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業界動向 2022.07.27

「Meta Quest 2」が価格改定、税込59,400円に。円安や製造コスト増加を受け

MetaのVRヘッドセット「Meta Quest 2」の価格改定が発表されました。2022年8月1日より、128GBモデルが税込37,180円から59,400円、256GBモデルが税込49,120円から74,400円に変更されます。いずれも20,000円超、割合にして5割以上の値上げとなります。これは製造コスト増に伴うMeta Quest 2の価格改定(米国でも100ドルの値上げ)、および為替相場(円安)の影響が大きいものとみられます。

発売以降初の価格改定、円安や製造・出荷コスト増の影響

Meta Quest 2の価格改定は、2020年10月の発売以降初となります。2021年8月、64GBモデルを廃止して128GBモデルの発売が開始された際も、価格は据え置きでした。

7月27日にMetaが発表した内容によると、価格改定の背景には「製品を製造・出荷するコスト」の上昇があるとのこと。同社は「価格改定により、VR業界をさらなる高みへと押し上げるための革新的な研究と新製品開発への投資を進められる」とコメントしています。またMogura VR News編集部がMetaに独自に取材したところ、「この価格改定は、Metaアカウントへの移行に伴うものではない」とのこと。

なお、Metaの所在地である米国でも価格改定が行われています。Meta Quest 2の128GBモデルは299.99ドルから399.99ドルへ、256GBモデルが399.99ドルから499.99ドルへ、それぞれ100ドル(記事執筆時点のドル円レートで約13,600円)の値上げが行われました。

「Meta Quest」次世代版の計画も

Metaは発表の中で、ハードウェアのロードマップにも言及しました。ハイエンドな業務・ビジネス向けVRヘッドセット「Project Cambria」が2022年内にローンチ予定である旨を改めて説明しています。

興味深い点として、同発表の中に「その後には新世代のMeta Questをリリースする計画」という記述が確認されています。リリース時期やハードウェアについての説明は記載されていませんが、これまで後継モデルの存在が不明だった、Meta Quest 2の次世代機が計画されていることが明らかにされました(※Project CambriaはMeta Quest 2の後継機・次世代機ではなく、Meta Questシリーズとは異なるラインナップの、ハイエンドな業務・ビジネス用デバイスとされている)。

世界的なインフレや円安、デバイス市場の動きは?

世界的なインフレーションや円安の影響を受けた電子機器・デバイスの価格上昇は、既に複数のメーカーで見られます。例として、Appleの「MacBook Air」は2022年6月発表の新モデルにおいて、999ドルから1,199ドルへと価格が上昇。日本でも(モデルによるものの)、数万円単位での値上げとなりました。VRヘッドセット「VALVE INDEX」はドル価格に動きはないものの、2022年7月時点で日本国内販売価格が税込138,380円から165,980円に上昇しています。

Meta Quest 2が発表された2020年9月当時、為替レートは1ドル約105円前後。しかし2022年7月現在は1ドル約135円超と、大幅な円安が進行しています。米国における価格の改定幅よりも国内販売価格が上昇している点は、現在の経済情勢を鑑みるとやむを得ないとも言えるでしょう。

Metaは「今回の価格改定後も、Meta Quest 2は同等の機能を持つVRヘッドセットとしては、手頃な価格帯のVRヘッドセットであることには変わりありません」と主張しています。

一方「TikTok」を提供する中国ByteDance傘下であるPicoのVRヘッドセット「Pico Neo3 Link」(2022年7月26日時点で税込49,280円)のように、改定後のMeta Quest 2よりも安価なデバイスが、この機に市場シェアを取りに動く可能性はあるでしょう。あるいは、値上げの動きが他のメーカーにも波及し、結果的にMeta Quest 2が最も安価なデバイスに“戻る”こともありえます。Meta Quest 2の大きなアドバンテージであった「圧倒的な安さ」の変化が、市場に与える影響を注視する必要があります。


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