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空間保存・報道 2019.09.03

“強制退去”がテーマの没入型作品 体験を通じてメッセージ伝える

VR/AR/MR活用例の一つに、視点を自由に変えられる特性を活かし、他者の立場を体験して理解を深める、というものがあります。米国では、家賃を払えず強制退去処分に遭い、ホームレスとなった人々の立場を体験するコンテンツが登場しました。問題への理解、共感を深め、合衆国憲法へのシェルター権の追加も目指しています。

新たな視点を提供

”These Sleepless Nights(眠れない日々)”と題されたこのMRドキュメンタリー作品は、強制退去により住居を失った人々への関心を高めるために制作されました。Magic Leap 社とのパートナーシップを元に同社のMRヘッドセットMagic Leap Oneで体験できます。今後VRバージョンやスマートフォンへの展開も予定しています。9月7日までイタリアで開催される第76回ヴェネツィア国際映画祭にて公開されました。

コンテンツでは、家賃を払えない状況に至り立ち退きに合う人の立場を、非常に深くリアルに体験できる、としています。強制退去という問題に対して、体験者に新たな視点を提供することが期待されています。

100万ドルの資金調達が目標

プロジェクトのエグゼクティブプロデューサーを務めるEdward Saatchi氏は「このコンテンツはパブリックアートとして公開します。皆さん、他の誰かの人生を生きるのがどのようなものか体験できます。(強制退去の)問題を理解するには、共感が非常に大きな役割を持ちます。しかし実際にその体験をするのは、ごくわずかな人だけです」

コンテンツによると、2016年強制退去申請がされたのは235万人。そして230万人、1日あたりに換算すると6,349人もの人が、実際に立ち退きの処分を受けました。

強制退去に対し制作チームが目標とするのは、住居を基本的な権利として認める「シェルター権」を州憲法や合衆国憲法に追加することです。これに向けた訴訟を5つの都市で開始しようとしており、”These Sleepless Nights”を通して100万ドルの資金調達を目指しています。

個人でも、[email protected]にメールを送ることで今後のアプリ提供を受けたり、寄付を行ったりすることが可能ということです。


”These Sleepless Nights”のパブリック・アートとしての公開は、米国のサンフランシスコ、ワシントンDC、及びミルウォーキーで行われる予定です。iPhoneのアプリを通じて体験する内容になります。

性的マイノリティなど理解のコンテンツも

他者の立場を理解・共感する手段としてのVRは、下記のような事例を紹介しています。

(参考)Venture Beat


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