半導体メーカーのQualcomm(クアルコム)は、AR/VRデバイス専用のチップセット“XR1”を発表しました。同社はこのチップセットを「初のXR専用プラットフォーム」と呼び、モバイルAR/VRデバイスの流通を拡大するとしています。
[ads]
ローコストのAR/VRデバイスがターゲット
クアルコムのチップセットSnapdragon 821および835は、Oculus Go(オキュラスゴー)やMirage Solo、Vive Focusなど、多くのVRヘッドセットに搭載されています。また、同チップセットはスマートフォンでも採用されています。
今回同社が発表したXR1はAR/VRデバイス向けに設計されたチップです。一部メディアからは発表を推測する報道がありましたが、5月29日に行われたプレスイベントにて公式に初めて披露されました。
クアルコムによれば、ターゲットとするのは低価格のAR/VRデバイスとのこと。同社はXR1は「高品質の」デバイス(Oculus Goのようなデバイス)向けであり、「プレミアムな」デバイス(Vive Focusのようなデバイス)向けではないとしています。
したがって、XR1の採用によってさらにハイスペックなデバイスが市場に登場するわけではありません。むしろ入手しやすい価格帯で「メインストリームとなりうる」デバイスを実現するものです。
同社はHTCやVuzix、Picoが既にXR1をベースとしたデバイスを開発中だと明らかにしており、「XR1はクアルコムの持つ様々なコンピュータ技術を統合したものです。その技術にはARM系CPU、ベクトルプロセッサ、GPU、そしてクアルコムのAIエンジンなどが含まれています。最先端のXRソフトウェア、機械学習、Snapdragon XRソフトウェア開発キット、セキュリティ技術といった特徴も含んでいます」とコメントしています。
6DoFのトラッキングも可能
また、XR1はトラッキング面での技術向上をもたらします。通常ローエンドなAR/VRデバイスは6DoF(位置トラッキングを含む前後左右上下+回転)のトラッキングはできず、3DoF(回転のみ認識)となっています。クアルコムによればXR1は3DoFだけでなく、6DoFのヘッドトラッキング・ハンドトラッキングにも対応可能ということです。
クアルコムはAR/VR市場の将来についてかなり強気な見方をしています。AR/VR市場はまだ立ち上がってから日の浅いマーケットですが、クアルコムは長い目でXR1に注力していく方針です。そして2023年までに、市場に1.86億台のモバイルAR/VRデバイスを流通させるというロードマップを描いています。
(参考)Road to VR
Mogura VRはRoad to VRのパートナーメディアです。