米海軍の「Naval Information Warfare Center (NIWC) 」大西洋チームは、ARを活用した通信検知システム「Spectrum Hunter」の開発を進めています。
現在「Spectrum Hunter」は、自軍のRF波(ラジオ波)を検知し表示するシステムとして開発が進められています。マイクロソフトのMRヘッドセット「HoloLens 2」を使用します。
ハンズフリーのシステム
現代の兵士が携行するデバイス(携帯電話、SOSビーコン、ラジオなど)は、その多くがRF波を発します。これらの電波は敵軍から探知されるものであり、戦場では探知を防ぐため“無線封止”が行われます。
現在、無線封止にはトランシーバーが装着されたタブレット端末が使用されていますが、端末自体に重量があり、また戦闘中に周囲から目を離す必要があるという問題点が指摘されてきました。
これらの問題の解決策として開発されているのが「Spectrum Hunter」です。
「Spectrum Hunter」は、兵士が携行するバックパック内に収納されたジオロケーターレシーバーと、「HoloLens 2」の組み合わせによって機能します。同システムは手に何も持たなくていいハンズフリーで、使用する兵士は、「HoloLens 2」のディスプレイに表示された情報を、音声コマンドやハンドジェスチャーで操作できます。
米メディアVRScoutによれば、「Spectrum Hunter」を使用することで、周辺の警戒作業などと並行してRF波の発信元の確認や発信停止などが行えるとのこと。
さらなる発展も計画
「Spectrum Hunter」の開発チームは将来的に、同システムに敵軍が使用するRF波を検知するシステムを実装することを計画しています。NIWC Atlanticのインフォメーション・テクノロジー・スペシャリストJessica Sinclair氏は、同計画について以下のようにコメントしています。
我々(Spectrum Hunterの)開発チームは現在、トランシーバーのRF波を検出する技術にフォーカスしており、今後携帯電話やその他のデバイスも検出可能にする予定です。将来的には、敵軍から発せられたRF波を検出できるように改造する計画も検討しています。
すでに展示も実施
「Spectrum Hunter」は、2019年7月にアメリカ・ノースカロライナ州で行われた「 Fight the Naval Force Forward Advanced Naval Technology Exercise East 」でプロトタイプが展示されました。VRScoutは、この際35ヵ国以上の国々から集まった軍関係者や産業界の人々、研究者が同システムに触れ、体験したと解説しています。
(参考)VRScout
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