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テック 2021.08.27

フェイスブックの研究用メガネ型デバイス「Project Aria」の全貌が明らかに。米FCCから文書公開

フェイスブックが2020年9月に発表した、ARグラスの研究開発プロジェクト「Project Aria」。様々なセンサーを搭載したスマートグラスを、フェイスブックの従業員自ら装着し、データを収集することで将来のARグラス開発に活かすプロジェクトです。

「Project Aria」で使用されているメガネ型デバイスの詳細は、長らく謎に包まれたままでした。しかし発表から約1年が経過した現在、米国連邦通信委員会(FCC)からユーザーマニュアルを含む各種文書が公開され、その全貌が明らかになりました。

一般販売は行わない研究用、ディスプレイ表示機能は非搭載

「Project Aria」では、研究用のメガネ型デバイスを用いています。一般販売を目的としてはおらず、搭載されたカメラとAIを使って現実空間の3Dマッピングを行ったり、音声系の拡張を実施。Facebook Connectでは、Project Ariaを通じて「理想のARグラス」の研究開発を着実に進めていることが強調されていました。

今回公開されたユーザーマニュアルからは、メガネ型デバイスについて以下のような事実が判明しています。

名称はGemini

デバイスは「Gemini EVT」と呼称されています。「EVT(engineering valuation test)」は、生産開始前の設計・機能評価試験中であることを指しています。

ディスプレイ表示機能は無し

これまでフェイスブックが公表してきたように、「Project Aria」はデータ収集を目的とし、ARコンテンツの表示機能は有していません。デバイスにはカメラセンサーと近接センサーが搭載されています。

度付きのレンズに変更も可能

度付きのレンズ処方に関する言及があり、一般的な眼鏡で対応できる範囲であれば、視力に応じた度の入ったデバイスにできます。

専用のモバイルアプリ

「Ariane」というモバイルアプリが対応し、バッテリー残量を確認したり、収集したデータをアップロードしたりといった用途に用います。マニュアルにはiOS版のアプリのみが記載されており、Android版の存在については不明です。

4基のカメラを搭載

カメラでは動画、静止画の撮影が可能。なお公開された写真によれば、カメラセンサーは一体型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」と同一のものを使用しています。

インターフェースは簡素

シャッターボタン、電源ボタン、そして”プライバシーモードのオンオフを切り替える”ミュートスイッチというシンプルな構成です。また録画中であることを知らせる複数のLEDライトが付いています。

その他:チップセットやUSBケーブルなど

チップセットはQualcomm製を採用、OSはAndroidのカスタマイズバージョン「Oculus OS」を使用しています。USB充電ケーブルもAndroidの規格です。

一般発売も視野に?

前述のように、メガネ型デバイス(Gemini)は研究用のモデルであり、一般発売を意図していません。しかしプライバシーモードの存在や比較的シンプルなUI、モバイルアプリといった特徴からは、将来のコンシューマー向け製品を意図していることがうかがえます。またOculus Quest 2と同一のカメラセンサーを採用する点より、同社がARデバイスへのSLAM技術応用をテストしていることが分かります。

ARグラスを巡るフェイスブックの動向はこちら。

(参考)ProtocolFCC


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