今年も7月3日から5日にかけて、東京ビッグサイトでXR総合展/メタバース総合展が開催されました。第4回コンテンツ東京と合わせた来場者数は、3日間合計で4万6,177人。2023年の秋と比較して、1万7,000人ほど多くの人が会場に詰めかけ、様々な技術展示に見入っていました。
本記事では、数ある展示の中でもとりわけ興味深かったものをまとめてご紹介しましょう。
小型軽量なXR/ARデバイスを展示していたSKYWORTH XR
こちらはパンケーキレンズを使ったことを商品名からアピールしている、SKYWORTH XRの「PANCAKE 2」。クアルコムの「Snapdragon XR2 Gen 2」を採用した一体型のXRヘッドセットで、片目あたり4K解像度を実現しています。軽くて小さいうえに、メガネをつけたままでもラクに装着できます。やはり軽さは正義だと感じさせてくれました。
どうやらコントローラは付属せず、アイトラッキングやハンドトラッキング、音声入力で操作するデバイスとなる様子。今後のソフトウェア開発も含め期待したいところです。
こちらは同じくSKYWORTHが展示していた、ARグラスの「A1」です。上部にある2つのツマミで視度調整ができ、メガネがなくてもそのまま使えます。75グラムと軽量な作りで、テンプル部分に凹凸が少なく掛け心地も良好です。視野角は狭めですが、精細な映像を見ることができました。
薄型ゴーグルVRデバイスを持ち込んだToall Technology
Toall Technologyのミラー塗装された軽量デバイス。名前を「Visual Z VR Glass」といいます。バッテリー非内蔵型とはいえ、このサイズ、この軽さでVRが楽しめるデバイスがきましたか!……と思ったら、360度動画や180度動画ファイルを再生する、3.2K解像度の「ウェアラブル動画プレイヤー」でした。
ちょっと残念だな……と思いながらお話をきいていたら、現状はスマートフォンやPCと接続して外部ディスプレイとしても使える仕様になっているそうです。ということは、環境さえ整えばSteamVRコンテンツも見られるし遊べるということ! センサーは3DoFのようでしたが、OEM/ODM生産も請け負っており「オーダーがあれば6DoF仕様のモデルも作れると思う」とのことでした。
同時に展示されていた「Visual-N1 ARE Glasses」の仕様も興味深いものです。左側についているのはカメラではなくて赤外線ライト。ナイトビジョンの機能を持っており、拡張現実の情報を得ながら、暗闇を見通せるメガネになっているそうです。
遅延の少なさと変換精度のバランスを選べるソフトウェアボイスチェンジャー
クリムゾンテクノロジーの「Voidol3R」はRVC(Retrieval based Voice-Conversion)がつかえるAIボイスチェンジャーです。NVIDIA製GPUが必須となりますが、遅延はリアルタイムな会話レベルで抑えられているにも関わらず、ある程度自然なボイスチェンジができます。変換速度より変換精度を高めれば、自由な声紋(※別途RVCモデルが必要)のトークを録音できる性能も持っています。
シンプルなピッチやフォルマントの調整ではたどり着けない、「声の着せ替え」を実現しています。VTuberのみならず、ソーシャルVRでも、違う声でしゃべりたいという人々の希望となるでしょう。
フォトリアルな3Dモデルを低ポリゴンで生成する富士フイルム
3Dモデルの需要が増えていくことを見込んでいるのでしょう。富士フイルムは高品質な3Dモデルを効率的に生成する技術を展示していました。いわゆる「フォトグラメトリ」を用いた技術です。
まずは中判のデジタルミラーレスカメラを用いて、商材の写真を撮影。表面上の細かい模様や布地の質感などを、光沢の情報と共に抽出してテクスチャ化します。最終的には、生成した3Dモデルと合わせて、本物と見間違うほど精巧な3Dモデルを作り出します。
さらに3Dモデルのポリゴンを一気に軽量化し、ソーシャルVRやECサイトでも扱いやすいデータに仕上げるそうです。現在は「テクスチャの解像度は下げないままでの低容量データ化を目指している」とのこと。
このフォトリアルな3Dモデル生成技術は、富士フイルムの「高精細な写真撮影ができるデジタルカメラの技術」や「リアルな色再現を可能としたコピー機、プリンター複合機の技術」など、富士フイルムグループが持つ様々な技術が融合したものです。様々な3DCGオペレーターの手間を減らす、ひとつの福音となるかもしれません。
体験型VRアトラクションとして人気を博したKDStudioブース
にぎわいを見せていたデザインスタジオ、KDStudioのブース。いったい何があるのかとのぞいてみたら、VRルームランナーである「KATWALK」とVRヘッドセット、それに大型のファンを組み合わせ、ゲリラ豪雨などの災害を体験できるコンテンツを展示していました。
まるでテーマパークにある体験型アトラクション。強風に傘が吹き飛ばされそうになるなか、目的地までたどり着くのは至難のワザ。最初は楽しそうな笑顔を浮かべていた体験者も、次第に真剣な表情となり、災害時の移動の難しさを実感していた様子でした。
これからメタバースにとりくむ企業をサポートする大丸松坂屋
ソーシャルVRを用いた総合展示会「バーチャルマーケット」に長らく出展しており、多くの知識と経験を蓄積してきた大丸松坂屋。今回はブース内で多数のトークセッションを実施していました。「J.フロントリテイリンググループが描くメタバース・web3戦略と大丸松坂屋百貨店の役割」「メタバースって実際どうなの?」「事業担当者が語るVRとARの今と未来」など、様々な視点からXRやメタバースを活用したマーケティングについて知見が得られる場となっていました。
大丸松坂屋は今後、「幸せ溢れる仮想社会」というキャッチコピーのもと、企業・自治体のメタバース参入を支援していくとのこと。メタバースを活用したプロモーションの「お悩み相談所・駆け込み寺」的な存在として注目されていきそうです。
(了)











