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「VRに初夏がやってきた」とは?大型調達をした日本発VRゲームスタジオMyDearestのCEOが語る

2021年6月末、VRゲームを開発するMyDearest株式会社9億円の資金調達を行いました。本記事では、Mogura VRのポッドキャスト「もぐラジオ」にゲスト出演した同社代表取締役CEO・岸上健人さんにショートインタビュー。調達の狙いや戦略について聞きました。

MyDearest株式会社はオリジナルIPのVRゲーム開発を手がける企業。VRノベル/アドベンチャーゲーム路線の「Innocent Forest」、その後「東京クロノス」「ALTDEUS: Beyond Chronos」などのタイトルをリリースしています。特に2020年の12月発売の「ALTDEUS: Beyond Chronos」はVRヘッドセット「Oculus Quest 2」のローンチタイトルにも選出され、ユーザー評価やレビュー、アワード等で高い評価を得ています。

VRに「初夏」がやってきた?

すんくぼ:

まず岸上さん、9億円の資金調達おめでとうございます! 私たちも調達額を見て驚きました。今回のMyDearestさんへの出資はグロービス・キャピタル・パートナーズ、DBJキャピタル、DG Daiwa Ventures、SMBCベンチャーキャピタル、マネックスベンチャーズと、そうそうたる顔ぶれですね。新しい投資家も含め、“堅め”であるDBJ(日本政策投資銀行)といった政府系の金融機関も出資しています。

岸上健人氏(以下、岸上氏):

ありがとうございます! 今回は大きな金額を調達できたのでで、プレスリリースもしっかり打ち出しました。

すんくぼ:

まずは、そもそもMyDearestがどんなことをやっていて、何を目指しているのか、その辺りのお話を改めて伺えますか?

岸上氏:

MyDearestは、オリジナルのIPでVRゲームを作っている会社です。最近だとVRインタラクティブストーリーアクションの「ALTDEUS: Beyond Chronos」や、VRミステリーアドベンチャーの「東京クロノス」ですね。VRゲームで人気のあるタイトルがFPSやアクション、ホラーに集中しているなか、物語性・キャラクター性重視でVRゲーム開発に取り組んでいます。

すんくぼ:

今回のプレスリリースで、岸上さんがいきなり「VRに初夏がやってきました」って書いてたのが個人的にツボっていて(笑)。岸上さん、この「初夏」の意味について教えて下さい。


(岸上氏の「VRに初夏がやってきました」PR Timesのプレスリリースより引用)

岸上氏:

あえて「春ではない、5月ぐらいのイメージ感」で初夏って付けたんですが(笑)2021年に入り、弊社の調達の他にも、VRライブプラットフォームのVARKさんが資金調達、またソーシャルVRのambrが電通グループと提携、といった大きな発表がダーッと続いたんですよ。

VRライブプラットフォームのVARKが6億円調達、メタバース要素取り込む | Mogura VR

VRライブプラットフォームのVARKが6億円調達、メタバース要素取り込む | Mogura VR

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ソーシャルVRのambrが電通グループと提携、ユーザー体験価値の創造を目指す | Mogura VR

ソーシャルVRのambrが電通グループと提携、ユーザー体験価値の創造を目指す | Mogura VR

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この規模の資金調達や提携は、ビジネスとして成立していないとできないんですよね。なので、MyDearestも含めこれらの発表は「日本のVRコンテンツがビジネスとしてちゃんと成立する時期になった」証明だと思うんです。だから春ではなく、今はVRのスタートアップやベンチャーが隆盛する初夏くらい。僕の肌感ですが、大企業の資金がスタートアップに集まるのは、大企業やファンドの出資者が田植えをする時期に来たということです。そして数年後の秋が米を収穫する時期に当たるのかな、と。

すんくぼ:

それで行くと、初代Oculus Questがリリースされた2019年あたりが春の始まりにあたりそうですね。

岸上氏:

2020年に春が終わって、VRヘッドセット「Oculus Quest 2」でとどめを刺して(笑)2021年になった、というイメージです。僕の考えだと、2016年のVR元年はまだ真冬の1月、つまり始まりです。今やっとVR業界の種が芽吹き始めている。……で、2022年あたりは6月、つまり梅雨にあたると思っています。

すんくぼ:

梅雨はくるんですね。

岸上氏:

2022年、冬の年末商戦に合わせてソニーがは「PSVR2」的なものを出すと思うんですが、PSVR2が出たとしても、それに関連した大きな話題は即座には出ないと思っています。だからまだ2022年は梅雨。そして大きなインパクトのある「THE・夏」が来るのは2023年からかな、と。

すんくぼ:

稲を植える意味での初夏だったんですね。は収穫だから数年はいいとして、夏の次はまた冬になるんですか? それとも常夏?

岸上氏:

冬……というかレッドオーシャンになるイメージですね。今のスマートフォン向けゲーム市場と同じで、成功しにくい状況になると思います。

すんくぼ:

VRもコンソールやスマートフォン向けゲームと同じで、過剰なくらいの競争状態になると。

岸上氏:

そうです。一方でそうなればVRが当たり前になるわけなので、僕らにとってはいい状態になるでしょうね。

すんくぼ:

なるほど、腑に落ちたしすごくいい話が聞けました(笑)。

急拡大や一点突破はやらない。ゆっくりと拡大する

すんくぼ:

いったん資金調達の額の話に戻って、「Raw Data」を開発するSurviosのようにちょっと特殊な調達額を叩き出したケースもありますが、今回の9億円はVRゲームスタジオにとってかなり大きな金額ですよね。少なくとも国内のVRゲームで公表された調達では最高額だと思います。

この金額だとVRゲームを複数本作れるレベルだと推測していますが、今回はそもそもVRゲームを何本も作る想定での調達なのか、それとも1本にかける金額やチームの規模感を大きくしていく戦略なのか。いかがでしょう?

岸上氏:

質問が鋭いですね(笑)。一応、今回の調達を一作で全て使い切るつもりはありません。たまにやる人もいますが、それは経営者としてどうなのかという話になってしまう(笑)

すんくぼ:

すごいギャンブルですね(笑)。

岸上氏:

VARKの加藤君とかはやってもおかしくないけど、彼以外はやらないんじゃないかな(笑)。今回の資金で僕らがやることは直近だと2つあって。1つは今まで単一だった開発ラインを2つに増やします。だから少なくとも2作は生まれる。片方は「東京クロノス」や「ALTDEUS: Beyond Chronos」のストーリーテリング、物語をVRでどう伝えるかの進化系ですね。「みんなこういうのを作りたかったんだよ!」って作品が出せる気がしてます。あともう1つは「予想外。こういう作品も作るんだ」的なタイトルになると思います。

あとVRコンテンツを開発する企業って、世間が言うほど急拡大はしないような姿勢だと思っています。国内外問わず、成長はまだゆっくりでよくて。徐々に拡大していきたいという感じですね。僕らも人が集まってカルチャーが生まれるところから、やっと開発ラインを2つにできる体制になったなと。だから開発ラインを3つにするのにも時間をかけていきたいと思っています。

すんくぼ:

そう思います。日本ではそこまで広く知られていなかったりするんですが、VRADVの「Moss」を開発しているPolyarc Gamesなんかは「小規模で、地道に作り続けていく」路線ですね。


(Polyarc Gamesの人気タイトル「Moss」。外の世界を夢見る白いネズミ「Quill(クイル)」と共に神話と魔法の世界を冒険するアドベンチャーゲームであり、高い人気を誇る。同社は同規模の900万ドル=約9.9億円の調達を行っており。「Moss」は続編の制作も決定している

岸上氏:

今後作る2作の毛色は結構違うと思うので、そこはご期待ください、といったところです。MyDearestは他がやらない、ユニークなことをやりたいので。VRのFPSタイトルは作らないと思います(笑)。

すんくぼ:

これだけ「撃つ」がメインのタイトルが多い中で作らない、というのはかなりユニークですね。

すんくぼ:

余談ながら、岸上さんは熱い文章を書くことで知られてますが、今回のプレスリリースでは、投資家のみなさんも熱のこもったメッセージが書かれているのは結構すごい(笑)

岸上氏:

合わせたわけじゃないんですが、リリースは皆さんノリノリでしたね(笑)

すんくぼ:

これはMyDearestさんのファンコミュニティのアツさ・強さから通底しているところかなと思います。ユーザーのファンコミュニティを盛り上げ、投資家や企業といったビジネスサイドでも熱量を共有しているのはMyDearestさんの大きな特徴ではないかと。これは世界的にみてもユニークで。巻き込む力が強いというか(笑)


(「制作共犯者ミーティング」と名付けられたイベントや、他ファン向けのプレミアムトークショー等の露出をたびたび行っている。ファンの熱量は非常に高い)

岸上氏:

今回の資金調達って、VRゲームだけではなく、オリジナルIPでゲームを作り、コミュニティに盛り上げてもらっているという事実があったからできたことなんだと思います。もちろんVRへの期待値もありながら、有名な日本のVCであるグロービス中心に、VR発のIPビジネスが成り立つと判断された点が大きかったですね。

「VRの夏」はこれから

すんくぼ:

では最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

岸上氏:

今回の企画のようにMogura VRさんに盛り上げていただいたり、僕らもできるだけ情報をお渡しできるようにと思ったり、こういったメディアとしてのMoguraと開発者、この業界の関係は理想的だと思いますね。

最後になりますが、僕らは2021年7月20- 21日にオンラインで今後の事業や採用について語るバーチャル会社説明会を開きます。クリエイターやマーケター、海外ビジネス系の人材も募集していますので、ぜひ見に来てください。

すんくぼ:

ありがとうございます。僕自身XRを広げるためにみなさんとまだまだやれることがたくさんあるなと思ってますので、これからもよろしくお願いします。

岸上氏:

まだ初夏なので、夏はこれから始まります(笑)。

すんくぼ:

まだまだ初夏ですからね(笑)。まずは梅雨を乗り越えましょう!

(了)


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