バレエダンサーを目指す人形の少女を描く
今回紹介する「Feather」は、第76回ベネツィア映画祭のVR部門でプレミア上映され、2019年に「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」で上映された(現在、再開時期調整中)話題の作品です。オンライン配信も決定しました。(VIVEPORT: 2020年内予定、VR Square:2020年12月24日予定)
監督は、今年のベネツィア映画祭VR部門ノミネートがきっかけで、世界的に知られる存在となった伊東ケイスケ監督。今や日本を代表するVR映画監督となっています。
ちいさな人形の少女がバレエダンサーになる夢を目指す物語です。表題の「FEATHERー」は、ストーリーを大きく動かす重要な鍵となります。
オススメのポイント
1. 羽があなたを物語にいざなう
冒頭、上部から舞い降りてくるのは真っ白な羽。あなた(体験者)が拾い上げると物語がはじまります。ほんの数秒のシーンですが、この「羽を拾う」という動作が、物語に深くかかわっています。
人形の少女はバレエダンサーを目指す過程で様々な困難にぶつかることになります。そのたびに、あなたの目の前には必ず羽が舞い降りてきます。それを少女に渡すことによって、彼女は困難へと立ち向かう勇気を得られるのです。
この「羽を渡す→少女が困難に立ち向かう」というシンプルなインタラクションによって、作品世界に深く没入できるでしょう。
2. VR空間の使い方とシーンの切り替え
物語の舞台は、屋根裏部屋にある木製のドールハウス。誰も知らない秘密の劇場で1人の少女の成長物語を見届けることになるのです。
特筆すべきはシーンの切り替えです。物語が次の展開へと進むタイミングで、ドールハウス内の機械仕掛けが動き出し、セットごと入れ替わります。これにより物語の切り替えを意識すること無く楽しめます。
VR作品はスクリーン映画と違ってシーン転換で物語のリズムが一度切れてしまうという問題が起きがちなのですが、今作のような手法によって違和感のないテンポで作品を視聴できました。
3. 人形の少女と心が繋がる
今作は、VRに初めてふれる人にもスムーズに楽しむように考えられています。実際「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」で上映された際も、VRに初めて触れる方が多く体験しているようでしたが、違和感なく作品世界に入り込めたようです。
また先述した羽の受け渡しですが、とあるシーンでは全く違った展開を見せます。そのシーンを体験後「単純な物語という枠を超えて、少女と心が繋がれた」という感想が多く聞かれました。
クライマックスまで体験すれば、実は羽をとおして勇気をもらっていたのは「あなた」だったのだと気付かされるはずです。年末年始のホリデーシーズンに、ぜひ体験してください。
作品データ
タイトル |
Feather |
ジャンル |
アニメーション |
監督 |
伊東ケイスケ |
制作年 |
2018年 |
本編尺 |
約10分 |
制作国 |
日本 |
体験が可能な場所 |
Feather (6Dof/特別版) Feather (6Dofバージョン) Feather -屋根裏の秘密- (360°バージョン) |
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