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その他VRヘッドセット 2019.12.29

【徹底比較】2019年末の今が買いどき! VRヘッドセットの本命は?(後編)

Oculus QuestやVIVE Cosmos、そしてVALVE INDEXなどのVRヘッドセットが発売された2019年。“今買うべき”オススメVRヘッドセットやその理由、そして今後のVRデバイスの展望について、Mogura VR News / MoguLive編集長の久保田瞬(すんくぼ)と、編集部の水原由紀が語ります。

また、前編は以下のリンクより読むことができます。

目次

1.2020年末にPS5発売、PSVRの次世代機はどうなる?
2.次世代デバイスは小型軽量化?
3.OpenXRで規格の統一化が進む?
4.今が買い時、ヘッドセットはどれを選ぶ?

2020年末にPS5発売、PSVRの次世代機はどうなる?

水原:

今年はプレイステーション5(以下PS5)が発表されましたね。現在販売されているPlayStation VR(PSVR)にも対応することが明言されています。PSVRはマーベルアイアンマン VRアッシュと魔法の筆のVRモードなど、良質なコンテンツが揃っているという印象ですが、今後や次世代機はどうなるんでしょう?

すんくぼ:

PS5の発売は2020年末のホリデーシーズン、というのも明らかになってるね。で、ここで問題になるのは“PSVR2”がどうなるか。海外メディアのインタビューでは「PSVRの次世代機は、PS5と同時には出さない」という旨のことを言ってたね。

水原:

PSVRもPS4のしばらく後に出たわけなので、PSVR2が出るとしてもタイミングをずらすことになるでしょうね。

すんくぼ:

フェイスブックが「Questで第一世代VRのヘッドセット開発は終了」と発言したことを鑑みると、「第二世代」がおそらく2020~2021年ごろに出てくると思う。となると、それくらいの時期に、PC向けの次世代版Oculus RiftやHTC VIVEと比較するデバイスとしてPSVR2が出てくるんじゃないかな。もちろんPS5本体のスペックも向上するから、初代PSVRを接続してもよりよい体験ができるようになるはず。

ソニーはVR系の興味深い特許を多数取得していることもあり、PSVR2は単純なスペック向上にとどまらないだろうね。無線でつなぐとか、ハンドコントローラーがより使いやすくなるとか。本質的なところで体験が変わるかもしれない。

水原:

ソニーのVR系特許は面白くて、「VRで友達が何をやっているのか、スマホで見れる」技術の特許やコントローラー系もあり、そこから将来のPSVR2像を予想するのも楽しいですね。ワクワクします。

すんくぼ:

コンテンツの話だと、PSVR2が出るまでの間がどうなるかだね。初代PSVRで培った知識やノウハウを使って、今後もPSVRで高品質なVRゲームが出てくると思う。2020年は「アイアンマンVR」が出るね。他はBeat Saberのように、海外の小規模スタジオで作られた品質のいいコンテンツが出る……という路線が続くんじゃないかな。

水原:

PS5の新コントローラーにハプティック技術が入るらしいんですが、VR体験の質も変わったりしそうですね。

すんくぼ:

PSVRはコントローラーの部分がちょっと弱いんだよね。PS Moveや通常のDUALSHOCKだとどうしてもできることが限られてくる。大幅な変更があると嬉しいね。

次世代デバイスは小型軽量化?

水原:

PCやコンソール向けで、現時点で今後の予定やロードマップがある程度見えているデバイスは他にありましたっけ?

すんくぼ:

水原くんが言う通り、意外と出尽くしちゃってる。OculusのHalf Dome(ハーフドーム)は次世代機に属するので、まだ先かな。

このあたりは会社によって取り組みが異なっていて、HTC、VIVEはPCでレンダリングしたコンテンツを5G回線経由で一体型VRヘッドセットに送る、みたいなことをやってたりする。「次にどんなデバイスが出るか」よりも、「少し先にどんな形でVRを体験するようになるか」にフォーカスした研究開発が多いね。

(Oculusが開発中の新型VRヘッドセットのコードネーム「Half Dome」。左はプロトタイプ第一号であり、現在は一番右まで小型化が進んでいる)

水原:

Oculus DK1から続いていた第一世代の流れは、Rift SやVIVE Cosmos、VALVE INDEXでいったん終了というか。次の業界標準になるデバイスの発売はまだ先、ということですね。

すんくぼ:

まさに世代の入れ替わりのタイミングで、各企業が次に搭載する機能を開発したり仕込んだりしてる。Oculusは「Quantum Leap(クォンタム・リープ)」という言い方をしていたけれど、今は次のフェイズに移るまでの谷みたいなものだし、しばらくは情報を見ながら探っていくフェーズに入った。

ちなみにHalf Domeは小型軽量化がテーマで、「これまでそこそこのサイズがあったデバイスを、いかに違和感のないものにしていくか」にこだわって作られている。ちょっと切り口は違うけど、中国のファーウェイが、スマホ接続の小型軽量VRヘッドセットを出したりしてて面白い。これは薄い水泳ゴーグルのような形で、Oculus Goのような動画を視聴体験できる形のデバイスだね。この前中国のイベントで体験してきた。実際Oculus Goと遜色ない体験ができるようになっていて、ちょっと示唆的。

水原:

AR/MRヘッドセットでも、スマホ側に処理を任せるタイプは続々と出てきていますよね。Nreal Lightとか。この路線で今後3DoFのデバイスが出てくる可能性は十分ありそうです。とはいえ、しばらくは様子見というか、動静を見るというか……。


(中国のスタートアップ、Nreal社が開発したMRグラス「NrealLight」)

すんくぼ:

逆に言うと「今あるラインナップでどれを買えばいいのか考えればいい」という状況だから、VRは今が買い時っちゃ買い時。しばらく考えなくて済みそうだからね。僕は新しいのが出るたびに全部買って会社に置いてるけど……(笑)

水原:

すぐに次の新しいデバイス発表が迫る状態ではないですね。PC向けVRもレパートリーはあるし、将来の不安が一時的になくなった点では、前よりも選びやすくなったと言えます。

OpenXRで規格の統一化が進む?

すんくぼ:

一方でOculus RiftがRift Sになり、VIVEがVIVE Proなったように、新しいデバイスは今後も出てくるかもね。RiftとRift Sは別物だからいい例じゃないけど、解像度がよりよくなるとか、ソフトウェア面がアップデートされるとかで、マイナーチェンジが定期的に出る、みたいなこともありうる。

水原:

「VIVE Cosmos Pro」とか「Oculus Quest S」「VALVE INDEX SUPER」みたいなノリですね(笑)

すんくぼ:

そうそう、「Quest S」はありそう。でもVRコンテンツを作る側が大変なんだよね。互換性がないと……。

水原:

新型iPhone発売のたびに、iOSアプリ制作側がてんてこまいだった時期が懐かしいですね。Androidとか……。

すんくぼ:

QuestはVRコンテンツ開発側もみな大変な思いで最適化してきたわけだし、新デバイスが出るかどうかはわからないけど、また解像度が高くとなると困るだろうね。VRデバイス、PC向けは特にインサイドアウトとアウトサイドインだと全然違う作りになるので。コントローラーの規格も統一されてないし、コントローラーごとに別々の対応が必要。

現世代機はみな好き放題作ってたけど、一方で共通規格であるところのOpenXRも出てきた。今後は規格を踏まえた設計になるだろうから、少しずつこなれていってほしい。

(VR/ARプラットフォームでのデバイス・アプリ間の仕様を標準化する「OpenXR 1.0」)

水原:

PSVRとVIVEとRiftが同時に発売されたのが「VR元年」の2016年。ちょうど3年経ったくらいなので、他の業界やデバイスと比べてこなれていないのは、年数からして仕方ないとも言えますね。今後はユーザにとっても開発者にとってもやりやすくなると嬉しいです。

すんくぼ:

普及の一番最初の段階から徐々に広まって、今またひとつのサイクルが終わったことで、より一層VRが進化する、使いやすくなるんじゃないかな。

今が買い時、ヘッドセットはどれを選ぶ?

水原:

「VRヘッドセットを買う」という立場だと、「次世代ヘッドセットが出るのは年単位で先になる可能性が高い」、つまり今は「次のが出るんじゃないか」に迷わされなくていいので、むしろ買い時ですね。

すんくぼ:

で、「手軽に始めたい」または「ゲーミングPCを持っていない」ならOculus Quest1択だね。そうなると、ここからは「ゲーミングPCを持っているか買う予定」の人、あと「VRデバイスを買い替えたい」人向けの話かな。水原くんの一押しはある?

水原:

VALVE INDEXはVRヘビーユーザーにとって最強だと思うんですよね。コントローラーは人によって向き不向きがありますが。

すんくぼ:

確かに、がっつりゲームがやりたい層は当然ハイエンドな物を買った方がより良くなる。自分はPC向けVR初心者でも、まずOculus Questが選択肢としてアリだと思ってます。

僕は実際に現地でOculus Linkを使ってPCのVRゲームをやったけど、ほぼ違和感がなかったのでOculus Linkでいいじゃんって。Oculus Questはエントリー機であると同時に、QuestをPCに刺して高品質なVR体験ができる、というのはなかなかの強みだなと。他の人の家に持って行って遊ぶとかもやりやすいしね。

水原:

事実上、エントリーからミドルレンジまではOculus QuestとOculus Linkでカバーできるようになっていますもんね。Oculus Linkを使うにはやや値段が高めのいいケーブルが必要ですが、かなり良い選択肢。Rift Sの方がグラフィックなどのクオリティは良いんですが、ゲームやVRコンテンツをすでにプレイしてきた人でないと区別つけるのは難しいですね。

すんくぼ:

そういう意味では、ハイエンドにこだわる人はVALVE INDEXが一押しで、引き続きビギナーにはOculus Quest、が結論かな。

水原:

今はまだ見えてない話になりますが、年明けに外部トラッキングモードが発売されるVIVE Cosmosの今後には注目ですね。ModでQuestとVALVE INDEXの二機種と差別化していくだろうと思いますし。


(外部センサーを使わない、PC接続型VRヘッドセットVIVE Cosmos)

すんくぼ:

スペックやデバイスの得意不得意、値段もあるけれど、忘れちゃいけないのは「自分で身につけるデバイスは使用感に個人差があるので、自分で試すことが一番大切」だなと。解像度や装着感が多くの人にとって改良されたデバイスだとしても、自分には合わなくてひどい目に遭う、みたいなのってあるからね。

水原:

Oculus Questはショールームや体験できる場所が国内にないんですが、VIVE CosmosやVALVE INDEXは買う前に一度試してみることをおすすめします。

すんくぼ:

iPhoneも「Proにすると片手で持てないから不便、SEくらいのサイズがいい」という人がいるわけだし、特にVRヘッドセットは目や耳にも関わるので、実際に一度試し、実体験としてどう感じるかを優先すべきだと思うね。

(了)


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