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テック 2024.01.05

クアルコム、XR向けチップ「Snapdragon XR2+ Gen 2」発表。さらにサムスンとGoogleが「最先端のXR体験」を提供予定

1月4日、半導体メーカーのクアルコムは、XR向けチップセット「Snapdragon XR2+ Gen 2」を発表しました。CPU/GPU性能が向上し、トラッキング用カメラのサポート数が増加するなど、スペックアップが図られています。

また、クアルコムはチップセットの発表に際し、「サムスンとGoogleは、Snapdragon XR2+ Gen 2を使用して最先端のXR体験を提供する」とコメント。2023年2月に発表されたクアルコム・サムスン・Googleの3社提携の成果が、今後明らかになるものと思われます。

最大で片目4.3K解像度をサポート

今回発表された「Snapdragon XR2+ Gen 2」は、いわゆる「プレミアムモデル」に該当します。VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」に搭載されている「Snapdragon XR2 Gen 2」と比較して、CPUクロック数が20%、GPUクロック数が15%向上。片目あたりの解像度は最大4.3K、リフレッシュレート90fpsをサポートするほか、よりAI向けのパフォーマンスが向上しました。さらに、トラッキングやパススルー等に使われるカメラを最大12個までサポートします。


(「Snapdragon XR2+ Gen 2」を、「Snapdragon XR2 Gen 2」と比較したもの。大幅なスペックアップではないものの、様々な点でよりハイエンドなVR/MRヘッドセットに対応できるようになった。出典: クアルコム)

新規リファレンスデザインも、2種の構成に対応

合わせて、クアルコムは新たなVR/MRヘッドセットのリファレンスデザインを発表しました。メーカー各社はこのリファレンスデザインを利用することで、デバイスの開発や製造の期間を短縮できます。なお、リファレンスデザインはGoertekが開発を担当。アイトラッキング(視線追跡)はソニーの「PlayStation VR2」でも採用されている、Tobii社の技術が搭載されています。

このリファレンスデザインは、「Meta Quest 3」等で採用されている「Snapdragon XR2 Gen 2」を使った片目あたり3Kのシステム構成と、今回発表された「Snapdragon XR2+ Gen 2」を使った片目あたり4Kのシステム構成、これら双方をサポートしています。

クアルコム・サムスン・Googleの「Android連合」はAppleに追いつけるのか

本発表に際し、サムスン電子のVP・技術戦略チームのInkang Song氏は「クアルコムやGoogleと協力し、モバイル業界に再び革命を起こせることを嬉しく思う」「Galaxyユーザーに、最高クラスのXR体験を提供することを目指す」とコメント。また、GoogleのAR担当VP、Shaharam Izadi氏は「Androidのエコシステムが、Snapdragon XR2+ Gen 2の能力を活用し、新しい体験を可能にすることを楽しみにしています」と述べました。

2023年2月、クアルコム・サムスン・Googleの3社は、「共同で新型のXRデバイスに取り組む」ことを発表していました。その後、一部では「Appleの『Vision Pro』に対抗するための、ハイエンドなVR/MRヘッドセットを開発している」「Vision Proの発表を見た後、再設計のための方針転換を行った」とする報道こそあったものの、3社提携の成果は発表されていません。しかし、今回発表された「Snapdragon XR2+ Gen 2」のスペックを鑑みるに、これら3社はハイエンドなVR/MRヘッドセットを開発している可能性が高まったと言えるでしょう。

一方、VR/MRヘッドセットやモバイルデバイスの開発においては、SoCのスペックアップ以上に熱設計や処理の効率性が重要です。Appleが長年に渡ってこれらのデザインや設計ノウハウを培ってきたことは、iPhoneやMacbookを見れば一目瞭然であり、「Vision Pro」でもその知見は存分に活かされていまます。クアルコム・サムスン・Googleの「Android連合」がAppleの対抗馬となるまでの道のりは、やや長いものになりそうです。

(参考)クアルコム


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