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業界動向 2023.05.23

サムスン子会社がマイクロOLED企業eMaginを買収、XRデバイス開発に技術活用か

2023年5月17日、韓国の大手OLEDディスプレイメーカーであるサムスンディスプレイは、米国のマイクロOLED企業eMaginの買収を明らかにしました。買収額は約2億1800万ドル(約300億円)です。

今回の買収により、サムスンディスプレイはeMaginの特許技術「ダイレクトパターニングディスプレイ(direct patterning display、dPd)」などを活用し、マイクロOLEDおよびXRデバイス開発を加速させると予想されます。


(出所:UploadVR

XRヘッドセット向けのマイクロOLED開発を進める「eMagin」

eMaginは、2000年創業のマイクロOLED企業。当初は米軍などで使用される特殊な産業用ヘッドセットにマイクロOLEDを提供してきましたが、近年は一般向けの次世代型XRヘッドセットで使用する4K OLEDマイクロディスプレイの開発を進めています。

eMaginが開発する「マイクロOLED」とは、「OLED(有機EL)で製造されたごく小さなディスプレイ」のこと。従来より小型のXRヘッドセットを実現できるため、近年注目を集めています。一例として、Bigscreen VRのBigscreen BeyondやShiftallのMeganeXにも、マイクロOLEDが使用されています。


(出所:UploadVR)

マイクロOLEDは、小さなパネルでも高い解像度を実現できます。ピクセル密度を高めるため、スマートフォンやテレビで使用される通常のOLEDとは全く異なるプロセスで製造されるためです。

eMaginの特許技術を新型XRデバイスに活用か

今回の買収は、サムスンディスプレイがeMaginの特許技術「ダイレクトパターニングディスプレイ(direct patterning display、dPd)」を活用するためとも考えられます。dPdは、競合のマイクロOLEDよりもはるかに高い電力効率と輝度を実現できる技術です。サムスンがグーグルやクアルコムと共同開発中の新型XRデバイスに、dPdが使用される可能性もあるでしょう。

一方、eMaginは2022年、「現在開発中の製品を一般向けに大量製造するための生産能力や資金がない」と語っています。今回のサムスンディスプレイによる買収は、その解決策となるかもしれません。

今回の買収に関して、サムスンディスプレイの社長兼CEOであるJoo Sun Choi氏は「私たちは、XRデバイスには大きな成長可能性があると予想しています。本分野におけるeMaginの技術により、サムスンはより多くの顧客に革新的な製品を提供し、XR関連事業を強化できるでしょう」とコメントしています。

(参考)UploadVReMagin

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