9月21日、クラスター株式会社は東京ゲームショウ2023(TGS2023)で事業戦略発表会を実施した。本発表会には同社代表取締役CEOの加藤直人氏が登壇。clusterのこれまでの歩みと今後の展望を語った。
バーチャルコミュニティと経済活動の広がりを実感する1年
加藤氏は「バーチャルコミュニティの広がり」から講演をスタートした。2022年から2023年にかけて、clusterで開催されたバーチャルイベント数は大幅に増加。公開イベント件数は10,000件以上におよび、これは昨年と比べて約7,000件増加、およそ2.8倍の数値になっている。企業における利用件数も200社を超えた。
(具体的なMAUは明かされなかったものの、開催されたイベント数の多さからユーザー人口の増加が伺える)
(年間で200社以上がclusterをビジネスシーンで利用している)
さらに、昨年のTGSで発表された、ユーザーが手軽にバーチャル空間を作れる「ワールドクラフト」やアバター用の3Dアクセサリマーケットプレイスの販売も順調なようだ。加藤氏によれば、現時点で3万点以上の3Dアクセサリーが販売されており、月々数万円を稼ぐクリエイターもいるとのこと。加えて、メタバースクリエイターと企業のマッチングを行う「Cluster Creatorjobs」での案件が複数スタートしており、徐々にclusterでのクリエイターエコノミーが広がりつつあることを示した。
(2023年7月からスタートした「Cluster Creatrorjobs」。clusterのワールドクリエイターをクライアントの案件とマッチングし、制作を行って報酬を得られるシステムだ。加藤氏いわく「近いうちに具体例が発表できるくらいになってきた」とのこと)
「安心・安全」「クリエイター体験」「グローバル展開」の3本の柱
続いて、加藤氏はclusterの戦略における「3つの柱」について言及した。それぞれ「どこよりも手軽で安心安全」、「圧倒的なクリエイター体験」そして「攻めのグローバル展開」だ。
「手軽」という側面では、加藤氏はclusterのソフトウェア的な軽量さを挙げた。clusterは様々なモバイル機器やPC、VRヘッドセット等種類を問わずに動作する。また「安心安全」については、定期的にclusterが行っているユーザー報告への対応レポート、すなわち規約に違反した行動を取ったアカウントへの警告・ペナルティ措置といった、善良なユーザーを守る取り組みも含むと思われる(同社noteの「お知らせ」で掲載されている)。
(学校向けの無償提供「clusterエデュケーション」も紹介された)
「圧倒的なクリエイター体験」については、AIへの積極投資を行っている旨を述べた。すでにクラスターはAIチームを発足させており、レコメンデーションやLLM(大規模言語モデル)を使った自立型エージェント、生成AIによる3DCG作成支援ツール等に取り組んでいる。加藤氏は「AIがクリエイターを支援することで、作りたいものを作りやすくなると考えている」とコメント。既に海外のプラットフォームでは「Roblox」などが3DCGのテクスチャを自動生成するツールや、マップ制作を支援する会話形のAIを発表しており、これに続く形となりそうだ。
「攻めのグローバル展開」では、2022年にアニプレックスと開催したバーチャルイベント「Fate/Grand Order 5th Anniversary Special VR World」を例に挙げ、IPとのコラボレーションを中心とした、積極的な海外向け施策を行う方針であると語った。