フランスの奇術師・映画監督でもあるメリエスを題材にしたAR映画
前回に引き続き、Google Spotlight Storiesから「Back to the Moon」を紹介します。Google Spotlight Storiesはスマートフォンのアプリから体験できます。
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「Back to the Moon」はGoogle Dooble(記念日などにGoogle検索のロゴがその日に合わせたデザインに変更される企画)とGoogle Spotlight Stories、Nexus Studiosのコラボーレーションによって制作されました。VR、AR、フレーム映像で体験できるのですが、今回は特にAR版を紹介したいと思います。
AR版はiOS版の対応機種等でGoogle Spotlight Storiesアプリから体験可能です。カメラを通して見た現実にデジタル情報が重なって表示されるので、AR映画の場合、眼の前の現実空間で何かが起きているような体験できます。
「Back to the Moon」はフランスの奇術師であり、先駆的な映画監督でもあったジョルジュ・メリエスを題材に取り上げています。メリエスはそれまで現実を記録するものであった映画に、先駆的な撮影技術を数多く開発しました。特殊効果を使ったストーリー性のある作品は初期のSF映画として注目を集めています。
この作品はそんな彼の先駆的な技術をVRを使って見せるとともに、ストーリー性にも焦点を当てて作られています。
オススメのポイント
1. 自分の机の上で起こるストーリー
作品が始まると、画面には自分の眼の前の光景(スマートフォンのカメラの向こう側)が映されます。机の上などある程度の広さの平な場所を指定すると、その場所で物語は始まります(もちろん、スマートフォンの画面越しにしか見れませんが)。
「Back to the Moon」に登場するキャラクターは手のひらサイズなので、細かい動きを見たい時はスマートフォンの画面をキャラクターに近づけれましょう。別の角度で見たければスマートフォンを傾け、反対側を見たい時は回り込めば大丈夫です。
自分の机の上など現実空間を舞台とするので、見る場所によってまた感じ方も異なってくるでしょう。水の中のシーンや決闘のシーンなど画面全体が色づくので、場所を変えて体験するのもおすすめです。そういう意味では「自分だけの舞台で物語を見られる」といっても良いのかもしれません。
2. アニメーションで再現されるメリエスの撮影手法
この作品では奇術師メリエスの独創的な撮影技術がいくつも紹介されています。例えば、人物が分身するシーン。当時は同じ人物が何人も登場させる場合、その人物の動画を何度も撮影し、同じフィルムに多重露光して実現しました。他にも物体が消えたように見せるトリック、人が消えるトリックなどが数多くのトリックを作中では表現しています。
現在、CGで制作すれば難しいことはないのですが、1900年代の初期においては実写で、これらを行ったメリエスはかなり先駆的だったといえるでしょう。これらを1つひとつ調べていきながら見てもなかなか楽しいのではないかと思います。
今回はAR版を紹介させていただきましたが、VRでも同じストーリーを十分楽しめます。この3つめのポイントについてはVR版もAR版も同様です。
同じストーリーで感じ方が変わるVR版、フレーム映像版、AR版
Google Spotlight Storiesは以前紹介した「Age Of Sail」や「Pearl」などの作品は3Dofと同時に6DoFやフレーム映像であるTheatricalと3つのバージョンを制作しています。
「Back to the Moon」はVRとAR、フレーム映像の3つのバージョンを見比べ可能です。フレーム版は通常のフレーム動画と同様に監督の意図が伝わりやすく編集が行われているので、とても見やすいです。
VRは自分のために舞台が開かれているように感じ、世界観に浸ることができます。一方このAR版は不思議な人形劇のようなものを見られます。すごく近くまで寄ったり、上から見下ろしたりと、距離と角度で作品の受け取り方が変わるのがポイントです。
今回のAR映画ではVRとは全然違ったストーリーテリングの可能性を感じられました。フレーム用に制作する映画、VR用に制作する映画、そしてAR用に制作する映画の違いを追っていきたいところです。
作品データ
タイトル |
Back to the Moon |
ジャンル |
アニメーション |
監督 |
Fx Goby、Hélène Leroux |
制作年 |
2020年(AR)、2018年(その他のバージョン) |
本編尺 |
2分10秒 |
視聴が可能な場所 |
Google Spotlight Stories
App Store(VR/AR/360 ※ARは対応機種のみ): Youtube(360) |
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