Home » 「Meta Quest 3」をしばらく使ってみて分かったこと 長所と短所を紹介


Meta Quest 2024.02.02

「Meta Quest 3」をしばらく使ってみて分かったこと 長所と短所を紹介

新型VR/MRヘッドセットMeta Quest 3が発売されて約3か月が経過しました。その間、さまざまなコンテンツが登場しています。未購入のユーザーにとって気になるのは何より「買う価値があるのか」というところでしょう。また「Meta Quest 2から乗り換えたほうがいいのか悩んでいる」人も少なくないはず。

今回はQuest 3を3か月ほど使ってみて、あらためて感じた長所と短所を紹介します。

メリット1.画質がきれい! 視野角も広く全体的に快適

Meta Quest 2からQuest 3に乗り換えて最初に驚いたのは、見える映像の美しさです。下記の表のとおり、解像度が向上し、コアパフォーマンスも上がっていることから、映像はスムーズかつ、はっきりと映るようになっています。具体的には、映像に映る文字が明らかに読みやすくなりました。視野角も広くなっており、より広い範囲を見られるのもポイントです。

Meta Quest 3 Meta Quest 2
ディスプレイ解像度(片目)
※解像度が高いほど、グラフィックが鮮明になり、リアルな映像体験ができます。
2064 x 2208
(1218 PPI ,25 PPD)
1832 x 1920
(773 PPI.20 PPD)
リフレッシュレート

※数値が高いほど、映像が滑らかになり、細かな動きまで確認しやすくなります。

72Hz、80Hz、90Hz、120Hz 90Hz/120Hz
視野角(FOV度)
※視野角が広いほど、見られる映像の範囲が広がります
110度(水平)/96度(垂直) 90度(水平および垂直)
レンズの種類
※種類によって見え方に違いがあります
パンケーキレンズ
※パンケーキのように薄いレンズ
フレネルレンズ
※同心円状の溝が刻まれたレンズ
瞳孔間距離(IAD)の調整方法
※左目と右目の瞳孔の離れている距離を表す。デバイス本体で調整可能
ダイヤルで自動調整可能
※Quest 2よりも細かく調整ができる
レンズパーツを動かして3段階調節可能
処理能力
※ゲームやアプリが快適に動作するかに関わります。
SoC : Snapdragon XR2 Gen2
DRAM : 8GB
SoC : Snapdragon XR2 Gen1
DRAM : 6GB

その違いは感覚的にも「Quset 3の方が断然きれいだ」と気づけるほど。同じVRゲームをプレイしていても、格段に遊びやすように感じられます。

試しにVRゲーム「PowerWash Simulator VR」で比較してみましょう。下記のショート動画を並べると、Quest 3では水の流れるグラフィックが比較的きれいに見えています。細かい違いに見えますが、体験してみると「Quest 2」には戻りたくないという気持ちになる人も多いはずです。

メリット2:MRモードが便利

Meta Quest 3の大きな特徴といえば、「カラーパススルー(MRモード)」。これは、現実側の周囲の景色をヘッドセットのカメラで取り込み、バーチャル空間上に映像として再現するといったものです(Quest 2では周囲の景色はモノクロで、非常にボヤけたものとなります)。

このモードによる恩恵は大きく2点あります。1つは、現実側で何が起きているかの確認が簡単なこと。これまでのVRヘッドセットでは、周りの景色を確認する際は、いちいち本体を被りなおす必要がありましたが、Meta Quest 3では、現実の景色もカラーでそのまま表示できるので、再装着の必要がありません。うっかりコントローラーを壁にぶつけてしまったり、テーブルの食器を落としてしまったりといったVR体験で起こりがちなトラブルに遭いにくくなります。

もう1つは、現実の景色の中にバーチャルなモノが出現したかのように見えるゲームやコンテンツを数多く遊べることです。各ゲーム企業がQuest 3にカラーパススルーが導入されたことを利用して、ユニークなアイデアのコンテンツを発表しており、今後も続々と登場する予定となっています。

もちろん、MR対応のコンテンツだけでなく、Meta Quest 3では非常に多くのVRゲームが遊べます。MRとVRのどちらにも遊べるという点で、現時点では遊べる幅が非常に広いデバイスと言えます。

おすすめコンテンツはこちら。

デメリット1:バッテリー駆動時間が短い

Meta Quest 3で遊んでいて、最も不満に思う点は、バッテリーの駆動時間の短さです。公式サイトでは、平均2.2時間ほどと記載されていますが、上記のMRモードを使用した場合はよりバッテリーの消費スピードが早いように感じます(Meta Quest 2の場合、バッテリー駆動時間は平均2時間のため、わずかに伸びてはいますが……)。そのため、長時間VRゲームで遊んだり、メタバースに入りびたる際は、常に残量を気にする必要がありました。

なお、Meta Quest 3を使用中に充電しようとすると、(充電の温度によっては)充電速度が調整されることがあり、充電環境によっては、フルチャージできないことがあります。つまり、ヘッドセット使用を止めなければ、フル充電状態にはならないということです。デバイスの省電力モードを利用するのもひとつの手ではありますが、映像の見え方に影響が出るという問題もあります。

この対策として、別途「Meta Quest 3 Eliteストラップ バッテリー付き」を購入するのも一つの手段ではあります(公式では2時間延長できると説明されています)。ただし、価格が比較的高め(19,580円)であること、頭に装着するデバイス自体が重くなることには注意が必要です。長時間、遊びたい人は購入を検討しても良いかもしれません。

余談ですが、「Meta Quest 3 充電ドック」を利用すれば、コントローラーの充電に、単三電池を使用せずともよくなり、専用の電池ホルダーに付け替えることで、置くだけ充電可能になります。

デメリット2:デフォルトのストラップがチープ

Meta Quest 3を長く使っているほど、「どうにかならないかな……」とモヤモヤしてしまうのが、装着感の悪さです。というのも、頭に固定するための布製のストラップがズレやすく、いちいち調整するのを煩わしく感じられるからです(これはMeta Quest 2の登場時にもデメリットとして挙げられていました)。

公式の「Meta Quest 3Eliteストラップ」を購入するのも解決方法のひとつですが、先述の通り、純正のアクセサリーはお高めです(10,450円)。価格と快適性を考慮して、サードパーティ製のものを選ぶのもアリかもしれません。

なお、布製ストラップに限って、ブラッドオレンジとエレメンタルブルーのオプションもあります。

結論:VR初心者にもおすすめ! Quest 2からの買い替えもアリ

Meta Quest 3のメリットとデメリットを整理してみましたが、著者の見解としては、上記2つのメリットは、デメリットを上回っており、購入する価値はあると思います。特に「VRに興味はあるが、実際に体験したことが無い」「色々なVRゲームを遊んでみたい」といった目的の初心者ユーザーであれば、その後の汎用性の高さも踏まえて、おすすめできます。

また、Meta Quest 3は「Steam Link」や「Quest Link」などの方法でPCとも接続できます。「Meta Quest 3とPCを接続してVRChatなどのリッチなコンテンツで遊びたい」と考えている人も購入を検討して良いと思います。グラフィックも十分にきれいなので、PCゲームでも見劣りがない印象です。

もうひとつ気になるのは「Meta Quest 2からの買い替えはアリか?」というもの。ネックとなるのは、本体価格です。Meta Quest 3は、最低価格で74,800円。Meta Quest 2は、最低価格で39,600円です(2024年2月時点)。この価格の差はやはり大きいため、VRに使える予算と相談する必要があるでしょう。Quest 3とQuest 2では、遊べるVRゲームが一緒ですが、今後MRモードに対応するコンテンツが増えてくることを踏まえると、将来性を考えてQuest 3を買っておくのが良いと思います。

また、個人的な見解ですが「一度Meta Quest 3を体験すると、Quset 2には戻れない」という実感があります。こればかりは実際に体験してもらわなければ伝わり切れないので、家電量販店の体験コーナーやVRイベントなどで実際に触れてもらうのが一番です。ぜひ、VRの世界を体験してみてください。

もう一点、大きく迷うポイントとしては「Meta Quest 3を購入したタイミングで、より良い新機種が出ないか心配」というものがあるでしょう。そもそも、VRのハードウェアは代替わりが早い傾向にあり、Meta社以外のデバイスまで視野を広げると、多くの選択肢が出てきます。そのため、複数のVRヘッドセットを体験してきた上級者ユーザーであれば、国内外のVR企業の動向に常に目を光らせておくという手段もありますが、初心者の方の場合は「欲しいと思ったときに一番良いと思ったものを買う」のが良いと思います。

少なくとも、Meta Quest 3の場合は、購入した時点で遊べるコンテンツが充実しており、「買ったは良いものの遊べるゲームが少ない」という状況ではありません。その点を踏まえて、購入を検討してみるのがおすすめです。

Meta Quest 3の公式サイトはこちら


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード