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テック 2021.05.28

超高解像度ARグラス、イスラエル企業がプロトタイプ発表

日常使いのARグラス実現へ、カギとされるウェーブガイド技術。この要素技術を持つイスラエル企業Lumusから、人の眼と同等という高解像度を実現したARグラスのプロトタイプが発表されました。

2000年設立のイスラエル企業

Lumusは2000年設立のAR企業です。これまでHTC、PCメーカーのQuanta(クアンタ)等から出資を受け、ARデバイスの開発を行ってきました。

新デバイス”Maximus”の特徴は、多くの競合企業と異なり、回折ウェーブガイドでなく反射ウェーブガイドを採用した点です。これにより、次のような性能を実現しました。
プロトタイプの体験談は、ARデバイス等の専門家Karl Guttag氏のレポートを元にしています。

高い解像度

Maximusが採用するのは、片目当たり2,048 × 2,048のLCOSマイクロディスプレイ。視野角は対角50度です。
Guttag氏によれば、ディスプレイ中心部分では角度分解能(1度あたりのピクセル密度)60ピクセルと、人の眼と同等の見え方を実現しています。理論上では、書物のARオブジェクトを手にしたとき、そこに書かれた文字を問題なく読めるということになります。

高輝度

明るい屋外での使用に耐えるために、輝度は重要なポイントです。Lumusが謳う輝度は3,000nit、また透過の効率を示す値は1ルーメン当たり650nitと、非常に高くなっています。競合のWaveOptics社では1ルーメン当たり50nitで、その差は歴然としています。

見え方の均一性

ディスプレイに映る画像の見え方の均一性も、Maximusのアドバンテージです。輝度、色味、解像度は、視野の隅では低下するものの、広い範囲で均一になっています。下図は、Maximus(左)とHoloLens 2(右)を比較したもの。後者では画像の色味にむらや虹色のもやが生じたり、色味が不均一に見えます。これに対してMaximusは、視野全体で明瞭なイメージを保ちます。

なおプロトタイプは、体験時点ではウェーブガイドの機能を示すためのディスプレイ部分のみです。メガネ型の形状をとるものの、一体型デバイスに必須のオンボードのコンピューターやセンサー、バッテリーは搭載していません。

量産化は?他社の動きも

このように高い性能を示すMaximusですが、量産化の計画については不明です。2020年にLumusは産業用ガラスメーカーのSchottと提携、生産能力増強と共に”魅力的な価格”を実現すると表明しました。一般ユーザーの手に渡る製品となるのか、その将来はこれから見えてくるのでしょう。

続々と発表されるARグラスについてはこちらから。

(参考)Road to VR
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