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業界動向 2020.05.27

クアルコムが「XRビューアー」の提供計画を発表。NTTドコモやKDDI、パナソニックも参画

半導体大手のQualcomm(クアルコム)が太平洋時間5月26日、世界各国の通信事業者やハードウェアメーカーと協力して、AR/VRグラスとスマートフォンを接続して動かす「XRビューアー」を2021年以降に順次提供してくことを発表しました。

同計画には日本のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクら通信キャリアのほか、CES2020で小型VRデバイスのプロトタイプを発表したパナソニックも参画しています。

「XRビューアー」とは

今回の発表はAugmented World Expo(AWE)のオンラインカンファレンスで行われ、会場にはバーチャルコラボレーションプラットフォームSpatialが使用されました。

クアルコムが提唱する「XRビューアー」とは、クアルコムのSnapdragon 855/865を搭載した5G対応スマートフォンとAR/VRグラスをUSB-C接続して、AR/VRデバイスとして動かす仕組みのこと。2020年現在、日本のNTTドコモやKDDIを含め、全世界で15社の主要な通信事業者がXRビューアーの開発や商品化の計画を進めています。

同社の発表によれば、高速・低遅延な5Gネットワークの利用により、XRビューアーではスマホアプリを(ARグラスに表示して)ARアプリとして利用したり、VRプラットフォームを使ったリモート会議を行ったりなど、コミュニケーションの方法やコンテンツ消費のあり方に大きな変革をもたらすことができるとしています。

XRビューアーのための最適化認証プログラムを提供

XRビューアーの実現に向け、クアルコムは「XR Optimized Certification Program(XR最適化認証プログラム)」を提供。同プログラムを通じてAR/VRグラスとスマートフォン間の性能テストと互換性の検証を行い、シームレスなユーザー体験の実現をサポートするとしています。なお、最適化認証プログラムには以下のようなものが含まれます。

・AR/VRグラスとスマートフォン間の6DoF(6自由度)ヘッドトラッキング
・AR/VRグラスのキャリブレーション検証
・AR/VRグラス・スマートフォン上での光子遅延検証
・AR/VRグラス・スマートフォンの電源・発熱テスト
・AR/VRグラスとスマートフォン間の相互接続性

AR/VRグラスは現在、3Glasses、Nreal、Pico、パナソニックなどが開発を進めており、一方の5G対応スマートフォンもASUS、OnePlus、OPPO、Vivo、ZTEなどが提携しており、さらに他の企業も今後参画する予定です。

また、今回の発表に対し、参画している日本企業が以下のメッセージを寄せています。

NTTドコモ

拡張現実(XR)デバイスは、ポストスマートフォンの世界に向けた有望な選択肢です。NTTドコモは、5G時代の幕開けに、スマートフォンをハブとして、XR端末をはじめとする様々な周辺機器やサービスに5G接続を提供する「マイネットワーク構想」を提唱しています。XRビューアーを5Gスマートフォンに接続することで「マイネットワーク構想」のコンセプトを証明し、5Gの高速・超低遅延を実証することができます。また、Snapdragon 865や855搭載のスマートフォンに接続するARメガネの導入、配信プラットフォームの立ち上げ、プレミアムXRコンテンツやアプリケーションの提供に取り組んでいます。

KDDI

5GとXRをKDDIの事業戦略の柱として長年構想してきましたが、2020年には通信とライフデザインの融合を実現し、消費者の皆様にご利用いただけるようにしたいと考えています。2020年3月の5Gの商用利用開始に続く、KDDIとクアルコムの20年以上にわたる協業の次のステージとして、お客様が変革的な体験を実現できるよう、今年XRを一緒に立ち上げることに興奮しています。

ソフトバンク

我々ソフトバンクは、すでに5Gや4Gのお客様向けにいくつかのXRサービスを提供しています。今年以降、クアルコムが実現したXRビューアーがこれらのサービスのユーザー体験をさらに豊かなものにしてくれることを期待しています。

パナソニック

パナソニックは、ラスベガスで開催されたCES 2020で、世界初のHDR対応&超高精細VRメガネのプロトタイプをデモし、業界から高い評価を得ました。クアルコムの支援を得て、これらのVRメガネを5G対応スマートフォンとシームレスに動作するように最適化していく予定です。5G接続と小型・軽量・超高画質のVRメガネを組み合わせることで、2021年以降の音楽ライブやスポーツイベントなどで、没入感の高い体験を提供していきたいと考えています。

(参考)クアルコム公式リリース(英語)


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