2017年12月13日に東京で開催された「GTC Japan」において、大手建設・鉱山機械メーカーであるコマツは、半導体メーカーであるNVIDIAとの協業を発表しました。将来的なビジョンとして「VRを使用し、1人のオペレーターが複数の建設機械を室内から遠隔操作し、今後予想される人員不足に対応してゆく」といった“建設の未来”を見据え、今後の活用や展開が期待されます。
危険性や労働力不足に直面する建設業界、テクノロジーでの変革狙う
建設業界は重機の使用や高所作業、連続での稼働などの問題が存在し、2016年には日本だけでも300人近い死者、15,000人を超える負傷者が出ています(建設業労働災害防止協会「労働災害発生状況」による)。さらに業界全体の高齢化や熟練者の減少による労働力不足が発生するなど、深刻な状況です。
これらの課題を解決、現場を改善するためにAIやVR/ARなどの活用に注目が集まっています。VRによる現場を再現した技術訓練や遠隔操作とVRを組み合わせた状態での安全な重機操作、画像認識やAIによる地形データ利用、建設現場の可視化・危険判断の効率化などが登場しつつあり、人手不足や危険性といった課題を抱える建設業界において活用が見込まれています。
コマツは2015年以降、建設現場に携わるヒト・モノの様々な情報をつなぎ、AIやAR/VRなどを用いたICTソリューション事業「スマートコンストラクション」を進めています。これらの一環として2017年5月には株式会社カヤックと共同でAR技術「Tango」を利用した建設現場向けスマートフォンアプリのプロトタイプを開発を行っており、建設現場へのテクノロジー導入を行ってきました。今回のNVIDIAとの協業により、建設現場におけるドローンでの3D地形データ収集や、地形情報に紐づけての建機状態の可視化など、技術導入をさらに推し進めていく姿勢を見せています。
コマツの常務執行役員CTOである岩本祐一氏は、「コマツは建設現場にNVIDIAのGPUを導入しはじめます。NVIDIAによる画像処理や仮想化、そしてAIによる豊富な技術やノウハウを活用することで、建設分野を『未来の現場』に変革させることができるでしょう」と述べています。