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活用事例 2019.08.13

VR手術トレーニングは“倍以上の効果”、米大学が立証

医療分野では、VRを使った手術トレーニングのシステムが次々と誕生・発展しています。従来の手術トレーニングと比較した場合、VRトレーニングは正確性や効率性ではるかに勝ることが、米カリフォルニア大学(UCLA)による調査で実証されました。

教本ベースの学習とVRトレーニングで比較

UCLAのチームは、同大学の医学部を対象にVR手術トレーニングの有効性を調査しました。被験者は20名。10名ずつ2つのグループに分けられます。一方はVR手術シミュレーションソフト「Osso VR」を使用、もう一方のグループは従来通り、教本を使って手術技法を学びます。

この「Osso VR」は、VR内でリスクのない手術練習が行えるトレーニングシステムです。アメリカのOsso VR社が開発し、UCLAやブラウン大学、ワシントン大学など、世界11ヵ国・20校を超える大学病院および8社の大手医療機器メーカーに導入・活用されており、月間で約1000人を超える外科医が利用しています。

全項目でVRが顕著な効果

トレーニング終了後、被験者は練習用の人工骨を使って学習の成果を確かめました。この様子を撮影し、評価者がランク付けを行います。評価ポイントは、「器具の扱い方」、「作業の流れと組み立て」、「特定の手順に関する知識」といった5項目。なお評価者は、被験者がVRとテキスト、どちらでトレーニングを行ったのかは知らされていません。

実験の結果、VRトレーニングを行ったグループは、すべての項目で顕著に高いパフォーマンスを示しています。総スコアは従来の訓練手法に比較して+130%と2倍以上。習熟度だけでなく、手順ごとのチェックリストに基づく比較でも、VRグループは38%多くのステップを正確に完了。また完了までの時間も20%短かったとのこと。

今回の調査は20名の被験者、1種類の手術が対象という限定的な内容ではあるものの、VRと非VRで明らかな差異が生まれています。より外科医のスキルを向上させるという、VR手術シミュレーションの触れ込みを立証するものでしょう。

VR手術トレーニングの将来性示す

Osso VRのCEOであり共同設立者のJustin Barad氏は「外科医という立場上、我々の技術がエビデンスに基づいていることは非常に重要です。当社は全く新たなトレーニング方式を提供しています。ユーザーや顧客からは、効果的かつ信頼の置けるものだと捉えてもらいたいです」と話しました。今回の実験結果はまだはじまりに過ぎず、世界の患者へ、より質の高い医療を提供するのが目標だということです。

VR手術トレーニングの効果を正確に把握するためには、規模を拡大した実証実験が必要でしょう。しかしUCLAの調査は、将来の外科医教育の現場において、VR手術トレーニングが重要な役割を果たす可能性を示したと言えます。

VRを用いた手術シミュレーションツールとしては、他にも下記の事例を紹介しています。

(参考)Road to VR
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