Meta社より販売されているVRヘッドセット「Meta Quest」シリーズ。2023年にMRも体験できる最新デバイス「Meta Quest 3」が発売されましたが、それにあわせて価格が安くなった前世代機「Meta Quest 2」(128GBモデル:31,900円)にも、注目が集まっています。
前世代のゲーム機は型落ち扱いとなり、遊ばれなくなっていくのが一般的ですが、 Meta Quest 2に関しては未だSteamVRで使われるVRヘッドセットとしてトップシェアを走っています。では、これからVRヘッドセットを買うユーザーにとって、安価となった今Meta Quest 2は“買い”なのか、この記事で紹介していきます。
目次
・そもそもMeta Quest 2はどんなデバイスか?
・具体的には何ができるのか?
・Meta Quest 3と比較して、どちらが良い?
・Meta Quest 2と3のスペック比較
・Meta Quest 2の販売先
・まとめ
そもそもMeta Quest 2はどんなデバイスか?
Meta Quest 2は、2020年10月に発売されたMeta Questシリーズの第2世代モデルです。発売当時の名称は「Oculus Quest 2」でしたが、Meta社の社名変更に伴い、商品名もMeta Quest 2となりました。
一体型のVRヘッドセットであるため、PCがなくてもヘッドセット単品で起動し、屋内のどこでもVRを体験できます。スマホに差し込むタイプのVRゴーグルとは違い、前後左右上下への移動や傾きに対応しており、本当にバーチャルな空間に没入したかのような感覚となります。さらにQuest 2とゲーミングPCをケーブルで接続すると、PCに配信されているVRゲームなども遊べます。
Meta Quest 2の重さは503g(※ヘッドバンド込み、実測値)ほど。ゴムバンド部分に「眼鏡スペーサー」をとりつければ、自分の眼鏡をつけたままでも装着可能です。
コントローラは2本あり、バーチャル空間内でモノを掴んだり、指さしたり、手を降ったりなど、さまざまなアクションができます。設定を変更すれば、コントローラを使わずに、現実の両手で操作できる「ハンドトラッキング」という機能も利用できます。
これまでのアップデートで性能が向上しており、ケーブル無しでPCと接続できる「Air Link」が追加され、GPUパフォーマンスが増加しました。最新アップデートでは、VR内の表示やUIを90度(天井に)移動させて固定できる「寝そべりモード」も実装されています。
具体的には何ができるのか?
ゲームを思い切り楽しむ
Meta Quest 2では、アクションゲーム、リズムゲーム、ホラーゲーム、パズルゲームと、幅広いジャンルのゲームを遊べます。Meta Quest 3リリース後も、新作のほとんどがMeta Quest 2に対応しています。
下記のMeta Quest 3で遊べるVRゲームの記事に書かれている最新人気ソフトは、すべてMeta Quest 2にも対応しています。しかし、詳細は後述しますが、MR機能を取り入れたゲームでは、体験の質が最新機よりも劣るものになります。
動画やライブを見る
Meta Quest 2は映像鑑賞にも向いています。映画館のような大きめの画面で映画を見たり、360度に広がる風景を眺めたりも可能です。
また本体をつけたまま仰向けになっても動作するため、ベッドの上でゆったりと寝転がりながら鑑賞できます。YouTube、Netflix、Amazon Prime Video、DMMまで幅広いサービスに対応しています。
フィットネスで身体を熱くする
全身を動かすVRフィットネス系のアプリは消費カロリーが高く、実際に痩せたという事例も複数報告されています。
「Meta Quest Move」という機能を使用すると、VRヘッドセットを利用中に運動量を計測し、カロリー消費量の推定と運動時間の記録を行ってくれます。
メタバースに参加できる
(画像は「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」)
Meta Quest 2では、「VRChat」「cluster」「Rec Room」「Roblox」などに対応しており、様々なメタバースに参加できます。
VRChatでは「SANRIO Virtual Fes」など、日本人でも楽しめる大型イベントが定期的に開催されています。基本的にはPCと接続した状態での入場のほうが、よりリッチな体験が可能ですが、PCがない場合でも、Meta Quest 2単体で行けるQuest専用ワールドが公開されています。
オフィスワークにも利用可能
Meta Quest 2を用いると、バーチャル空間で仕事もできます。Meta社公式のコラボツール「Horizon Workrooms」は、アバターの姿で複数人とミーティングのできるサービスです。デスクの位置を現実と同期させる機能やビデオ通話機能などが搭載されています。2024年中にも大幅アップデートが控えています。
また、ワークツール機能「Infinite Office」も活用できます。Bluetooth接続したキーボードをバーチャル空間内に表示する機能や、現実世界の机の位置情報をトラッキングし、VR空間でもデスクとして認識させる「バーチャルデスク」、椅子をバーチャル空間に持ち込める「バーチャルカウチ」などが用意されています。
Meta Quest 3と比較して、どちらが良い?
単純にスペックを比較するだけなら、「Meta Quest 3」が圧勝です。処理能力の向上はもちろんのこと、特に注目すべきは映像の美しさ。Meta Quest 2の解像度は片目当たり1832 × 1920に対して、Meta Quest 3は2064 × 2208。視野角も90度(水平および垂直)から110度(水平)/96度(垂直)にアップグレードしました。映像はスムーズかつ、はっきりと映り、より広い範囲を見られるため、VR体験の没入感がさらに上がっています。
また、Meta Quest 3の大きな特徴として「カラーパススルー(MRモード)」があります。これは、現実側の周囲の景色をヘッドセットのカメラで取り込み、バーチャル空間上に映像として再現するといったものです。
(MRモードの一例、Quest 2では背景がモノクロになるので注意)
Mata社ではMRモードに力を注いでおり、現実と3D映像を融合させたアプリやゲームが続々と登場しています。仕事に役立つワークスペースアプリからキャラクターを目の前に登場させるものなど多種多様です。Meta Quest 2にもMR機能はありますが、周囲の景色はモノクロで、非常にボヤけたものとなります。
その他、コントローラーの小型化や、瞳孔間距離(IAD)の調整が細かくなるなど、快適性もアップ。頭部へのフィット感も改善され、動いてもズレにくくなっていますが、Meta Quest 2・3ともに別売りのストラップを付けたほうが安定性は増します。
それでも、このコストパフォーマンスの良さは無視できない
性能面だけ書くと、Meta Quest 2を買う理由がないように思えますが、コストパフォーマンスの良さは圧倒的です。Meta Quest 2の128GBモデルの最新価格は31,900円。一時は製造コストなどの影響で約6万円まで価格が上昇しましたが、その後徐々に値下げされ、現在は発売当初の価格よりも安くなっています。
31,900円は他のVRヘッドセットより安価なだけでなく、Nintendo Switchなどの一般向けゲーム機に近い価格帯となっており、VR初心者が手軽に始めやすい値段です。特に、MRモードに興味がなく、単純にVRのみを楽しみたい人にとって、この一台でVRで可能なことの大半ができるのが強みです。
Meta Quest 2と3のスペック比較
Meta Quest 2 | Meta Quest 3 | |
価格 | 128GB:31,900円 256GB:46,200円 |
128GB:74,800円 512GB:96,800円 |
重さ | 503g | 515g |
ディスプレイ解像度(片目) ※解像度が高いほど、グラフィックが鮮明になり、リアルな映像体験ができます。 |
1832 x 1920 (773 PPI ,20 PPD) |
2064 x 2208 (1218 PPI ,25 PPD) |
リフレッシュレート ※数値が高いほど、映像が滑らかになり、細かな動きまで確認しやすくなります。 |
90Hz/120Hz | 72Hz、80Hz、90Hz、120Hz |
視野角(FOV度) ※視野角が広いほど、見られる映像の範囲が広がります |
90度(水平および垂直) | 110度(水平)/96度(垂直) |
レンズの種類 ※種類によって見え方に違いがあります |
フレネルレンズ ※同心円状の溝が刻まれたレンズ |
パンケーキレンズ ※パンケーキのように薄いレンズ |
瞳孔間距離(IAD)の調整方法 ※左目と右目の瞳孔の離れている距離を表す。デバイス本体で調整可能 |
レンズパーツを動かして3段階調節可能 | ダイヤルで自動調整可能 ※Quest 2よりも細かく調整ができる |
処理能力 ※ゲームやアプリが快適に動作するかに関わります。 |
SoC : Snapdragon XR2 Gen1 DRAM : 6GB |
SoC : Snapdragon XR2 Gen2 DRAM : 8GB |
Meta Quest 2の販売先
・Meta 公式サイト
・Amazon
・ヨドバシカメラ
・楽天ビック
・エディオン
・ソフマップ
・EC カレント
まとめ
Meta Quest 2はとにかく安価で、一度もVRを体験したことがない初心者が気軽に手を出しやすいデバイスです。アップデートも継続しており、システム面でのサポートも期待できます。ただし、もしこれから長期的にVRを使うことを考えるなら、Meta Quest 3のほうが満足度の高い体験ができるでしょう。