アイルランドのスタートアップ企業ENGAGE XRは、法人向けのメタバースプラットフォーム「Link」の提供を開始しました。プライベートイベントやステークホルダーとのコミュニケーション、教育・研修など、幅広い活用が期待されています。
現在、LenovoやHTCをはじめとする14のパートナーがすでに導入し、個性あふれるバーチャル空間を設置しているとのこと。
独自のバーチャル空間を構築
Linkでは、企業、専門家、教育機関、イベントの主催者などが独自のバーチャル空間(Metaworld)を作ることができます。
空間内は、プラザ(Plaza)と呼ばれるいくつかのスペースに分かれており、初期環境として4つのパブリックスペースを用意。そのほか、カスタマイズ可能なプライベートスペースとしてアパートメント・プラザも提供します。
セントラル・プラザ
メタバースの入り口。待ち合わせ場所やイベントスペースとして利用でき、ポータルを通り抜けるだけで、他のプラザに移動することができます。
エンタープライズ・プラザ
企業や専門家向けのエリアで、 グローバルなビジネス展開の拠点。現在は、HTC、Lenovo、KIA(韓国の自動車メーカー)、KPMG US(米国のコンサルティング会社)などが利用しています。
クリエイティブ・プラザ
ブランド、アーティスト、コンテンツスタジオ、クリエイターのための場所。プラザ内を探検したり、アート展に参加したりすることができます。
2023年初頭には、イギリスのミュージシャン・ファットボーイ・スリムが、バーチャルコンサートを行う予定です。
エデュケーション・プラザ
主に教育機関や団体向けの場所。トレーニングや学習のための教室スペースを提供するバーチャルな教育拠点です。
スタンフォード大学やマイアミ大学ハーバード・ビジネススクールなどの名門校に加え、VR教育を提供するVictoryXRなどが出展しています。
VR教育プラットフォームが起点に
ENGAGE XRの前身であるVR Education Holdings(VRE)は、世界で初めて株式市場に上場したVRスタートアップです。教育向けのVRの活用可能性に注目し、VRを使った教育コンテンツの制作やVR教育プラットフォーム「ENGAGE」の開発などを手がけてきました。
遠隔トレーニングや教育、バーチャルイベントなどを開催できる同プラットフォームは、2019年5月の発売以来、2年で顧客数が100社に到達。フェイスブックやHTC、米国国務省も導入しています。
2021年6月には、900万ユーロ(約12.6億円)の資金調達、および法人をターゲットにした新たなVRプラットフォーム「ENGAGE Oasis」を発表しました。このOasisの進化版が「Link」です。
こうした背景もあり、Linkは、米国10大学の仮想キャンパスを建設する「メタバーシティ」プロジェクトの拠点として、すでに利用されています。米国内の数千人の学生に教育を提供しているとのことです。「メタバーシティ」プロジェクトは、Metaの支援を受けてVictoryXRが推進しています。
(参考)ENGAGE XR