2019年8月9日、原子爆弾がニューヨークの街で爆発した際の被害が体験できるVRプログラム「Nukemap VR」がアメリカ・ニュージャージー州でお披露目されました。同ソフト内で爆発するのは、広島に投下された「リトルボーイ」と同サイズの原子爆弾です。
今回「Nukemap VR」のデモンストレーションが行われた8月9日は、第2次世界大戦中、長崎に原爆が投下された日です。
Webサービスを母体に開発
「Nukemap VR」は、Reinventing Civil Defenseと呼ばれる、核兵器などの危険に関する理解を再び深めるためのプロジェクトの一環です。同作は、地図上で様々な爆弾を爆発させ、その被害範囲を知ることができるwebサービス「Nukemap」を原型として開発。VRヘッドセットは、Oculus Riftを使用します。
「Nukemap VR」の開発者は博物館向けのVRコンテンツ制作などを手掛けているChristopher Manzione氏です。同氏は「Nukemap」の開発者、Alex Wellerstein氏と共同で「Nukemap VR」を制作しました。
Manzione氏によれば、2019年8月現在「Nukemap VR」の開発はまだプロトタイプ段階を脱していないとのこと。同プログラムを体験したBusiness Insiderの記者Dave Mosher氏も、グラフィック等に一部不具合が生じていたことを報告しています。
テロリストが使用する可能性が高い爆弾
「Nukemap VR」で使用される爆弾にリトルボーイを選んだ理由についてManzione氏は、「我々が(リトルボーイ)を選んだのは、(現代の)テロリストが使う(可能性のある)爆弾(のサイズ)にもっとも近いものだからです」と説明します。
公開された体験映像からは、ニューヨークの中心部でリトルボーイが起爆し、轟音と共にきのこ雲が現れる様子と、爆発によって生じる被害範囲が確認できます。Business Insiderによれば、この爆発だけで約60万人が(VR内で)死傷するとのこと。
将来的なアップグレードも視野に
Manzione氏とWellerstein氏は、「Nukemap VR」によって多くの人に原爆の理解を促すことを希望しています。Manzione氏によれば、同氏も「Nukemap VR」のプロトタイプを使用して「思うところがあった」とのこと。
Manzione氏は、「Nukemap VR」の次の段階として多くの人に同プログラムを体験してもらい、フィードバックを集めることを計画しています。同氏は、集めた情報によって「Nukemap VR」を改善すると説明。より資金を集めることに成功した場合、オリジナルの「Nukemap」と同様に、ユーザーが様々な項目を設定できるシステムを組み込みたいとしています。
(参考)Business Insider