エストニアの首都・タリンで2019年9月に開催された「Tallnn Architecture Biennial 2019」にて、昔ながらの木工技術にAR技術を活用した建築物が展示されました。
同建築物はロンドンを拠点とするデザイン事務所SoomeenHahm Design、同じくロンドンで活動する建築デザイナーのIgor Pantic氏、そしてオーストラリアのIT企業Fologramによって作られたものです。
(画像:Igor Pantic氏のWebサイトより引用)
昔ながらの木工建築と最新のAR技術が融合
「Steampunk」と呼ばれる木材と鉄骨の建築材料を作るために、設計チームは木材を蒸気で曲げる技術や工具に加え、Fologramが提供するマイクロソフトのデバイス「HoloLens」を使用するアプリケーションを活用しています。
設計チームの目的は、重機やロボットで建築物を作るのではなく、あくまで設計者が現場で作業する方法を模索することでした。
「コンピューターによるサポートとロボット技術のおかげで、建築家はデザインの具体化をかつてないほどスムーズにできるようになりました。一方で、伝統工芸に見られるような繊細さやニュアンスは、機械で作られた作品では表現できません」と設計チームは言います。
今回の展示制作では、Steampunkを平面の線画ではなく、AR技術を利用したデジタルモデルで作成。建築チームが実際に展示を組み立てる際にもガイドとして使われています。
楽器や家具、武器などを作るのに昔から使われている「蒸気で木材を曲げる技術」と、そこにFologramのアプリで作られたARガイドを組み合わせる実験的手法により、建築チームは材料の形をその場で自由に調節することができました。
このように、建築家はARを活用してさまざまな建物や設備を構築する方法を模索しているのです。
(参考)Dezeen