7月13日、ドイツの製造業大手シーメンス(SIEMENS)は産業メタバース分野への大規模投資計画に着手した旨を明らかにしました。本計画にかかる総額は20億ユーロ(約3,127億円、2023年7月20日時点レート)に達し、うち10億ユーロは、ドイツ国内の既存製造拠点の生産力向上や技術都市新設に当てられます。
デジタルツインを活用し新製造拠点を建設
今回シーメンスが明らかにした計画は、グローバルにおける自社の存在感を強化し、同社のさらなるイノベーション促進を目的としたもの。デジタルツインやAIなど、数多くの新興技術が組み込まれています。
特に強調されている計画の一つは、ドイツの学術都市エルランゲン(Erlangen)を拠点とするテクノロジー都市の建設です。
シーメンスは、すでにエルランゲンにある電子部品製造施設をバーチャル空間にデジタルツインとして再現。デジタルツイン上でシミュレーションを繰り返し、最適化された製造拠点の計画を立案している、とのことです。今後はこのデジタルツインでの計画を元に、新設および拡張のための建設工事に着手予定です。
We are shaping the digital transformation of the working world for and with our people at the new Technology Campus in Erlangen. pic.twitter.com/733nAV2tTZ
— Siemens (@Siemens) July 13, 2023
ドイツは産業メタバースに本腰
計画発表の場には、オラフ・ショルツ独首相も出席しました。首相は「この投資はドイツが “革新と生産 “の拠点となるための “強いシグナル “です。エルランゲンに建設される最先端の製造施設は、我が国の経済が外部要因に左右されない未来へ向かっていることを示す好例となります」と述べました。
また、シーメンスはエルランゲン市政府と協力して、グリーンエネルギーの供給、貯蔵、インフラを強化する姿勢も同時に明らかにしています。同社はドイツ国内で約86,000人を雇用しており、本計画はドイツの経済戦略の一端を担う意味合いも持つと考えられます。
ドイツを代表する電機メーカー
シーメンス(SIEMENS)は、産業やインフラ、建築や輸送向けの技術ソリューションを専門とするドイツの大手テクノロジー企業です。機械設計やエンジニアリング、組み込み等の幅広い用途を想定したプラットフォーム「Siemens Xcelerator」を有します。
また2022年6月には、半導体・AI関連大手のNVIDIAと提携を発表。産業向けメタバース事業に注力する姿勢を見せています。