MoguLiveで執筆や編集を担当しているゆりいかです。普段はVTuberの皆さんを取材していますが、実を言うとVRヘッドセットに関してはあまり詳しくありません。機種ごとの性能の違いはいまいち分からず、そもそも少し前まではVRヘッドセットをつけたことすらありませんでした。
そんなとき、編集部のMさんから「VRヘッドセットのOculus Quest(オキュラス クエスト)について、最強のレビューを書いてもらえませんか?」と依頼がきました。いわく、あまりVR慣れしていない人の視点から「Oculus Quest」の魅力を伝えてほしいとのこと。
当然ですが、悩みました。つい先日まで全く無知だった自分にOculus Questを“最強”にレビューすることができるのか……というか何をもって“最強”と呼べるものが書けるのだろうか……。
数日考え、悩みました。そしてある日気づいたのです。Oculus Questを最強にレビューするには、己が最強になればいいと。
VRは、現実世界では難しいことを簡単にできるのが魅力のひとつ。ならば、自分がお手軽に最強になれるところを紹介すれば、興味を持つ人も現れるはず。もともと現実では非力な身。バーチャル空間くらいは万能でありたい!
というわけで、
変身!
自分は今年で30歳。最近は体重が69キロと学生時代から10キロ以上太り、健康診断ではコレステロール値がひっかかりました。しかし、何もかもが可能なVR空間でなら、簡単に最強っぽくなれるはずです。
今回はOculus Questを使い、自分が強くなった気分になれるVRゲームをプレイして、その魅力をあますところなく紹介します。
(※ゲームのチュートリアルを読み飛ばすタイプの人は「最強への道3」から読むことをおすすめします)
Oculus Questで最強になる目次
最強への道【1】安全に使うために、仕組みを学ぶ
最強への道【2】メニュー画面で好きなゲームを選ぶ
最強への道【3】「Beat Saber」で身の程を知る
最強への道【4】「Creed: Rise to Glory」でマッチョを倒す
最強への道【5】「Vader Immortal: A Star Wars VR Series」でフォースを手に入れる
最強への道【6】「SUPERHOT VR」で時を止める能力を身につける
最強への道【7】最強を体験して……
最強への道【1】:安全に使うために、仕組みを学ぶ
というわけでさっそく「Oculus Quest」を装着してみました。見た目はゴツいですが、頭に乗せても意外と軽い。だいたい580gらしいです。
上面と両側面に頭を固定するためのマジックテープがついているので、上からかぶってベリベリしながら調整します。頭が大きいので装着できるか心配でしたが、すんなりと入りました。
個人的にうれしかったのは、自分のメガネをつけたままでも装着できたことです。両目の距離も手動で調整でき、簡単に焦点を合わせられます。
「Oculus Quest」の装着はこれだけでOK。PCやケーブルに接続する必要はないそうです。そのため、グルリと回ってもケーブルが絡まってコケるようなことはありません。これなら、どんなに激しい戦いでも大丈夫そう。
しかし、装備した後、重大な問題に気づきました。
「前が見えないから、コントローラーをどこに置いたか分からないんじゃ?」
すると編集部のMさんが「大丈夫なので、画面前方をしっかりと観てください」とのこと。すると、目の前にモノクロの立体映像が浮かび上がりました。
(Oculusの公式チュートリアル動画より引用。なお、Oculus Questでセットアップ中の動画を撮影しようとすると、プライバシー保護のためか勝手に映像が真っ暗になるので、スクリーンショットを入れられませんでした。とほほ。)
見回してみると、現実の景色がカメラ越しに映し出されているようです。サバイバルゲームでよくある暗視ゴーグルみたい。これなら、被っていても周りに何があるのかを確認できるので安心。ちなみにヘッドセットはコントローラーからの赤外線を感知して、利用者にその位置を伝えてくれます。
次に設定するのが、VR空間の範囲。Oculus QuestはVR空間の中を自分の足で移動できるようになっているので、その移動範囲をあらかじめ決める必要があるそうです。自分のいる位置を決めたら、手持ちのコントローラーで動ける範囲にレーザーをビーッと撃ちます。
かっこいい。このとき、範囲を部屋の壁に沿うように絞るのがポイント。レーザーを丸く囲ったら、格子状の壁が出現。この円で囲まれたエリアがVR空間の移動範囲になります。
(Oculusの公式チュートリアル動画より引用)
この空間の外に出ると、自動で「パススルー」が起動し、周りの状況が把握できるようになります。こうしたリアルでの事故を防ぐ機能を「ガーディアンシステム」と呼ぶそうです。
(※ガーディアンシステム……OculusのVRヘッドセットを使用する際に、部屋の壁や机などにぶつからないようプレイスペースを指定するシステム。スペースの外に出そうになると、視覚的に警告を出して安全を守る)
気をつけておくべきは、操作する近くに倒れるようなモノを置かないこと、なるべく広い空間を確保することです。安全のための機能があっても、予想外の事態で事故になる可能性もあるので、注意しましょう。
最強への道【2】メニュー画面で好きなゲームを選ぶ
設定を完了すると、暖炉の置かれた温かそうな空間が出現しました。目の前には巨大なボード。これでゲームやアプリを選択して遊べるようです。ボードの下には、ヘッドセットの設定を変えられるメニューがあります。頭上は夜空で、ときどき流れ星が見えます。
Oculus Questは、VR空間上を自分の足で歩き回れるのが特徴です。おそるおそる歩いてみると、たしかに暖炉や本棚のある場所まで近づけます。文字だと伝わりづらいのですが、かなり感動します。
以前使ったVRヘッドセット「Oculus Go」は基本的に歩けず、自分が1ヵ所に固定された状態だったので、映像を観ているだけという印象が強かったのですが、自分がバーチャル空間をちゃんと歩いているというだけで、本当にその場にいるかのような感覚になります。
(6DoFと3DoFのちがい……Oculus Questはヘッドセット部分に内蔵されたカメラで部屋などの環境を認識し、装着者の前後左右への移動や上下の動きをVRにも反映している。このように、見回すだけでなく移動もできるタイプを「6DoF」と呼ぶ。一方のOculus Goはカメラを内蔵していないため、基本的にデバイスの向き=頭の回転のみを認識する。こちらは「3DoF」と呼ぶ)
ロビーにある設定画面では、シェアボタンを使って、パソコンはスマホを介さずに、写真や動画の撮影をしたり、そのまま生放送したりも可能です。すごい便利。撮影したデータは、ギャラリーで確認できるだけでなく、PCにも移行できます。
メニュー画面には、アプリやゲームのアイコンがズラリ。「Oculus」シリーズには「Oculus Store」という専門のアプリストアがあり、そこに登録されたゲームを購入&ダウンロードできます(PCからのゲーム購入も可能です)。
最強への道【3】「Beat Saber」で身の程を知る
まずはVRゲームの中でも人気の高いリズムゲーム「Beat Saber」に挑戦! このゲームは画面奥から飛んでくるキューブを、手持ちのセイバーでテンポよく斬っていくもの。左右どちらのセイバーを使うかや斬る方向などが決まっており、リズミカルかつ丁寧に対処していく必要があります。ときには爆弾や光る壁など、触るとアウトになる障害物も飛んでくるので、とっさの対応力も試されます。
斬ったり
避けたり
斬ったり
斬れなかったり。
調子に乗って表題曲「Beat Saber」のHardモードを試してみましたが、押し寄せるキューブに全く太刀打ちできず途中で失敗。いきなりHardはちょっと厳しかった。
そして、VRゲームに初めて挑戦して気づいたことがひとつ。
「あ、これ身体鍛えてないとダメだわ」
思えば、これまで自分の遊んできた家庭用ゲームは、ほぼ全て指だけで操作するもの。自分の身体を使って操作するということは、自分の体力や筋力がゲームのスキルに直接関わってくるということ。こうして遊んでみるまで、全く考えが及んでいませんでした。
あらためてeasyモードでチャレンジして何とかクリア。一度ヘッドセットを外すと、全身が汗でグッショリしていました。一曲プレイするだけでも息が上がりますが、キューブを斬っているときの爽快感はたまりません! ずっとプレイし続けていればすぐに痩せそうです。
実際「Beat Saber」には、プレイしてダイエットに成功した例が多くあります。ゲーム音楽も聴き心地よいものばかりなので、飽きずにプレイできそうです。上達するほどプレイすれば、いつの間にか絞れた身体になって、最強になっている可能性もあります!
最強への道【4】「Creed: Rise to Glory」でマッチョを倒す
ヘトヘトになりながら次は「Creed: Rise to Glory」にチャレンジ。ボクシング映画の金字塔である「ロッキー」の正統続編「クリード チャンプを継ぐ男(原題:Creed)」のVRゲームです。操作は簡単で、コントローラーをグローブに見立てて、敵を殴る! 相手の攻撃をうまくガードしながら、フックやストレートを決めていきます。
目の前に現れたのは、自分の1.5倍くらいありそうな敵。見下されるとなかなかの恐怖感があります。緊張しているうちに、ゴングが鳴って試合開始。
「うおおおおおおおおお!!!!!」
「ガード」
「があああああああああああああ!!!!!」
何度かダウンを取られながらも、3回目の挑戦で何とかクリア。これこれ! 体験したかった万能感はこれ! 全く鍛えていない自分が、超マッチョを倒したときの強くなった感じ! 一度ハマるとクセになりそうです。今回はチュートリアル的な敵だけの挑戦となりましたが、本格的にボクシングの腕が磨かれて、現実でも巨悪を倒せるようになるかも知れません! あと、プロのボクサーがプレイしたらどうなるかも面白そう。
最強への道【5】「Vader Immortal: A Star Wars VR Series」でフォースの力を手に入れる
次にプレイするのは「Vader Immortal: A Star Wars VR Series」。大人気映画「スター・ウォーズ」のVRゲームです。正直、今までやったVRゲームの中でこれが一番すごかった。宇宙船で渡航中に帝国軍に捕まってしまったプレイヤーが、何とか脱出を試みるという設定。序盤は帝国基地の中を探索するんですが、脱出のためのギミックが、ひとつひとつ凝っています。
(※扉のロックを解除しようとしています)
例えば、ロックを壊して扉に入るというアクションひとつだけでも、取手を左右にひねり、外れたパーツを別の穴に差し込み、出現したボタンを押し、コードを抜く……といった非常に細かい操作を求められます。
コントローラーが自分の両手の替わりになるので、最初は細々した作業に苦戦するのですが、だんだんと直感的に指を動かせるようになります。はしごを昇ったり、開閉ボタンを押したりしているうちに、自分が本当に「スター・ウォーズ」の世界にいるような感覚に陥るのです。
そして、ある場所までたどり着くと、ライトセーバーが入手できます。これの操作が最高。「Beat Saber」とはちがって、光弾を弾き飛ばしたり、敵の攻撃から身を守ったりと、多彩な剣技が再現できます。つまり頭を切り替えつつ素早く操作する必要があるのです。
これがうまくキマると完全にジェダイ。最強の騎士を名乗ってもいいはずです。
先の2作品がスポーツ的な爽快感なら、こちらはリアルな戦闘感を味わえます。ゲームを通してジェダイの騎士になれたのだから、もはや宇宙最強といっても過言ではないでしょう!
最強への道【6】「SUPERHOT VR」で時を止める能力を身につける
最後に体験したのが「SUPERHOT VR」です。このゲームはプレイヤーが動かなくなると周辺の人やモノも同時に止まる“時間停止系ゲーム”。相手の動きが止まっているうちに攻撃できるという誰もが中学生の頃に一度は妄想したであろう設定です。時間の止まった世界なら、やりたい放題! 自由に暴れまくれるはず!
が、しかし……!
……自分が止まったままだと何も動かないのでゲームが進みません! 当然ながらリスクを取って戦う必要があります。
何度かミッションをクリアしていくうちに気づいたのですが、こちらがゆっくりと動くと、敵の動きも遅くなるので、冷静に周りをみてじっくりと戦わなくてはいけません。素早いアクションより、忍耐力と判断力が求められるゲームです。
たまに変な姿勢のままストップし続けることもあるので、意外と激しく動くよりも筋肉が辛いかも。しかし、うまく敵を倒せるようになると、パズルゲームをクリアしたときのような開放感に満たされます。
時間がスローになっている間の世界の景色は「ジョジョの奇妙な冒険」の「ザ・ワールド」の能力を手に入れたような錯覚になるため、ジョジョファンなら迷うことなくプレイすべし!
最強への道【7】最強を体験して……
さて、4つのVRゲームをプレイして気づいたことがひとつあります。
「VRゲーム、超つかれる…!」
普段スポーツをやり慣れていない人間からすれば、Oculus Questは超高性能ダイエット器具といえるかもしれません。プレイしている間はそこまで疲れを感じないのですが、ヘッドセットを外した瞬間に、ドッと疲れがきました。そら痩せる人もいるわ。ただ、小学校の体育館でドッジボールを遊んでいたときのような、無我夢中で遊んでいる感覚を久しぶりに思い出しました。
今回プレイしたどのゲームも(筋肉は悲鳴を上げたけど)“最強”の感覚をしっかりと味わえます。やり終えた後は、“漢”として一段と成長したような気さえします。
(成長後の筆者)
基本的に室内で使用する器具なので、冷暖房の効いた部屋で快適に遊べるのがうれしいところ。1人で黙々とトレーニングするのが苦手な人には、かなりおすすめできると思います。
もちろんOculus Questは、スポーツ系のゲームばかりではありません。ゆったりリラックスできる動画を視聴したり、ホラーゲームで恐怖を味わったり、好きなVTuberの音楽ライブに参加したり、VRChatで友だちと遊んだり……。ライフスタイルや趣味に合わせて、さまざまな利用法があります。どんな使い方が自分にとって一番楽しいかを探してみるのもおすすめです。
というわけで、今回はOculus Questの“最強”レビューをお届けしました。皆さんもOculus QuestとVRゲームで最強になりましょう。“最強”への道はすぐそこです。