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MoguraVR

2018.04.11

VR映像プロデューサー・待場勝利の「VR映画の夜明け前」第4回

映画は革新的な映像で多くの観客に衝撃を与えてきました。「キングコング」はストップモーション・アニメーションを用いて画期的な映像を制作し、「スター・ウォーズ」によってSFXという言葉が一般化され、「ファイナルファンタジー」では世界で初めてフル3DCGを用いた映画が制作されました。

映画の歴史の中では、VRも1つの革新的な進化だと言えるのではないかと考えています。そしてVR映画の中でも、さらなる進化が始まっています。

今までご紹介したVR映画は3DoF(Three Degrees of Freedom)と呼ばれる3軸の動きだけに対応する作品を紹介してきました。3DoF作品は映像の中で顔の向きを上下に動かしたり、左右に動かしたり、首を傾けるような動きをしながら楽しむ作品です。

今回ご紹介したいのは6DoF(Six Degree of Freedom)と呼ばれる6軸の動きに対応する作品です。6DoFというのは3DoFの動きに加えて、前後に移動したり、左右に移動したり、上下に移動したりすることが可能になります。

3DoF作品は自分を中心にして周辺を見回すことができましたが、自分の立っている位置から移動したり、目の前にある物体や人物に自分自身で寄ったりすることはできませんでした。6DoF作品になると、例えば学校のクラスの席で、自分の後ろの席の人物に振り向いて顔を見ることができ、さらにその人物の顔に近寄ることが可能になります。

今回は6DoFで革新的なVR映画を作っている、PENROSE STUDIOSの作品を紹介したいと思います。

6DoFの可能性を見せた作品「The Rose and I」

「The Rose and I」はサン=テグジュペリの小説「星の王子さま」をモチーフに制作されたVR映画です。物語の始まりは真っ暗闇の中で、ラジオの曲を探すように色々な曲が流れてきます。少しずつ映像が現れると自分自信が空中に浮いていて、空に浮かぶ惑星を眺めることができます。まるでミニチュアの太陽系を空の上から眺めているような感じがします。

やがて、目の前に地球のような惑星が見えます。遠くの方から何かが近寄ってくる音がして、見上げると土星のような環がついた惑星が自分の上空を通っていきます。

ふと、真ん中に穴が空いた小さな惑星が目に入ります。咳き込むような声が聞こえると、その小さな惑星の穴からサンタクロースのような衣装を着た小人のようなキャラクターが現れ、何かを探しているように見えます。また咳き込む声が聞こえ、そのキャラクターは声の主を探して小さな惑星を歩き回ります。キャラクターが動く方向に首を傾けたり顔を近づけてみると、何とキャラクターに近づくことができたり、キャラクターの裏側や側面を見ることができるのです。

私も30年以上多くの映像を見てきましたが、こんな映像体験は生まれて初めてでした。またそのキャラクターが可愛く、色々な方向から見てみたくなり、近づくとその表情や仕草がよく見えて、手のひらに乗せたくなるような気持ちになります。

キャラクターは赤い一輪のバラの花を見つけます。咳き込む声の正体はこのバラだったようです。バラはどこか調子がおかしいようで、キャラクターは何かに気づいたように惑星の穴に戻り、ジョウロに水を入れて、バラに水をやります。バラは心地よさそうにしています。

そうしていると日が落ちてきて夕焼けが訪れ、バラとキャラクターは並んで座って夕焼けを眺めています。やっと見つけた友達と大切な時間を過ごすような、愛おしい時間が過ぎてゆき、で物語は終わります。

この作品は体験者自身がキャラクターの顔に寄ることができたり、全体を引いて俯瞰で見たりすることができます。体験者自身が思うようにそのストーリーの距離感を変えることができるのです。フレーム映画であれば、きっと最後はバラとキャラクターの背中を引きの画にして終わるだろうなと思うのですが、6DoFを使ったこの作品は、バラとキャラクターに近寄って、顔に回り込み二人の表情を見て終わることもできます。

それぞれの体験者がこのVR空間の中で登場人物との距離感を変えることによって、きっと見え方がいろいろと変わってくるのだと思います。それによってそれぞれの物語が見えてくるのがこの手法の面白いところです。

さらなる進化を見せた6DoF作品「Allumette」

2016年のトライベッカ映画祭のレッドカーペット・ワールドプレミアで、PENROSE STUDIOSが一気に注目を浴びるキッカケになった作品が「Allumette」でした。約20分の作品で、アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」をモチーフにした作品です。

冒頭では寒空の下、一人の少女が路上で凍えています。暗くてあまり周辺がよく見えず、少女はあまりの寒さに持っていた3本のマッチのうち1本を擦ります。

すると目の前が明るくなり、左の方から空を飛ぶ船が近づいてきます。自分の目の前に船が来ると、さっきの少女が船上にいることに気がつきます。少女は船上から船内に入っていきます。船内に少女が何をしに行ったか気になり、思い切って船の外側から船の中に頭を突っ込んでみると……なんと! 船内にいる少女とその母親らしき人物のやり取りが見えるのです。

この作品では少女の表情に寄ったり、空飛ぶ船を近づいて見たり、ほかの角度で見たりすることができるのは気がついていたのですが、まさか船の中に顔を突っ込んで見ることができるなんて思ってもみなかったですし、今までの映像体験の中でそんな感覚を味わったことが無かったので本当に驚きました。

船は空中に浮かぶ町に停泊し、少女と母親はマッチ売りの商売を始めます。ここで冒頭の少女が持っていたマッチは売り物だったことに気がつきます。そしてマッチの火が消え、母親との楽しいひと時も消えてしまいます。

寒さをしのぐため、そして母親にまた会いたいがために、少女は2本目のマッチを擦ります。再び辺りが明るくなって、母親との楽しい生活が目の前に現れます。

空中に浮かぶ町に船が停泊していて、その下では何かイベントが行われているようで、大勢の人たちが見えます。母親が道端で顔見知りのおじさんと話をしている間、少女は何かを思い出したように船に戻っていきます。少女がいなくなったのに気づいて、母親は少女を探していると、突然船から火の手が上がります。

娘が船の中にいると気づいた母親は火の中に飛び込み、娘を助け出しますが、船はさらに炎上し、手がつけられなくなってしまいます。そのままにしておくとイベントに来ている大勢の人たちの頭上に船が落ちてしまうでしょう。母親は意を決して、船の中に乗り込み、船を動かします。町から離れたその瞬間、炎上した船は大爆発、粉々になってしまいます。

そこで再びマッチの火が消えてしまいます。少女が最後の1本のマッチを出した時、どこからか咳き込む声が聞こえてきます。その声の方向に行ってみると、一人のおじいさんが階段の下で凍えています。

そのおじいさんを見て、少女は決心をし、最後の大事なマッチをそのおじいさんに差し出します。そうするとどこからか優しい母親の声がしてきて、暗闇の中で母親が少女を抱きしめて物語は終わります。一つもセリフが無い作品なのですが、非常に感動的なストーリーに仕上がっています。

本作はおよそ20分ほどの作品。現状、VR映画で20分近い作品は長い方だと思いますが、ストーリーに引き込まれてしまって、あっという間の20分だと思います。本作はストーリーもさることながら、6DoFの特徴を生かした演出が本当に素晴らしいVR作品だと思います。さて、私がこの作品でずっと気になっていたのが、あの空飛ぶ船の火事の原因は少女だったのか? ということです。その答えはこの作品を6DoFで見た時に分かると思います。機会があったらぜひ見てください。

Penrose Studiosが追い求める6DoFの完成形!? 「Arden’s Wake」

Penrose Studiosの最新作である「Arden’s Wake」。本作はまだ公開されていません。私も昨年ハリウッドのイベントで初めて「Arden’s Wake」に出会いました。VR映画の概念を変える本当に衝撃的な出会いでした。「Arden’s Wake」は今までの2作品より深いストーリーテリングにも挑戦していて、新たな映像表現と過去に培った映画的なストーリーテリングの手法を絶妙なバランスで融合させた作品になっています。

「Arden’s Wake」は全部で3つのエピソードで構成されていて、私が体験したのは「Arden’s Wake: The Prologue」でした。

物語は海水の水位が上昇した世界の話で、主人公はArdenという女の子です。Ardenがまだ幼い時に海で母親を亡くすシーンから物語は始まります。

その後、女の子が成長し、父親と2人で海上で暮らしています。ある日、父親と些細なことでケンカになります。その時父親が誤って海に落ちてしまい、Ardenは父親を探すために潜水艇に乗って探しに行きます。

その時にArdenはある生物と出会うのですが、それが何かはこの作品と出会う機会が来た時にぜひ確認して欲しいと思います。父親を探しながら、Ardenの成長物語でもあるこの作品の完成版が今から楽しみです。

PENROSE STUDIOSの第1作めの「The Rose and I」から第2作めの「Allumette」で見せてきた6Dofの手法は、「Arden’s Wake」ではさらに効果的に使われています。「The Rose and I」や「Allumette」では6DoFの効果を体験することに感動を覚えていたのですが、「Arden’s Wake」では6DoFということも忘れてしまって、まさに物語の中に自分がいて、Ardenの物語を様々な距離感で見ることができる作品になっていました。

それはPENROSE STUDIOSの演出の素晴らしさが要因にはあるとは思いますが、私自身6DoFを使った作品の見方、リテラシーが上がってきたことも要因の一つかなと思います。

ある程度のリテラシーが無いと、この作品の素晴らしさはきちんと分からなかったのではないかと思います。VR映画はまだまだ発展途上です。作り手も体験する人たちもVR映画の楽しませ方、楽しみ方を発見して初めて完成するのだと思います。

PENROSE STUDIOSとは?

PENROSE STUDIOSは2015年に設立し、アメリカ・サンフランシスコを拠点にしたVR作品の制作を専門としたスタジオです。「VR界のピクサー」と取り上げられこともあるようです。2016年には大きな資金調達も成功し、VR映画を制作するスタジオとしては非常に注目されています。

私としては、彼らのVR映画作品はきっと煩わしいVRのヘッドマウントを被ってでも見たくなる作品を生み出す大きな可能性を持ったスタジオだと思っています。
 
また今回ご紹介させていただいた作品は下記のデバイスでご覧いただけます。
「The Rose and I」: Oculus Rift, Samsung Gear VR
「Allumette」: Oculus Rift, PlayStation VR, Steam VR, HTC’s Viveport
「Arden’s Wake」: 配信時期未定
 
また今回ご紹介させていただいた作品の詳細は、下記の公式HPをご覧ください。

http://www.penrosestudios.com/
 
※本記事の内容はあくまで私見に基づくものです。ご了承ください。

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この記事を書いた人

待場勝利

株式会社eje、VR推進部執行役員。大学を卒業後、アメリカで映画製作を学ぶ。TVディレクター、20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパンで日本語版プロデューサー、サムスン電子ジャパンではGear VRを担当。2016年から株式会社ejeでVRのコンテンツに関わる。数々のVR Projectを担当。ejeではVR CRUISEとVR THEATERの運営に携わる。

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