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業界動向 2024.05.24

独製造業大手シーメンス、没入型の製品設計ソリューション「NX Immersive Designer」を発表。ソニーの業務用XRHMD「SRH-S1」活用

5月13日、ドイツのシーメンスは、ソニー株式会社と共同で新たな製品設計ソリューション「NX Immersive Designer」を発表しました。ソニーのXRヘッドセット「SRH-S1」と、シーメンスのソフトウェア「Siemens Xcelerator」を活用し、製品設計の効率や創造性向上を図ります。


(「NX Immersive Designer」の使用イメージ。VR/MRで製品の3Dモデルを表示・操作し、設計やデザインを効率的・直感的なものとする。 画像: ソニーの動画よりキャプチャ)

ソニーの「XRHMD」活用で生産性向上

ソニーは2024年1月、XRヘッドセット「SRH-S1(当時は「XRHMD」と呼称) 」を発表。片目あたり4K解像度のディスプレイを採用、ヘッドセット前方に搭載されたカラーパススルー用カメラにより、現実の風景の上に3DCGを重ねて表示します。

シーメンスによる「Siemens Xcelerator」は、デジタルツインを含む、DXツールを統合したビジネスプラットフォームです。企業は製品開発の効率化やデータに基づいた意思決定、APIを使ったカスタマイズなどが可能です。


(「SRH-S1」は完全に視界を覆うタイプではなく、「MREAL S1」や「Lynx R-1」、「Meta Quest Pro」のように、眼の前に吊り下げるようにして使用するタイプ。 画像: ソニーの動画よりキャプチャ)

今回​​シーメンスとソニーが市場投入するソリューション「NX Immersive Designer」では、複数のバーチャルモニタの表示や、ハンドコントローラーを通した3Dモデルとの自然なインタラクションが可能に。製品プロトタイプの実物を作成することなく、詳細な設計が行えます。すでにソニーの製品設計プロセスでも導入されており、生産性を25%向上させた旨が報告されています。


(「SRH-S1」はいわゆる「フリップアップ(跳ね上げ)」機能も搭載している。 画像: ソニーの動画よりキャプチャ)

「NX Immersive Designer」の正式リリースは2024年末を予定しており、関心のある企業や開発者、デザイナーは、シーメンスの公式Webサイトで事前登録が可能です。

独製造業最大手シーメンス、産業メタバースに本腰

ドイツの製造業大手シーメンスは、産業メタバース分野への取り組みを活発化させています。2022年7月には半導体大手NVIDIAと提携、両社のデジタルツイン・3Dプラットフォームを統合し、製造プロセスの効率化を推進しています。

また2023年7月には産業メタバースに対する20億ユーロ(約3,360億円、2024年5月24日時点)の大規模投資計画を発表。ドイツの学術都市エルランゲン(Erlangen)を拠点に、電子部品製造施設のデジタルツインを構築し、生産ラインの効率化を行っています。

(参考)シーメンス


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