ディスプレイを手掛けるサムスンが、欧州連合知的財産庁へ興味深い商標登録を行ったことが分かりました。「Anti SDE AMOLED(対SDEのAMOLED)」という商標からは、同社がVR向けの新しい有機ELパネルを開発していることがうかがえます。
SDE(スクリーンドア効果)とは
スクリーンドア効果(The screen-door effect 、SDE)は、ディスプレイに網目模様が見えてしまう問題のことです。ピクセル間には明度の差があるため、VR映像を視聴する際にグリッド線のような模様が視界に入ってしまいます。
オランダのGalaxyClub.nlの報道によれば、サムスンは今月「Anti SDE AMOLED(対SDEのAMOLED)」という商標を提出。具体的な関連商品は明らかにされていませんが、SDEへの言及から、よりVRに特化した製品の開発を進めていると考えられます。
サムスンのSDE対策は?
VRヘッドセットにおけるSDE対策はいくつかあります。例えば、より高い「曲線因子」を持つパネルであれば、ピクセル間の隙間を減らすことができます。また高精細=高ppi(ppi:「pixel per inch」の略。1インチあたりの画素数を指す)のパネルも、対策になりえます。
Oculus Riftの場合は、ディスプレイの最上部に拡散層を設け、光を拡散させてピクセル間の明るさの差をなくしています。ただしこの方法では画像が不鮮明になるため、あまり望ましくはありません。
サムスンは2018年5月のSID Display Weekにて、2.43インチ、リフレッシュレート120Hz、1,200ppiの高精細パネルを発表しました。現行のOclus RiftやHTC Viveに使うパネルの精細度460ppiに対して、非常に大きな進歩です。
この背景を考慮すると、サムスンが他社、あるいは自社のVRヘッドセットに新しいパネルを搭載し、リリースする可能性もあります。
VRヘッドセット向けディスプレイの動向については、こちらの記事でも紹介しています。
(参考)Road to VR
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