株式や商品、通貨などの指数に連動するEFT(Exchange Traded Funds、上場投資信託)。新たに盛り上がる産業があると、その分野の企業に投資するETFが現れます。VR/AR産業も、例外ではありませんでした。
2つのETF登場 構成銘柄は?
米国では2018年に入り、VR/AR産業に特化したETF「Defiance Future Tech ETF」(ティカー:AUGR」と「TACTILE ANALYTICS AR/VR VIRTUAL TECHNOLOGIES FUND」(ティカー:ARVR)が登場しました。
現段階の2つのETFの構成銘柄を見ると、
・VRやARで鍵を握るプロセッサを開発するクァルコムやAMD、NVIDIAなどの半導体メーカー
・シリコン・モーション・テクノロジーなど部品メーカー
・ヘッドセットなどのデバイスを製造しているHTC、レノボやHP、GoProなどのメーカー
・プラットフォーム形成を狙うフェイスブックやマイクロソフト、アップル、アルファベット(グーグル)などの巨大IT企業
・サービスやソリューションとしてVR/ARを導入しつつある、ダッソー・システムズやオートデスクといった業務用ツールを提供している企業
・コンテンツ領域で展開を見せているIMAXやディズニー、コーエーテクモなどのコンテンツ企業
・VR/AR活用を模索している百度やアリババなどの中国企業
などに投資を行っています。VR/AR領域への動きを見せていない任天堂へ両ETFが投資を行っているのは興味深いところです。
市場拡大予測が背景
こうしたETFが組成されている背景には、VR/AR産業の拡大に対する肯定的な観測があります。
たとえば投資機関「Digi-Capital」は、2022年にVR市場規模は150億ドル(約1.6兆円)、ARは900億ドル(約9.9兆円)まで成長すると予測しています。
「Defiance Future Tech ETF」を提供しているDefiance ETFsのCEO、Matthew Bielski氏は「VR/ARはもはやゲームだけでなく、医療、小売、製造業、エンターテイメント他様々な産業へと進出」していると現状を説明します。
企業研修などへ導入進むVR
これらの強気な見方を支える背景には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。
VRの場合、代表例はフェイスブックの動向です。Oculusを参加に収めた同社は、VR事業への注力を強め、「10億人にVRを普及させる」と打ち出しています。
また最近では多くの企業が、VRを教育やトレーニングに採用していることもその好事例でしょう。
但しVRの利用には、ヘッドセットのようなデバイスが必要であることなどから、ARと比べ予測市場規模は小さくなっています。
各社の技術革新が示すARの将来性
一方のARでは、モバイルコンピューター技術の代表的な企業が技術革新を競っている様子から、将来性が伺えます。
例えばクアルコムやアップルは、ARデバイスの鍵となるデプスセンシング技術に取り組んでいます。またグーグルがARCore、アップルがARKitと、それぞれARプラットフォームを展開しています。開発者向けキットのインストール数は年内に9億件に達すると、Digi-Capitalは予測しています。
(参考)ZDNet