-POPと呼ばれていて独自のジャンルがあります。タイの音楽シーンは、伝統的な音楽に注目が集まりつつも、新しい世代の音楽が数億回再生されるぐらいに、音楽の存在感がある国です。タイ出身のアーティストがK-POPで活躍していることからも、そのポテンシャルを伺えます。

そんなタイで成長を続けているのが、ARPなのです。このプロジェクトを運営するのは「Realic Production Co.,Ltd.」で、理念は「私たちはクリエイティブな人間です。バーチャルYoutuber/ミュージックビデオ/モーションコミックなど、これまでタイ人が見たことのないオリジナル作品を制作して、あなたの夢と想像力を満たしてください。」と語られています。

ARPという名称は、「Algorithm」と「Rhythm」の合成語から来ていて、音楽のリズムを通じて様々な目標を達成したいという意志が込められています。また音楽だけでなく、個性溢れる才能を持つメンバーが配信を行っているのも盛り上がりにつながっています。

ARPは他のVTuberエージェンシーと何が違うのか?


https://algorhythm.realic.net/members https://twitter.com/LapisJellyF_ARP

VTuber業界では、オーディションを公開形式でおこない、所属タレントを増やしていく傾向が強いです。しかし、ARPはこの慣習とは真逆を行っていることが特徴です。ARPは大規模なオーディションをおこなわず、自らのエージェンシーと既に関係のあるクリエイターや、何らかの接点を持つ才能あるタレントを直接スカウトしています。

このような運営方針があるためか、メンバー間の結びつきは非常に強く、チームワークの良さが随所で光ります。活動を始めてもうすぐ4年目を迎えるARPですが、現時点で1人もエージェンシーを離れたメンバーはいません。


https://www.youtube.com/watch?v=6CbH6mUVPiw

別の特徴として、ARPのメンバーたちは音楽制作において積極的に協力し合っていることがあげられます。

例えば、ARPの最初のアニメスタイルのMV「Dawn」では、映像制作を除く作曲や編曲、ボーカルエディット、ミックス、マスタリング、バックボーカル、字幕、日本語訳、英訳を所属するVTubeやその後デビューしたVTuberが務めています。さらに、メンバーたちがコメント欄で猛烈に感動していて、リリースのために多大な情熱を注いだ作品であることがうかがえます。

MVから分かるタイの手書きアニメ制作の成熟


https://www.youtube.com/watch?v=GhbpyfesrhQ

ARPの特徴の1つとして、MVの手書きテイストのアニメーションだと述べましたが、ではこのアニメーションはどこから来たのでしょうか?

そもそもタイのセルアニメーションやCG(コンピューターグラフィックス)アニメの歴史は古く、1950年代にまで遡ります。タイにおけるセルアニメーション映画のパイオニアは、「Payut Ngaokrachang」とされています。Payutさんは、日本でアニメーションを学んだ経験があり、セルアニメーション用のカメラスタンドを独自に設計しています。


https://www.youtube.com/watch?v=FF5vbODeHdk

しかし、タイ国内で手書きアニメーションがどの程度発展しているかというと、調査した限りでは顕著な作品数は多くありません。むしろ、CGアニメの方が成長しているように思えました。これは単なる筆者の推測に過ぎませんが、タイのアニメーション市場が以前不安定であったことや、アニメーションのソーシングアウト大国のタイで日本以外の外資の影響が強かったからだと考えています。最近では、Netflixで日本の原作小説を元に3Dアニメを制作した「IGLOO STUDIO」に、東宝が下請けではなく、元請けとして出資していて、日本国内からも注目されています。

タイのアニメーション産業がアウトソーシングの大国となっている理由には、低い人件費も一因としてあげられます。しかし、主要因はタイ政府が外国企業を積極的に誘致し、アニメーション分野において外国資本の株式所有率の制限を緩和していることにあると言われています。さらに、デジタル経済振興庁(DEPA)がデジタル化を推進していて、それによってアニメーションとゲーム業界が本格的な成長を遂げています。


https://twitter.com/saratowga/status/1732637626237333706

タイの大学においても、日本の専門学校のようにCGアニメーションに特化したカリキュラムを提供しています。この取り組みの一環として、専門分野で活躍している技術者をゲスト講師として迎えることで、学生に実践的な知識も共有されるようになっています。もちろん、ARPのMVアニメーションを担当したクリエイターらも、バンコクの歴史あるスィーパトゥム大学で講演を行っています。

ARPのアニメーションを作成しているクリエイターには実力者が数名いて、とくにEvaliaさんの「คงคา (Endless Echo)」の映像ディレクターを務めたタイのアニメーターKAGOさんは、日本のアニメーション業界でも実績を積んでいます。KAGOさんは2023年には、「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキーアニメーター(原画)「ウマ娘 プリティーダービー」のアニメーションディレクターとしても活躍していました。

ARPがリリースした50曲以上のオリジナルソングの中で、手描きアニメーションが10曲以上になっていて、制作に携わるタイのクリエイターも徐々に増加して、KAGOさんたちは「ANIMETIX」というアニメーション専門のスタジオを設立するほどの規模へと成長しています。

ARPの根幹を支えるCEO「REAL」のコンテンツに対する情熱


https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1610639907843723264
https://youtube.com/watch?v=WmEOkpC6IrQ

ARPを支える中心人物の一人として、Realic ProductionのCEOである「REAL」がいます。ARPメンバーからは「レッドダック」という愛称で親しまれ、しばしばTwitterで面白おかしくネタにされたり、MVに出演したり、恋人作りの企画にされたりと、非常に愛されている存在であることが伺えます。


https://www.youtube.com/watch?v=dC2gJncUcrU

その一方でARPレーベルの歌詞を始め、世界観の構築にも深く関わり、クリエイターとしても活躍しているのがREALさんです。「V-MATSURI」ではREALさん自らがその美声を披露、さらにARPの1周年記念に、ARPに対する想いを込めて書き上げた「My Lyrics」を仲間たちと歌唱し、多くのファンを感動させました。

そんなREALさんが掲げている座右の銘は「楽しい作品を作って、そして死ぬ」です。この言葉からもわかるように、クリエイティブやARPに自分の人生を全て注ぎ込んでいるのだなということが伝わってきます。


https://twitter.com/realofficial_th/status/1729088001672978761

REALさんはクリエイティブな才能はもとより、母国の文化に対する深い愛情を持っている人物です。タイでは「วันลอยกระทง(ロイクラトン祭り)」という、満月の夜に川の女神への感謝と謝罪の気持ちを捧げるお祭りがあります。その日、REALさんとARPのメンバーは女神に対して自らの音楽作品に関する感謝と謝罪、そして強い決意を示しました。

この強い想いは、同日にリリースした音楽作品のバズを導いてくることになります。

ARPのこれまでの歩みから見えるVTuberカルチャーの隆盛


https://algor-arcana.eventpassinsight.co/

ARPには、インディーVTuberが個別に加入するルートと、グループデビューする2つのルートがあります。グループデビューにはさらに2種類のパターンが存在して、一つはグループに特定のテーマを持たせる形、もう一つはREALさんが創り出した物語のキャラクターとしてデビューさせる形です。

2021年4月:手探りから始まったVTuberプロジェクト


https://www.youtube.com/watch?v=zE_5EfY4pNk

ARPから最初にグループデビューしたのは、「1ST OPERATION APOCALYPSE」と称される物語性を持たせたグループです。廃墟と化し絶望に満ちた世界の生存者たちで構成され、死後の世界の竜王「Asteroth」、魂を冥界に導くバンシー「Evalia」、エイリアンアンドロイドの秘密警察「S1R」といった、異なる世界観をミックスしたようなキャラクターたちで構成されていました。この当時、Realicはまだ法人として設立されていなかったため、チャレンジ的な姿勢が強かったのではと筆者は考えています。


https://twitter.com/7ofumus/status/1484484239143813122

ARPの初期のキャラクターモデルは、いかにも駆け出しで手探り感のあるLive2Dでした。それでも当時からファンがしっかりと存在していて、期待が寄せられていたことが伺えます。ただ2021年から2022年にかけてのタイのVTuberコミュニティは、英語圏や中国、インドネシアと比べて成長途上の小さなVTuber市場で、SuperChatはまだ実装されていなかったため、いろいろハードルは高いものでした。しかし、熱狂的なファンによって支えられながら、ARPは徐々に現在の洗練されたスタイルへと成長していきます。


https://www.youtube.com/watch?v=o0JabuKg-1U
https://www.youtube.com/watch?v=dufWaRfhfDI

ARPで中心的な存在になっているのがEvaliaさんです。ライブ配信では蓮の花が咲いたように笑い、どことなく自信なさげな様子を見せながらも、お茶目なジョークでメンバーをからかい場を盛り上げるムードメーカーです。配信ではタロットカードの占いを行いつつ、酒を飲んでベロンベロンに酔っ払いながら雑談する様子がみられます。とても一挙手一投足がかわいらしいVTuberです。かわいい。


https://www.youtube.com/watch?v=_wDhqdMYDgI

また、ARPエージェンシー内でも数少ない3Dモデルを持ち、それを活用したライブやVRChatの配信を行っています。タイはデジタルへの投資が進み、IT分野が急速に発展していて、日本よりもキャッシュレス化が進んでいる面もありますが、インフラの面ではまだ不十分な部分が存在します。実際、ARPのメンバーの中にはインフラの問題で配信を中断せざるを得ないケースも時折見受けられます。そのため、日本や英語圏では一般的な3D配信も、タイのVTuberシーンにおいてはまだまだ珍しいカテゴリに入るのです。


https://www.youtube.com/watch?v=hFzGIEoTAYI

Evaliaさんの音楽活動も魅力のひとつです。その魅力に気づかされたのは、「แค่เมา(Tequila)」という曲。この曲は、Dawnのリリース1カ月後に投稿されました。

曲の構成は、どこかしら物思いに耽るかのようなEvaliaさんの歌声と、おしゃれなサウンドに、冷たい氷がカラリとぶつかり合う心地の良いリズム感で、ムーディな空間を創り出していて、お酒を嗜むEvaliaさんの大人な魅力を存分に引き出しています。

Evaliaさんの音楽に対する姿勢にも素晴らしいリスペクトがあります。ゲーム「パラソーシャル」のテーマソング「平葵 – loony」のタイ語版カバーをツイートした際、トラックメーカーの小唄さんから引用でコメントをもらい、Evaliaさんは「このきょくおだいすき!」というメッセージを手打ちして丁寧に返信したのです。自動翻訳が進化した現代で、こういった姿勢はとても心打たれます。

2021年9月:グループ拡大とブランディングに見える苦悩


https://www.youtube.com/watch?v=cLLX_uuNrhI

次に登場したのは、4人組のユニット「SECOND OPERATION ECLIPSE」で、月の女王「Selene」太陽の主となった少女「Solar」、文明の最高指導者「Zekai」、世界を放浪する流星少年「Zenith」で、グループに統一性が出始めました。 特に興味深いのは、物語の設定とは異なり、「Virtual Singer(VSinger)」などの肩書きがメンバーにつけられていた点です。これは、エージェンシーが拡大していく中で、物語性とメンバーの個性をどのように両立させるのか悩んだ結果だと思われます。


https://twitter.com/bluesura/status/1675120597897191425

このユニットで注目すべきメンバーとして、Solarさんを紹介したいです。歌声は、かわいらしい外見からは想像もつかないほどの情感と迫力あるボーカルが特徴的です。また、日本語の曲も非常に流ちょうに歌いこなします。多くのARPメンバーが日本語曲を歌唱できますが、Solarさんのパフォーマンスは特に尖っています。

選曲は、AdoやLiSAのようにエネルギッシュなカバーソングが中心です。「Cosplay Art Festival(CAF)2023」ではSolarさんにとって思い入れの強い「カンザキイオリ – 命に嫌われている。」を熱唱しました。また、定期開催されているチャリティーコンサート「ARParty」では、「花譜 – 過去を喰らう」をLive2dで花譜ステップを再現しながら可愛く披露しています。


https://www.youtube.com/watch?v=wztkqv_SMzg

次に紹介したいのは、「Virtual Music Composer」のZekaiさんです。EvaliaさんのTequilaなどARPの音楽制作の大部分を手掛けている1人で、配信などでも音楽に関わることを主に行っています。内容は自身のオリジナル曲の投稿や制作風景を配信するだけでなく、自身が手掛けた「𝐌𝐢𝐥𝐥𝐢𝐨𝐧 𝐌𝐢𝐫𝐫𝐨𝐫」や「Silent Love」、「Sweet ✰ Gluttony」の舞台裏を語るなど幅広いです。また、こうした活動はARP内だけでなく、NIJISANJI ENのVezalius BandageさんのBGM制作を担当したりと活躍の幅も広げています。筆者的にZekaiさんでオススメなのはカバー曲で、「NewJeans (뉴진스) – ‘Ditto’」や「偽顔/nisekao – yama」ではエロティックなイケボを披露しています。

2021年11月:外部VTuberグループからの移籍


https://web.archive.org/web/20220712143520/https://algorhythm.realic.net/members/

先ほど、2期生にだけ肩書きの表記がされていると述べました。この影響で結成されたと思われるのは、「V-AGENT」というグループです。そして、このグループに最初に加入した最初の1人めのキツネの精霊「Aoi Crescent」は、以前「Sandblock Virtual Group」というグループでインディーのVTuberとして活動。しかし、そのグループが解散した後に、Aoiさんの名義を変更することなくV-AGENTに参加することになった2021年当時では異例の経歴の持ち主です。

主な配信は雑談やゲーム実況ですが、カラオケ配信したり、ARP内で「Symphonia」というチームに参加し、音楽面でも活躍を続けています。


https://www.youtube.com/watch?v=XTkZVlGj6PE

そんなV-AGENTは、個々の活動や新しいグループ結成の前段階としての役割を果たしています。ふわふわヒグマのエージェント「Calista」、ネコマタ電気技師および伝説のセールスマン「HyougaAlpha」、S1Rに命を救われたハスキー「Latta」、無一文の白鳩騎士「Ricotta」、医師を兼業しているパンダの子孫「Tequila」など、プロフィールにはARPで仕事をしているかのような設定を振られているメンバーが多いです。

その中で目を引く活躍を見せているのが、農家の家庭で育った少年「it’s hi」です。hiさんもARPの音楽制作の音作りに関わっている1人で、自身のオリジナルソング制作では、自身で作り込むこだわりを見せています。オリジナルソングは甘い恋愛ソングが多く、「“ชัด ชัด” (focus)」はARP内で高い再生数を記録し、「“คิดเหมือนกันรึเปล่า” (Puppy Love)」はT-POPランキングで高い位置にランクインしたこともあります。

2022年2月:テーマを持って活動するVTuberたち


https://www.youtube.com/watch?v=0U-b1sfatpo

「3RD OPERATION ILLUSION」は、魔法の鏡と融合した「Ayna」、悪夢を食べる伝説の悪魔「Baku」、銃を携えたレコードプレーヤー「Listen」の3人で結成されていました。この頃から、グループに「目・心・耳の3つの感覚が信じられなくなったら、真実とは何か?」といった感じに明確なテーマを掲げられるようになっています。

TwitterではMV動画が投稿され始め、動きに企業らしい戦略性が出始め、このユニットの活動開始から約1ヶ月後に「REALIC PRODUCTION CO., LTD.」が設立されました。


https://www.youtube.com/watch?v=PvIpDqFnPCE
https://www.youtube.com/watch?v=m3WhITZj1WA

新たなメンバーの加入により、ARP全体の才能の幅が広がりました。、その顕著な例がBakuさんです。とくに注目してほしいのは、VTuberのデザインに日本文化の要素が数多く取り込まれている点です。かんざし、藤の花、和服、紙垂(しで)、刀など、日本に密接に関連した要素が随所に盛り込まれています。

デザインの話だけではありません。Bakuさんは日本語も話すことができ、筆者がコンサートの感想をツイートした際には、丁寧な日本語で返信してくれることもありました。このころから、ARPのオリジナルソングには日本語字幕が付けられるようになり、日本に何らかのゆかりを持つメンバーが関わり始めたことが伺えます。そして、この後も日本に在住するメンバーの数が増えていくことになります。


https://www.youtube.com/watch?v=_dvQJPOGKrQ

Bakuさんは、シンガーとしても非常に魅力的で、力強さと伸びやかさ、広がりを兼ね備えたその声は、オペラ調の楽曲にも見事にマッチします。オリジナルソング「𝐄𝐭𝐞𝐫𝐧𝐚𝐥 𝐃𝐫𝐞𝐚𝐦」では、西洋的な建築やゴッホの「星月夜」を思わせるような夢幻的なシーンに、優雅な社交ダンスや刀でのバトルを丁寧な手描きアニメーションが見事に引き立て、Bakuさんの美しさを際立たせています。Bakuさんの歌声も繊細な歌声が物語を始まりに導き、力強い声で終盤の緊張感を見事に伝えていて、素晴らしいです。

2022年12月:転換期、そして化学反応


https://www.youtube.com/watch?v=O-yxpqqxjWg

「SPECIAL OPERATION SYMPHONIA」以降、ARPは物語とは異なる目的を持たせたグループも結成するようになりました。ARPは新曲のリリースやチームの結成を、オフラインイベントを通して発表することが多く、ARP初のオフラインコンサート「Unknown Destiny」で新グループをお披露目しました。

このグループのメンバーには、以前から個々に活躍していたAoiさんや、地球に戻れなくなった宇宙猫「Uniwii」、ふわふわとご奉仕してくれるチンチラネズミ「Maylyn」、人々の願いを叶える星霊「Aosora Popo」が含まれています。

中でも注目すべきメンバーが「Eileennoir」で、この方も興味深い経歴を辿ってきています。Eileennoirさんはもともと日本でも知名度のあるVTuberエージェンシーで、別名義の人気VTuberとして活動していましたが、所属事務所とのトラブルで脱退。インディーVTuberとして活動して半年も経たないうちに、ARPへ加入するという驚きの展開になりました。


https://www.youtube.com/watch?v=1qA1zoC81FQ

EileennoirさんがARPに加入してからは、素晴らしい化学反応を起こしていきました。最初のオリジナルソング「Blessing of the Nephilim」は、そのタイトルが示す通り、旧約聖書に登場するネフィリムをベースにして創作されたMVになっています。この物語では、人間の運命を弄ぶネフィリムが人間の欲望を叶える代わりにそれに見合った代償を求め、滅びていく物語が描かれています。

この自叙伝MVの魅力は、EileennoirさんとMagnumさんのデュエット、音楽やアニメーションの素晴らしさや次作「4TH OPERATION」へと繋がる伏線が散りばめられている点にもありますが、何よりもMVで作品を通しMagnumさんがEileennoirさんの今までの物語を作品へと完璧に昇華している点にあります。

もともと目を見張る活躍していた前世で、エージェンシーがいろいろ超えてはいけない一線を超えてしまい、冗談抜きで崩壊したというエピーソードを知っている身としては、MVがそのエピーソードとダブってしまい、MVのEileennoirが炎の中で氷のように冷たい怒りの表情を向けてくるシーンはとても生々しいものがあり、感情を全て作品に詰め込む形で昇華しきっているのはクリエイターとして素晴らしいです。


https://twitter.com/Eileennoir_ARP/status/1743683916530348148

Eileennoirさんについてこれまで紹介した内容だけでは、Eileennoirさんに対して少し怖い印象を受けるかもしれませんが、実際はARP加入以降、自然な笑顔が溢れる瞬間が増えています。ARPのメンバー間では、Discordのやり取りやSNSでの楽しい交流が頻繁にあり、彼らの親しい関係を示す写真もよく投稿されています。例えば、Evaliaさんとのバカンスの写真からは、本当に心を許せる仲間を見つけたんだなと思え、心を温かくしてくれます。

そして、この周りのサポートと温かな交流は、Eileennoirさんのクリエイティブな活動にも良い影響を与えています。例えば、Eileennoirさんがプロデュースした「ชอบเราได้ยัง (Be mine)」は、女の子同士の恋愛をテーマにしていて、心の余裕があったからこそできた曲だと筆者は考えています。

2023年6月:タイから中国への進出


https://www.youtube.com/watch?v=4fSaza0BV3M

Eileennoirさんはその後「DIVISION 神悦 SHEN YUE」というARPの国際部門にも加入しました。このグループには、1期生のEvaliaさんの他に、新たに中国の縁結びを司る女神「Effy」がメンバーとして加わりました。そして単に設定だけではなく、Effyさん自身がオーストラリア在住の中国人であることがデビュー配信で明かされ、Bilibili限定の配信では流暢な中国語を披露しています。

このグループでは、中国をテーマにしたオリジナルソングをいくつも発表していて、その中のデビューソング「神迹之花」では、タイ語と中国語の2バージョンがリリースされました。このような活動も含め、ARPは成長に伴い、国際的な視野も持つようになっています。

2023年7月:楽曲をきっかけに広がる認知


https://www.youtube.com/watch?v=pSeOIFRqq_k

「4TH OPERATION OMINOUS」は、デュラハンの運び屋「Ark」、ポーションショップのオーナー「Famine」、ペストの擬人化「Ivy」、ジャズバーのオーナー「Magnum」という4人のユニットで構成されています。このグループでは、欲望が引き起こす飢饉、戦争、疫病、死といったテーマをそれぞれが担当しています。

Infinite Chaos」では、男女の声域の違いを活かしたハーモニーを醸し出し、その中でオペラ調な音とFamineさんの絹のような声、メタルな音とMagnumさんのデスボイス、kawaii曲調とIvyさんのカワイイボイス、アイドルな音楽とArkさんのイケメンなボイスといった個々のパートを展開するチャレンジングなこともしています。


https://www.youtube.com/watch?v=WmEOkpC6IrQ

このチームで面白いなと思いウォッチしているのはIvyさんです。Ivyさんは日本語をある程度話せるメンバーの1人で、日本に在住しているようです。日本の四季を捉えた写真を投稿したり、サンリオランドを楽しむ様子を見せるなど、日本での生活や可愛いものへの愛好をときどき垣間見せてきます。

Ivyさんがリリースしたオリジナルソング「Dopamine」もそんな趣味が反映されていて、OMINOUSからリリースされた楽曲の中でとても異なるユニークな仕上がりになっています。この曲は、アルトネリコ3の音MAD「ブリ(゚∀゚)ハマチ」を彷彿とさせるような、ゆるふわ系の子供向けソングです。そしてこの動画の影響で実際に幼稚園で子どもたちが踊っている様子が投稿されていたりもしています。こうした動きは、「踊ってみた」系の動画を楽しむユーザー向けに、公式からダンス動画が投稿されるなど、ARPの活動の幅が広がるきっかけにもなっています。


https://www.youtube.com/watch?v=tMTTp1CQQMk

Magnumさんは、Zekaiさんと同じくARPの音楽制作の大部分を担当しているメンバーの1人です。Magnumさんは配信でバーの背景を使っていて、そのイメージのとおり、お酒(特にカクテル)を楽しむことが好きで、甘いスイーツが苦手という、可愛い性格をしています。

音楽制作においては、非常に紳士的な態度で、デビュー時に設定した目標は、メンバー全員が歌える曲を制作すること、100万再生を達成する曲を作ること、そしてARPをグローバルレベルにまで引き上げることでした。これらに対するMagnumさんの情熱は強く、予想よりも早くこれらの目標が達成されることになります。

2023年3月:とあるライブが世界的な注目を集める事態に


https://www.youtube.com/watch?v=79w0ee6AU2I

ARPの成功には、素晴らしい音楽作品やメンバーの努力が大きく貢献していることは間違いありません。しかし、その中でも特に飛躍的に伸びるきっかけを作ったのが「CELESTIAL OPERATION ORION」です。ORIONを、日本のVTuberファン向けに説明すると、「NIJISANJI EN」の「Luxiem」に相当するような、クールな男性グループです。バフォメットの末裔「Baabel」、グロスター・カナリア「Dacapo」、クトゥルフを使役する教師「Schneider」の3人組で、外見は爽やかなイケメンでありながら、キュンとくる性格、声はcursiveなボイスで乙女心をくすぐる心地よさを持っています。

2023年3月に「Escape from the sky」のMVとツイートを投稿したところ、当時のファンの規模をはるかに超える反響を呼び、大きく注目されることになりました。さらに、1週間後に開催されたイベントでは、そのバズりを受けて女性ファンからの熱狂的な声援が起きていたのも印象的です。


https://youtu.be/jvboZy4-Hz0?t=2644

ORIONの歌唱力とARPの音楽イベントに対する情熱、そして新たに獲得したファン層の注目は、さらなる騒動を引き起こすことになります。この騒動のきっかけとなったのは、「CAF COSPLAY ART FESTIVAL 2023 IN THAILAND」でした。このイベントとARPのminiコンサートは実質無料で参加できたため、多くのファンが集まり、筆者も現地でその熱気を体感しましたが、熱狂的な歓声に包まれ、大成功を収めていました。

事件は、このイベントから数日後に起きることになります。TikTokにファンがコンサートで撮影したDacapoさんのカバー曲「藤井風 – 死ぬのがいいわ」が突如として大きな反響を呼んでバズりました。このバズりが起きた要因は、藤井風がタイを含め世界的にヒットしていたこと、Dacapoの素晴らしい歌唱力、そしてLive2Dの動きを活かした心をくすぐる演出が要因になっていました。

しかし、このバズりが注目を集めるうちに、Live2Dの演出が一部でネガティブな反応を呼んでしまいます。特に、Live2Dの動きを揶揄する動画を投稿したインフルエンサーがTikTokで反響を呼び、さらにTwitterで議論を巻き起こすことになりました。驚くべきことに、この現象は「Know Your Meme」にトラブルの解説が記録されるなど、様々なところでミームとして伝播しています。その影響は日本にも及び、VTuberにもサービスを提供しているCEOからも言及があるなど、この事件が広範囲にわたって拡散していたことは間違いないです。


https://www.youtube.com/watch?v=QGhIW-IAwV0

この事件後、Dacapoさんは悪意あるコメントに対して簡潔に返答する一方で、ファンやVTuberコミュニティからの励ましの言葉に深く感謝していました。この時期に、英語圏で有名なVTuberたちからコメントが寄せられ、これらの交流は後にVTuber同士のコラボへと繋がっています。

この事件のアフターエピソードとして、DacapoさんやORIONは音楽を通じてこの事件に対するアンサーを返しています。具体的には、Dacapoさんの「ストレンジ – ¿? feat.flower」のカバー曲、またORIONのSchneiderさんが作詞を担当したオリジナルソング「Dangerous Sky」です。このように、クリエイティブな作品で対応するARPの姿勢が、ファンの心を引きつけている一因となっていることは間違いありません。

ORIONの国際的な成功が周囲に与えた影響とは?


https://www.youtube.com/watch?v=liRcAL50Zlg

ORIONの国際的な成功は、タイのVTuberエージェンシーに大きな影響を与えたと感じています。具体的には、これまで女性VTuberのみをデビューさせてきたタイのエージェンシーが、男性VTuberグループの発表を相次いで行い始めました。例を挙げると、Pixela Projectが「Pixela Destiny」を、Aishaさんを生み出したGuardian Angel Aiからは「Genesis」、WISLIVEからは「DE-PHANTOM」がデビューしています。特に音楽を中心に活動するグループは、数字上での成長が顕著に見られます。

さらに、ORIONが注目を集めた同じタイミングで、韓国のPLAVEというWebtoonスタイルの男性バーチャルアイドルグループも国際的に大きな人気を博しました。この盛り上がりにより、タイ以外のVTuberコミュニティでも、男性VTuberやグループのデビューが増加する傾向が強まっています。


https://twitter.com/StageTpop/status/1733156369518436461

先述のとおり、タイはその多様な文化を受け入れる姿勢から、「文化のるつぼ」とも称されるほど、様々な国のコンテンツを無差別に取り込んでいる国です。これまで紹介してきたタイのVTuberたちの音楽性を見ても、それが明らかです。

一方で伝統を大事にする姿勢もあり、音楽ライターからは、「伝統と流行が融合していくタイの音楽」と高い評価を受けています。しかし、そうであるにも関わらず、T-POPのランキングを見ると手書きアニメスタイルのMVはほとんど見られませんでした。

それが、ARPの成功で変化し始めています。具体的にはARPのアニメスタイルのMVがランキングの常連になり、トップに迫るほどの人気を獲得しているのです。これは、手書きアニメスタイルのMVもタイで今後広く受け入れられる可能性があることを示していて、ARPがタイの音楽シーンに新しい風を吹き込んでいるのです。

タイの伝統文化と現代の流行が融合し、独自のカルチャーが誕生


https://www.youtube.com/watch?v=f_gN2-_UZIs

Evaliaさん、Magnumさん、ARPがタイ国内外で大きく再評価されるきっかけとなったのは、「คงคา (Endless Echo)」です。この楽曲の物語は、ผีพราย(幽霊または精霊の一種)が自らの永遠に続く孤独を癒やすために人間を次々と魅了して魂に変え死ぬまで弄び、その結果、神の怒りを買い川の水底に封印されてしまうというものです。この物語は、พระแม่คงคา(川の女神プラ・メー・コンカー)をベースに創作されていて、そのタイの伝統的な物語の引用という文脈だけでも非常に素晴らしいものがあると言えますが、評価されるべき点はそれだけではありません。


https://www.youtube.com/watch?v=f_gN2-_UZIs

伝統的な文脈では、Evaliaの声質に溶け込むようなタイの打楽器や弦楽器タイ楽器だけのバージョン)の美しいサウンド、ロトスコープでアニメーション化された魅惑的なタイのダンス、アレンジされた民族衣装、プラ・メー・コンカを崇拝する呪文、伝統を研究しつつも遊び心を取り入れた巨大な壁画伝統的な高床式建築、หนังตะลุง(伝統的な影絵人形)の専門職人によって作られた人形などがあります。これらに、VTuberらしい手書きアニメーションやLive2D、3Dといった新しい技術を効果的に組み合わせ、タイの新たなクリエイティブとして昇華させている点が、大きく評価される理由です。


https://www.youtube.com/watch?v=G6iGzpAPkDY

この曲が高い評価されている証として、タイのクリエイターの反応があげられます。とくにTACHAYAさんというタイの伝統楽器や歌い方で音楽を作り、様々な受賞をしたクリエイターから「素晴らしい、とても美しい」とコメントをもらっているのが大きいです。

代表曲の「หัวใจทศกัณฐ์ [Devil’s Heart] – เก่ง ธชย (TACHAYA) ft.ทศกัณฐ์ 」は1億再生を超え、間違いなくタイを代表するシンガーの1人でもあります。そして上記のコメントを貰った後に、丁寧に作り込まれたカバー曲を投稿していて、「คงคา」へのリスペクトの深さが伺えます。

ARPが世界から注目を集める理由は?


https://twitter.com/Midnight12AMARP/status/1755947154479227348 https://twitter.com/SiamNeko_ARP/status/1756309545465598402 https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1733426229368467559

ARPは今タイで一番勢いのあるグループなのは間違いありません。楽曲がバズるだけでなく、オーディションを行っていないにも関わらず、次々と新しい才能を発掘し、外部からも才能を引き込んでいます。急激な拡大は時として痛みをともなうこともあるので、ここまでの成長速度は怖くもあるのですが、どこまでチャレンジできるのか楽しみでもあります。


https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1733109377656307774 https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1733109724290437323 https://twitter.com/ARP_Vtuber/status/1733109432337457244

そしてARPが筆者を含むファンをワクワクさせてくれる理由は、音楽だけではありません。ARPは初期の頃からメンバーがインディーや事務所の垣根関係なくコラボすることが多く、とくにORIONが成功してから海外のVTuberとデカいコラボをする機会が増えました。そしてそのつながりが実を結び、ARP初の大規模オフラインイベントで、有名インディーVTuebrや事務所も参加するという、他のエージェンシーでもなかなか見られない国際的な一大企画をやってのけました。こういった点も評価すべきものだと思っています。

タイのVTuberは、世界の中でどういった立ち位置になっていくのか?


https://twitter.com/ARP_Vtuber

タイのVTuberやARPについて紹介してきましたが、当然ながらタイ固有の事情に起因するデメリットも存在します。タイを訪れれば、顕著な格差とそれがインフラ整備に与える影響を肌で感じることができます。天候によって通信状態が悪化し、配信ができない日があるVTuberもいます。また、オフラインライブはリアルタイムではなく録画された動画を流すスタイルも一定数存在します。2019年のインタビューでは、5年後にはリアルタイムイベントを開催したいと述べている点からも、その課題は明確です。

決済の面も厳しいものがあります。タイ国内では銀行が協力してQR決済を普及させたため、国民にとって支払いが便利になっており、タイVTuberの投げ銭システムとしては、配信プラットフォームを通さない「TipMe」がよく使われています。しかしQRコード決済アプリはタイ国内の銀行口座を持っている必要があり、「𝐀𝐥𝐠𝐨𝐫 𝐀𝐫𝐜𝐚𝐧𝐚」でもQRコード決済しかできません。そのため、国際的なコラボが広がっているにも関わらず、海外のファンはイベントに参加できない状態でした。筆者が参加できたオフラインイベントは本当に偶然決済がクレジットカードに対応していたから行けたという背景があります。

それ以外にも、YouTubeはタイ語の自動字幕に対応しておらず、(AIを除く)機械翻訳は使い物にならないなど、言語面でも困難な部分が目立ちます。この記事を書く際にも、ウェブメディアのまともな情報ソースが見つからないため、大変苦労しました。

しかし、これらの課題はありつつも、タイは魅力に溢れた国で、ここで紹介しきれなかった注目を集めているタイVTuberはまだまだいます。VTuebrのイベントでは、若々しいエネルギーが感じられました。

そもそも、タイは音楽の才能も豊富な国で、文化的な魅力もあります。このような背景があるので、「Brave Group」のような企業もタイに拠点を設けることになったのではと筆者的には考えています。

今後、VTuberという切り口でタイがどのような新たな才能を世に送り出してくれるのか、非常に楽しみです。

「Algorhythm Project」 Original Song Playlist


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