ワシントン・ポストの記者ナオミ・ニックス氏は、VRエクササイズアプリ「FitXR」の開発元への取材を通じて、VR市場の変化とその可能性を提言しています。
フィットネス機器としてのVRデバイス
これまでVRは、没入感のあるビデオゲームで若い男性層を引き付けてきました。しかし、顧客層の拡大を目指すデバイスメーカーは、仕事、フィットネス、エンターテインメントといった新たなユースケースを積極的にアピールしています。
VRエクササイズアプリ「FitXR」開発者のSam Cole氏によれば、立ち上げ当初のユーザー層は18歳前後の男性ゲーマーが中心でした。しかし、数年後には35歳以上の女性が主な顧客に変わったとのこと。
Cole氏は、ユーザー層の変化を「VRヘッドセットを所有する男性と同居している女性が、フィットネスアプリを試し、その体験を友人に伝えた」ことが理由だと述べています。そして、その体験談を聞いた人々は「ゲーム機としてではなく、フィットネス機器としてVRヘッドセットを購入している」とコメントしました。
AppleやMetaが市場拡大を後押し
このVRフィットネス市場の拡大に、AppleやMetaも注目しているようです。Appleが発表した空間コンピューター「Apple Vision Pro」は、仕事や日々の生活等のユースケースに焦点を当てており、ゲームについてはほとんど言及していません。
また、Appleは「次のヘッドセットモデルにApple Fitness+を組み込む予定で、ヘッドセットをしながら運動ができる数千のワークアウトコンテンツを提供する」とBloombergが報じています。
一方のMetaは、VRフィットネスアプリ「Supernatural」を制作するスタジオWithinを買収しています。2021年10月の買収発表後、米国連邦取引委員会が「Withinの買収はVR市場におけるMetaの優位性を拡大するもの」として差し止めるも、2023年2月に買収を完了したと発表しました。
VRエクササイズの愛好家らは、AppleがMRヘッドセットの価値を実証し、Metaが安価な代替品を求めるユーザーを呼び込むことで、市場が拡大するのではないかと期待を寄せているようです。