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メタバース最新動向 2023.09.11

Robloxの開発者会議「RDC 23」が開催、アバター通話や3Dモデリングの自動化ツール等発表

Robloxの年次開発者会議「RDC 2023」(Roblox Developer Conference)が開催されました。PlayStationプラットフォームやMeta Questへの正式対応に加え、アバターおよびマップ制作ツールの充実、音声通話ツール「Roblox Connect」の新規開発、収益方法の多様化、不適切な会話の検知システムなどが発表されました。


(出所:Roblox)

「Roblox」はプレイヤー自身がゲームを制作したり、他のプレイヤーが作ったゲームを遊べるプラットフォームです。ゲーム内通貨「Robux(ロバックス)」を介して、アバターやアイテムなどが盛んに売買されています。同社は現地時間9月8日、第9回となる開発者会議「RDC 2023」で、新機能や今後の開発計画を公表しました。

1.アバター/マップ制作ツールの充実


(写真とテキストプロンプトをもとに数分でアバター作成するイメージ。出所:Roblox)

機械学習でアバター表現を簡単かつ豊かに

アバターの表情や服装を確認できるプレビュー機能がリリースされました。さらに今後、写真とテキストプロンプトをもとに、数分でアバターを生成するツールも提供予定です。2023年後半にはクリエイター向けに、リグ作成やスキニング、ケージモデルの修正といった、3Dモデリングの工程を自動化する機械学習ツールを提供します。将来には、手のジェスチャーや上半身の動きを与える技術も開発します。

アバター編集用のAPI提供、3Dモデル標準フォーマット対応も

クリエイター・開発者がAPIを有効化すれば、Robloxのユーザー画面から移動せず、アバターのカスタマイズ(形状や寸法、テクスチャの変更)が出来るようになります。数ヶ月以内にアバターの編集に対応し、年内にはアイテムや衣装、リアクションの作成にも対応します。また、OBJファイルやFBXファイルに加え、3Dモデルの標準フォーマットであるgLTFファイルのインポートにも対応しました。

マップ制作支援の会話型AI「アシスタント(Assistant)」

2023年初頭にRobloxは、生成AIを用いた自動化ツール「コードアシスト(Code Assist)」 と 「素材生成(Material Generator)」のβ版をリリースしました。これらをもとに同社は、マップ制作について助言する会話型AI「アシスタント(Assistant)」を発表しました。2023年後半にRoblox Studioとクリエーターハブで利用できるようになります。

2.アバター通話ツール「Roblox コネクト(Roblox Connect)」


(新機能「Roblox コネクト」の利用イメージ。出所:Roblox)

2023年8月には、Robloxのサービス内で利用できる音声/チャットツールに「表情アニメーション」を実装しました。ユーザーはデバイスのカメラだけで、表情のモーションキャプチャとアニメーションへの変換が行えます。2023年後半にはこの機能をもとに、複数のユーザーがアバターで通話できる「Roblox コネクト(Connect)」を開始します。

「Roblox コネクト」を使えば、「友達リスト」に名前のある相手を選び、「キャンプファイヤーや滝のそば」といった空間へ移動して、アバターの動作や表情変化を伝えながら会話できます。Robloxは、友人との美術館巡りや親子の対話が、アバターでリアルタイムに行えるといった利用シーンを例示しています。

3. Playstation, Meta Quest, Xboxに対応


(新たに対応するデバイス。出所:Roblox)

速報の通り、Robloxは2023年10月に「PlayStation 4」と「PlayStation 5」でも遊べるようになります。また、2023年9月には「Meta Quest」シリーズに正式対応します。「Xbox」でもアプリのアップグレードを予定しています。これにより、RobloxはデスクトップPC、スマートフォン、タブレット、コンソール機、VRヘッドセットでも遊べるようになりました。

4.収益方法の多様化

定期購入モデルの追加予定

自作マップの機能・サービスを定期購入モデルで提供できる機能が近々開始予定です。また、2023年9月末までに、本人確認済のプレミアム会員を、マーケットプレイス招待します。開発者は数量固定の「限定品」と数量自由の「フレックス」を出品できます。3Dモデルも販売でき、知的財産権の侵害請求を行いやすくするツールも開発中です。

マーケットプレイス手数料を改訂

アセットやツールのクリエイターが得られた販売収益の100%(税金・決済手数料を除く)を保持できるよう、マーケットプレイスの手数料を更新予定です。ゲーム内通貨「Robux」ではなく米ドルでも売買できるようにし、Robloxのプラットフォーム手数料が生じないようにします。

5.不適切な会話の検知システム

不適切な音声コミュニケーションを検出する機械学習アーキテクチャを構築しました。音声をテキストに変換するのではなく、音声内容を直接分類評価する審査モデルです。英語版がまもなくリリースされ、4か国語が追加予定です。また2023年後半には、クリエイター・開発者が自身のマップに設定できるテキストフィルタを提供予定です。

ユーザー行動や広告効果に関する統計も


(多様なアバター利用の例。出所:Roblox)

Robloxは発表のなかで、ユーザー行動や広告効果に関するデータも明かしています。

  • DAU(全世界)は6,550万人、平均滞在時間は2時間30分(2023年6月末時点)
  • DAUのうち1,000万人以上が毎日アバターを更新する(2022年間)
  • 開発者は6億8000万ドル(約993億円)を稼得(2023年6月までの12ヶ月間)
  • 没入型広告で、中位~ロングテールのクリエイターが最大20%の収益を上げている兆候

また、ブランド各社による没入型広告の活用事例として、H&Mはポータル広告の出稿により、自社マップの参加人数を11%増加させたと発表しました。この参加者のうち、全体の97%が新規ユーザーで、11,000人以上が友達と一緒に参加したとしています。

(参考)プレスリリース


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