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投資 2018.07.12

ストーリーテリングを追求 VRアニメスタジオが約11億円資金調達

VR元年と呼ばれた2016年から2年過ぎましたが、関係者の強気の見方として、VRデバイスの普及が進んでいないため市場の伸びが遅いという声もあります。

一方で、映画などVRを使ったストーリーテリングはまさに花開き始めたところであり、VRの持つ没入感が活かされています。こうしたVRコンテンツを手掛けるアニメスタジオのPenrose Studiosは、シリーズAラウンドで1,000万ドル(約11億円)の資金調達を行いました。一体型VRヘッドセット向けコンテンツなど、新たな作品作りへと投資していきます。

コンテンツの無償提供はいつまで可能か?

Penrose同様にベンチャーキャピタルから資金援助を受けるコンテンツスタジオの中には、制作プロセスを合理化し、低予算、短い期間で作品を作るスタジオもあります。しかしPenroseは、真正面からクリエイティブな作品作りに向き合っています。

トライベッカ映画祭で公開された最新作の「Arden’s Wake」は、非常に野心的なVRショートムービーです。30分間のこの作品は、洗練されたデザインとストーリーで構成され、他のスタジオの作品にはない感動を与えてくれる、として高い評価を得ています。

PenroseのCEO、Eugene Chung氏は詳細な金額を公開していませんが、同スタジオが多くの資金をこの作品に投じたことは明らかです。一方で、「Arden’s Wake」が今後VRデバイス向けにリリースされる際、無償となるかどうかは定かではありません。
先にリリースされたPenroseの作品、「Allumette」や「The Rose and I」は、主要なVRヘッドセット向けに無料でダウンロードが可能となっています。

現在、VRヘッドセットの普及率は高いとは言えません。この状況からすると、スタートアップのスタジオは、「視聴者の市場が大きくなるまでは、無料でもダウンロードしないユーザーに対しても作品を公開しよう」と考えるでしょう。

ゲームではない、ストーリーテリングのコンテンツに対して課金する消費形態は、まだVR作品では一般的ではありません。しかし今後どのようにして収益を上げていくのか、課題になってくると考えられます。

一体型HMD向け作品、スマホAR利用を検討

今後の展開についてChung氏は、今後VRヘッドセットの普及が進んでいくだろうという前向きな予測をしています。特にOculus Goのような一体型のヘッドセットは、PCに繋がれていないため使いやすく、スマートフォン向けヘッドセットよりも性能が上がっています。

Penroseは現在、一体型VRヘッドセット向けに4つの新しいプロジェクトを進めているとのこと。またARKitARCoreのようなプラットフォームを用いた、スマートフォン向けのARコンテンツについても、より真剣に検討を進めるとのことです。

Penrose Studiosの作品やVRにおけるストーリーテリングについては、こちらの記事でも紹介しています。

(参考)TechCrunch


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