リサーチ会社のFortune Business Insightsは、自動車業界向けVR市場についてのレポートを発行しました。2019年から2027年までの8年間で、年平均成長率は約45%。新型コロナウィルスのダメージをVR活用で克服しつつ、さらに導入が急拡大する様子が見て取れます。
デザインやトレーニング中心に拡大
自動車業界は新型コロナウィルスにより打撃を受けた分野の1つです。製造現場ではワーカー同士の接触を防ぐ必要が生じ、外出規制により自動車の販売は減少しました。一方、課題解決のために導入したVRが新たな可能性を示しつつあります。
例えばVRトレーニングでは、ソーシャルディスタンスに配慮しながら必要な技術を習得することができます。またバーチャル会議ツールを通して、デザインやプロトタイプ工程を進めることも可能です。顧客側のユースケースでは、バーチャルショールームやバーチャルテストドライブがあります。ディーラーのVroom(サービスエリアは米国内のみ)は、遠隔での商品閲覧やバーチャル空間でのドライブ体験を提供しています。
自動車業界でのVR利用状況をアプリケーション別に見ると、上位からデザイン・プロトタイプ化、トレーニング、研究開発、バーチャルショールームと並びます(下図)。
市場規模は8年間で20倍近くに
こうした自動車メーカー・消費者双方へのメリットにより、自動車業界でのVR導入は年々拡大しています。2019年に7億5,930万ドル(約840億円)であった市場規模は、2027年147億2,790万ドル(約1.6兆円)まで拡大する見通し。同期間の年平均成長率は、45.1%と見積もられています。
一方で課題もあります。VRトレーニングでは人と人との結びつきが弱く、モチベーションを上げづらいという欠点があります。また、研修中の疑問点解決なども、リアルと比較し難しい点です。さらに、VR酔いがあれば、トレーニングの効果も減退してしまいます。
VR導入を牽引する要因、そして課題点の双方を踏まえ、この他にもレポートでは地域別の成長分析や、業界のキープレイヤーの解説を行っています。サマリーの閲覧とレポートの購入はこちらのサイトから。
自動車業界でのVR/AR活用事例は、こちらの記事でも紹介しています。