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業界動向 2022.12.17

ジョン・カーマックがMetaを退職 Oculus時代からVRを支えたレジェンドがMetaを去る

MetaでVR部門の顧問CTOを務めていたジョン・カーマック氏がMetaを退職することを明らかにしました。当初は欧米メディアが「社内文書」の文書をリークとして報じていましたが、本人がFacebookにて公開設定にて退職の旨と社内向けの文書の全文を投稿しています。

Oculus、Facebook、MetaのVR開発を牽引

カーマック氏は、『Doom』、『Quake』といったゲームのメインプログラマーを務め、FPS(ファーストパーソン・シューティング)というゲームジャンルを築いた伝説的なプログラマーとして知られています。

Oculus VR社に2013年にCTOとして参画。Oculus VRがFacebookに買収後も、Oculusの技術面を同じく3DCGのプログラマーとして伝説的な盟友マイケル・エイブラッシュ氏とともにリードしてきました。特にカーマック氏は「モバイルVR」に注力。サムスンとの共同開発となった「Gear VR」、Oculusとして初の一体型VRヘッドセットとなった「Oculus GO」の開発に注力。ハードウェアだけでなく「マインクラフト」Gear VR版の移植にも情熱を注ぎました。2019年以降はパートタイムの顧問CTOとして同社の技術面を全般的にサポートしていました。

伝説的なプログラマーであるカーマック氏は、エンジニアからの信頼が非常に厚かったことでも知られています。Oculusが毎年開催していた開発者カンファレンス「Oculus Connect」では、廊下で世界中の開発者たちの質問に立ち話で何時間も真摯に回答。筆者も幾度となく廊下にできる人だかりの中心にカーマック氏がいて、熱く議論を行っている光景を目にしました。

Quest 2は「成功」しかし退職する理由は「効率性」

カーマック氏は退職の理由を綴った社内文書の中で、すでに世界で1,500万台以上を出荷しているVRヘッドセットMeta Quest 2は「モバイルで、インサイドアウトトラッキングを備え、PCからのストリーミングもできて、4Kの画面で、コストパフォーマンスも良いー最初期から望んでいたものに近いデバイス」と評価。ソフトウェアに不満があるとしつつも、「成功したデバイスであり、世界をより良くすることに貢献できた」としています。

一方で退職を決断した理由を「(組織としての)効率性」と断じています。「莫大な人数と資金のリソースを有しながら、自己妨害を繰り返し、効率性を高める努力を怠ってきた」とし、半分程度の効率性しか出ていなかったと記しています。

退職後は自身が立ち上げた汎用人工知能を開発するスタートアップに専念する模様。「まだ勝つことはできる(※編集注:効率性を高めるための戦いの意)。VRは世界の多くの人に価値をもたらすし、Meta以上に良いポジションの企業はいない」とポジティブなコメントで投稿を締めています。

現時点でXR/メタバース分野で世界を牽引しているMeta。レジェンドが去ったMetaが今後どのような転換を迎えるのか、カーマック氏が課題と言い残した効率性を高めることができるのか、注目していくことになります。

投稿全文(英語)はこちら

(参考)Facebook投稿


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