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米大手ヘルスケアJ&JがVR手術トレーニング導入、着実に成果挙げる

大手ヘルスケア企業のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、整形外科手術のVRトレーニングプログラムを導入しました。VRを使用して外科手術の技術を習得・練習することで、患者の臨床成績の改善が期待されます。

J&JがスイスのPixelmolkereiと開発したこのトレーニングプログラムについて、メディアMedgadgetは、J&JのDavid Badri氏にインタビューを行いました。

プログラムの内容、経緯

――J&Jで開発されたVRトレーニングプログラムはどのようなものなのでしょうか?

Badri氏:
J&JのVRトレーニングプログラムは、医師の手術技術を向上させ、患者にメリットをもたらすために設計されています。VRトレーニングならば、医師や看護師は安全な環境かつ好きなタイミングで繰り返し練習することができます。フィードバックを受けることも可能です。研修の旅費や時間を節約できますし、特に多忙な研修医にとっては大きな利点となるでしょう。

現在用意しているプログラムは3種類あります。人口膝関節手術、人口股関節手術、髄内固定法による大腿骨頚部治療です。VR内で用いられる器具や設備は実際の物を忠実に再現し、内容も実際の治療に沿っています。

――どのようにしてプログラム開発が進んだのでしょう?

Badri氏:
当社のトラウマに関する事業部は、2016年からVRシミュレーションを用いていました。これを見た我々グローバル教育ソリューションチームは、VRが教育に役立つと考え、マーケティング部門や外部の企業と協力し、開発を進めてきました。

開発品に対する反応は概ね好意的です。当チームが行った調査では107人の体験者中、80%がVRをトレーニングに活用したいと答え、90%以上が同僚にも勧めると回答しました。

J&Jの強みは教育の質の高さ

――VRトレーニングを使用するのに必要なデバイスや環境はどのようにしていますか?

Badri氏:
既製のデバイスを使っているため、どこでも使用できます。必要なのは電気と安全に動き回れるスペースだけです。器具はコンパクトなスーツケースに収納可能で、持ち運びもできますよ。

――VRを使った手術トレーニングは、複数の他社も展開しています。J&JのVRトレーニングの特徴や強味はどこにあると考えていますか?

Badri氏:
我々の大きな強みは、J&Jのコア・コンピタンスと価値にあります。つまり“最良の教育を届ける”という点です。VRシミュレーションを我々の教育カリキュラムと統合し、グローバルなレベルで展開しています。

VRトレーニングは実習を代替するものではない

――VRトレーニングを、実技でのトレーニングと比較するとどう違いますか?

Badri氏:
実際の器具と検体を用いたトレーニングには確かに価値があります。これをすべてVRで置き換えよう、とは考えていません。VRのメリットは、安全な環境で、慣れるまで何度も練習を繰り返せる点です。

またVRトレーニングがうまくいけば実習に必要な検体を減らすことができ、これもまた大きな成果だと思います。

――このVRトレーニングには触覚フィードバック機能もありますか?

Badri氏:
ドリルを使ったり、器具で縫合したりする際に振動する、最低限の触覚フィードバックはあります。しかしこれ以上のフィードバックを求めると追加のデバイスが必要になってくるため、トレーニングの使いやすさが阻害されてしまいます。もちろん更に触覚フィードバック機能を追加すればリアリティは増すでしょうが、コストがかかってしまいます。

興味深いことに、触覚フィードバックのない我々のプログラムを体験した医師に感想を尋ねると、「え? 触感がなかったって?(=あるように感じた)」と答えます。どうやらVR体験は、脳に実際には生じていない感覚を感じさせる機能もあるようです(クロスモーダル現象)。

VRヘッドセットの改良に期待

――トレーニング開発の背景、直面した課題について教えてください。

Badri氏:
整形外科手術は、2つの理由からVR技術と相性が良いと考えています。まず、(腹腔鏡手術などに比べて)手術プロセスがオープンになっています。手術範囲を実際に見ながら、器具を操作することが可能です。骨は動きのない物体なので、臓器に比べて映像化しやすいですね。

戦略面では、我々はこのプログラムはただの技術的なギミックでもゲームでもなく、医療シミュレーターだということを示さなければなりませんでした。この点は、トレーニングを実際に試してもらうことですぐに理解してもらえました。

技術面では、VRヘッドセットの更なる改良が望まれます。市場に出回っている製品はここ2年程度でリリースされたものが大半です。もちろん動作に問題はありませんが、さらに解像度が高く、セットアップが簡単で、低コストな製品を期待しています。

――このトレーニングではどのようなVR技術を用いているのでしょう?

Badri氏:
VRヘッドセット、ハイエンドのゲーム用PCといったハードウェアは既製品を用いています。2016年の開発スタート時点ではトラッキング技術等がベストと感じたHTC Viveを使っていましたが、他のヘッドセットでも動作します。現時点でも完璧なデバイスはありませんので、次なる最良のヘッドセットを求めています。また、ソフトウェアはUnityをベースにしています。これからも技術の限界を超え、最高の教育体験を創り出していきたいと考えています。

(参考)Medgadget

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