フェイスブックは、日本時間2020年9月17日午前2時から開催されたFacebook Connectにて、VR/ARに関わる多くの新発表を行いました。本記事ではその概要をまとめてお伝えします。
まずはARから、スマートグラスを来年発売
基調講演の冒頭では、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏が登場。まずARの話題で口火を切りました。
「1日中装着するARグラス」のビジョンを語りながら、レイバンブランドを保有するEssilorLuxotticaとの数年にわたる提携、そして2021年にはレイバンとスマートグラス(※ARグラスではないことに注意)を発売することを明らかにしました。
さらに、その先にあるARグラスの実現に向けた研究開発プロジェクト「Project Aria」を紹介。研究用のデバイスが初めて公開されました。「Project Aria」は、メガネ型のデバイスではありますが、一般販売を目的としたARグラスではありません。搭載されたカメラとAIを使って現実空間の3Dマッピングを行ったり、音声系の拡張を行う研究用のモデルです。
フェイスブックは基調講演の中で何度もARについての話題を繰り返し、Project Ariaを通じて「理想のARグラス」の研究開発を着実に進めていることを強調しました。
新型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」発表
2019年5月に発売された一体型VRヘッドセット「Oculus Quest」はPCやスマートフォンを使わずに、手や自身が動く本格的なVR体験が実現したデバイスとして注目を集めました。今回フェイスブックは、かねてより噂されていた後継機「Oculus Quest 2」を発表。廉価版と噂されていましたが、性能が大幅に向上しているほか、軽量・小型化を実現しています。
プロセッサはQualcomm Snapdragon XR2を搭載しパワーアップ、メモリも4GBから6GBに増加しています。解像度は片目あたり1832×1920で、初代と比較してピクセル数が50%増加しています。リフレッシュレートは初代同様72Hzですが、今後90Hzのサポートも対応するとのこと。
Oculus Quest 2の予約は即日開始。発売日は米国時間で10月13日。価格は64GB版が税別33,800円、256GB版は税別44,800円です。64GB版の価格は初代Questと比較し、約12,000円安価になりました。また、初代Questは日本では公式サイトかAmazonでのみの購入でしたが、Quest 2は量販店での販売を開始することが発表されています。
コンテンツ:Quest 2ローンチタイトルなど新規のVRゲームが多数発表
フェイスブックは2019年5月に発売したOculus Questのストアが順調に拡大していることを強調。ストアの流通総額が1.5億ドル(約150億円)を超えたこと、100万ドル以上を売り上げているゲーム・アプリが35以上にのぼることを発表しました。
合わせて、Oculus Quest 2の発売に向けて新たなコンテンツが多く発表されました。「スター・ウォーズ」、「ジュラシック・ワールド」といった人気映画の世界を体験できる大型帯タイトルのほか、日本からも「Rez Infinite」、「Kizuna AI – Touch the Beat!」、「リトルウィッチアカデミアVR ほうき星に願いを」、「アルトデウスBC」など多くのタイトルが発表されました。
昨今、フェイスブックは既存の人気ゲームシリーズが新たにVRゲームとして登場する流れを加速させています。2019年に発表された「メダルオブオナー」のVRゲームに続き、Ubisoftから「アサシンクリード」、「スプリンターセル」のVRゲームが登場することが発表されました。
プラットフォーム:Quest向けに複数の機能追加が発表
QuestとPCをつなぐOculus Linkは正式版へ
Oculus QuestとPCを接続し、PC向けのVRコンテンツを体験可能にする「Oculus Link」は2020年秋にベータ版が終了し、正式版が提供されます。将来的にはQuest 2でのOculus Linkが」PC向けのVRと同じ90Hzに対応し、体験の質が同レベルにまで向上するとのこと。
VRプレイ中の運動量を計測する「Oculus Move」
VRゲームなどをフィットネス目的でプレイするユーザーが増えていることを受けて、フェイスブックは運動量を計測する「Oculus Move」を発表しました。これまで個別のアプリでフィットネスの分析が搭載されているものがありましたが、今後はシステム全体で目標設定や計測が行われます。
Questプラットフォームに向けて2020年中に、選ばれたユーザー向けに提供を開始するとしています。
メッセンジャーと連携
VRユーザー同士のソーシャル機能を強化するため、メッセンジャーがQuest向けに提供されます。フレンドとのチャットだけでなく、いま遊んでいるVRゲームに誘うこともできるほか、スマートフォン等の「メッセンジャー」とも連動します。
ビジネス:Quest 2にシフト、仕事環境の拡張も目指す
フェイスブックは企業向けのサービス「Oculus for Business」にQuest 2をラインナップされることを明らかにしました。価格は799ドル(約80,000円)です。フェイスブックの提供する法人向けサービス「Workplace」との連携も発表しています・
(フェイスブックが公開した、「業務にVRを取り入れるための6つのステップ」)
また、作業環境をVRで実現することを目的とした「Infinite Office」という新サービスが発表されました。パススルーで見える現実空間にマルチモニターのように複数の画面が広がり、様々な作業をVRで行うことができるようになるというもの。解像度の高いQuest 2だからこそ実現する環境だと言えます。文字入力はロジテックと提携し、VR内でも見ることのできるキーボードを使うことで現実と同じように作業ができる、としています(最初に対応するキーボードはK830とのこと)。
(参考)Oculus公式ブログ