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シミュレーション・接客 2018.10.22

一瞬で山火事が広がる映像を再現、自然災害被害を警告

2018年9月、米気象予報番組のウェザーチャンネル(Weather Channel)が、「ハリケーン・フローレンス」の被害予測をVR技術を使ったリアルな映像を放送したことがネット上で話題となりました。同番組は新たに、異なる自然災害を予測した衝撃的な映像を放送しています。

一瞬にして山を駆け上がる炎の映像

今回放送された映像では、風で強さを増した山火事が驚異的なスピードで燃え広がる瞬間を、VRで再現してます。映像の冒頭は気象予報士のStephanie Abrams氏とともに、平和でほのぼのとした山の風景が映し出されていますが……。

Abrams氏が山火事の要因となる乾燥した木々や熱風、強風などを提示したときに、小さな火花が発生。一瞬にして辺り一面が火の海に呑まれていきます。この火花は80%の原因が人によって発生し、火災を巻き起こす可能性があるとAbrams氏は解説しています。

また、昨年12月にカリフォルニア州で起こった山火事「トーマス」を例に挙げ、小さな火花から発生したこのような火災は、一秒間にサッカー場を丸ごと焼き尽くす威力を持つ可能性がある、とも話しています。

南カリフォルニア地域では毎年、この時期に「サンタナ」と呼ばれる局地風が起こります。サンタナは秋から冬にかけて、南カリフォルニアで吹く高温で乾燥した風です。今年は記録的な猛暑と降水量の少なさから、山火事が非常に起こりやすく、また大規模化しやすくなっているとのこと。今回の映像で視聴者へ山火事の危険性を訴えています。

ウェザーチャンネルの映像の中でAbrams氏は、気候変動がどのように山火事の発生頻度と規模に影響しているかについて説明し、街中が火の海となっている映像の中で、このような場面が現実になる可能性があることを視聴者に呼びかけています。

リアルタイムで映像が変化する

「ハリケーン・フローレンス」では、画面上にいる気象予報士が、洪水によって上昇する水位に囲まれていく映像を、Mixed Reality(MR,複合現実)技術で製作していましたが、本映像も同様にMR技術を使用しています。

製作には、AR映像の製作を手がけるFuture Groupとウェザーチャンネルが提携しており、リアルタイムで映像を構築するために、ゲーム開発プラットフォームのUnreal Engineを使用しています。また、Abrams氏はFacebook上に、山火事映像の撮影舞台裏を投稿し、緑のスクリーンを視聴者に公開しています。

進化する天気予報番組

ウェザーチャンネルが製作するこのような映像は、従来の天気予報番組では伝えることのできなかった悲惨な体験を共有し、災害に対する警告を促しています。気象予報士は、気候変動や自然災害について外部からの状況を伝えるのではなく、視聴者とともに「内部から」の状況で危険性を伝えています。

このような没入型体験技術を使用した映像は、テレビ視聴者だけでなくインターネット利用者の目にも強く印象を与えているようです。実際に視聴者自身の周りで、洪水や山火事が起こった場合、どのような状況になってしまうのかを想像する手段として活用されています。

(参考)The Verge


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