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VRゲーム・アプリ 2025.03.21

VRChatやVRゲームに便利なPC接続アプリ「Virtual Desktop」使い方ガイド【2025年3月更新】

VRヘッドセットからPCを操作できるアプリ「Virtual Desktop」は、非常に便利なVRアプリのひとつです。Meta Quest 3Meta Quest 3SPICO 4(PICO 4 Ultra)といった一体型VRヘッドセットなどで、PC向けVRゲームを遊んだり、バーチャル空間からPCで作業したりできます。

今回は、そんな「Virtual Desktop」の使い方や、どんなことができるのかを紹介していきます。

目次

・「Virtual Desktop」ってなに?
・より高クオリティなVRゲーム・メタバース体験が楽しめる
・セットアップ方法:PCVRゲームで遊ぶまで
・非VRゲームの体験もいつもとは一味違う
・上手く使えばPC作業もできる!
・幅広い環境やカスタマイズに対応
・より没入感を向上させるハンドトラッキング操作
・「Virtual Desktop」以外でVRからPCを操作する方法
・持っていて損はなし! 様々な使い道のあるアプリ
・ソフトウェア概要

「Virtual Desktop」ってなに?

Virtual Desktop」は、PCと自分のVRヘッドセットを同期させ、バーチャル空間内にデスクトップ環境を映し出したり、PC向けのVRサービスを体験できるようにする有料アプリです(Quest公式ストア:2,490円、PICOストア:2,208円、VIVEPORT:3,947円※価格は時期により変動する場合があります)。

対応VRヘッドセットは、Meta Questシリーズ、PICOシリーズ(PICO Neo 3 Link、PICO 4、PICO 4 Ultraなど)、Valve Index、HTC VIVEシリーズなど。公式サイトQuest公式ストアVIVEPORTなどからダウンロード可能です。

後述するアプリでも同様の機能を有したものがありますが「Virtual Desktop」の場合は、安定的に動作する点や、設定画面で細かな調整ができる点が、PCVRユーザーより好評となっています(Meta Questストアでは評価9,725件、レビュー4,714件で、5つ星評価のなかで4.3)。

なお、Steamにある「Virtual Desktop」はclassicと呼ばれるもので、Meta QuestやPICOに対応するワイヤレス版とは異なるアプリとなります。対応デバイスが異なるため、詳細は公式サイトを確認ください。今回の記事では、ケーブル接続を不要とするワイヤレス版「Virtual Desktop」を紹介します。

より高クオリティなVRゲーム・メタバース体験が楽しめる

「Virtual Desktop」では、PC向けのVRゲームが遊べます。一体型VRヘッドセットでは通常、本体スペックに最適化された(グラフィックや機能などがPCVRゲーム以上ではない)ものしか遊べません。しかし、このアプリを使えば、例えばPCVR向け「VRChat」や「Half-Life: Alyx」といった、ハイエンドなゲームやアプリを利用できます。

また「SteamVR」と組み合わせて利用すれば、他のVRゲームをプレイ中に(「SteamVR」のダッシュボード画面で)いつでも自分のデスクトップ画面をチェックできます。

セットアップ方法:PCVRゲームを遊ぶまで

実際に「Virtual Desktop」を使うための準備やセットアップ、設定方法を説明していきます。今回はMeta Questシリーズ版の使用方法を解説します。

注意しておくべきは、VRヘッドセット側にインストールしたソフトだけでは動作しないという点です。公式サイトで配信されている「ストリーマーアプリ(Streamer App)」をPC側にインストールし、Metaや、PICO、VIVEPORTなど、各デバイスのユーザー名を登録しなければなりません。

「ストリーマーアプリ」を起動すると、下記のようなウィンドウが表示されます。「ACCOUNTS」を選択後に表示される入力欄に、自分のユーザー名を入れれば準備完了です。ユーザー名が分からない場合は、Meta公式サイトなど、対応するプロフィールページから確認できます。


(この入力欄の対応する場所にユーザー名を入力後、Saveを選択。これで初期設定は完了です)

ユーザー名を入力した後は、ヘッドセット側のアプリを立ち上げます。認証が完了すれば、自動的に接続され、PCのデスクトップ画面がVRヘッドセットのディスプレイに表示されます。


(Quest版のメニュー画面。上手く接続できれば、この後デスクトップ画面に移行します)

アプリを起動後、メニューからゲームを直接選択するか、「SteamVR」を立ち上げて、所有しているVRゲームを遊べます。「Virtual Desktop」側の追加設定などは必要ありません。

非VRゲームの体験もいつもとは一味違う


非VRゲーム「OPUS 星歌の響き」をVR内で表示した様子

「Virtual Desktop」を使えば、実質VRヘッドセットをPCモニターのように活用できます。そのため非VRゲームであっても、スクリーンに映し出して遊ぶことができます(※このモードを使用しても、平面のゲームがVR化したり立体的に変更されたりはしません)

この状態では「映画を操作して遊んでいる感覚」と言えばいいでしょうか、普段なら目に入る自宅の内装を視界からシャットアウトできるので、没入感が大きく高まります。FPSやアクションゲームなど、ラグを気にするタイプのアクションゲームでは使いにくいかもしれませんが、雰囲気を楽しむタイプのウォーキングシミュレーターにはぴったりです。

上手く使えばPC作業もできる!

PC画面をVR側で表示できる「リモートデスクトップ」機能も「Virtual Desktop」の大きな特長です。接続したPCのデスクトップ画面を、そのままVRヘッドセット側に表示し、ブラウザを開いて調べごとをしたり、YouTubeやNetflixの視聴したりもできます。

画面は表示するだけでなく、VR側から操作できます。ヘッドセットに付属するハンドコントローラーのほか、PCに繋いだマウスとキーボードも使えます。

そのため、PC作業が行えるのもポイント。キーボード入力はPCとほぼ同じ速度で書ける感覚でした。上記画像はVR中の湾曲ディスプレイを撮影したものですが体験中は、もっと鮮明に文字が見えます。


(セットアップ参考動画)

また、Meta Quest 3のようなMRモードに対応しているVRヘッドセットの場合、“デスクポータル機能”を使用して、現実の机の上をそのまま表示できます。この機能を使う場合、「Virtual Desktop」のINPUTメニューで、“Create Desk Portal”を選択。ハンドコントローラーの周辺も“リアル状況”が表示されるので、パススルーの範囲を決定します。

幅広い環境やカスタマイズに対応

「Virtual Desktop」では、PCを複数台接続できます。OSはWindowsとMacの両方に対応しており、切り替えながら作業を行えます。

ディスプレイの表示は様々なカスタマイズができます。サイズや位置、曲がり具合、自分の頭の動きに追従するか否かなど、快適な利用環境を設定できます。背景を宇宙や映画館などに入れ替えたりも可能です。

また、マルチモニター環境でPCを使用している場合は、バーチャル空間に複数のディスプレイを表示することができます。バーチャルなディスプレイの数は、Meta Quest 3で最大3枚、Meta Quest 2、Meta Quest Pro、Pico 4、Vive XR Eliteなどで、最大2枚まで設置できます。作業しながらYouTubeを視聴したり、PCゲームで遊んだりしたい場合に、とても便利な機能と言えます。

ディスプレイを追加するためには、(メイン)ディスプレイ下に表示される画面メニューから“Add Monitor”を選択します。追加ディスプレイには、サブモニターの映像が表示されますが、メニューから切り替えることもできます。


(このボタンを選択すると、追加ディスプレイが表示)


(ディスプレイを2つ並べてみた図)


(Virtual Desktop内の仮想環境によっては、より“サブモニター”風の配置にすることも)

より没入感を向上させるハンドトラッキング操作

Meta Questシリーズで「Virtual Desktop」を使用する場合、一部VRゲーム内での、ハンドトラッキング操作を有効にすることができます。通常、VRヘッドセットでは付属コントローラーを使って操作しますが、同機能をONにすると、手の動きで各種入力を行えます。

ハンドトラッキングを使用する場合は、設定欄の“INPUT”内にある「Hand Tracking」を有効にします。


(この項目を有効にすると、ハンドトラッキングが使用可能に)

設定を有効にした後、対応ゲームをプレイ中にコントローラーから手を放すと、操作がハンドトラッキングに切り替わります。

例えば「VRChat」では、ハンドトラッキングを有効にすると、アバターと自分の両手の動きを同期し、「拍手」や「両手をくっつける」といった動作も簡単にできます。


(ハンドトラッキングを使って「VRChat」をプレイする様子)

動きを更に細やかに!“トラッカーエミュレート”機能

「VRChat」などのソーシャルVRを遊ぶ際には、「VIVEトラッカー」の“エミュレート”機能を使用することで、アバターをより正確に動かすことができます。

Meta Questシリーズで「VRChat」を遊ぶ場合、頭部(Quest本体)と両腕(コントローラー)の位置と動きが、アバターに反映されます。その他の部位は、あらかじめアバターに設定されたアニメーションに従って動作します。そのためフルトラッキングを目指す場合は、その他の部位(肘や胸、下半身など)に外部トラッカーを装着して、「VRChat」に動きを反映させる仕組みとなっています。

「Virtual Desktop」の「VIVEトラッカー」エミュレート機能は、これらのトラッカーを仮想的に(データ上で)再現して、疑似的に動きを再現するシステムです。起動すると、アバターの肘や胸といった部位を、現実と同じように動かすことができます。

エミュレート機能をオンにするために、「Virtual Desktop」のVR側メニューからStreaming欄を開いた後、「Foward traking data to PC」を選び「Emulate SteamVR Vive trackers」を有効化します。「SteamVR」を起動した際に、「VIVEトラッカー」のマークが表示されていればOKです。

詳細は下記の記事を確認ください。

「Virtual Desktop」以外でVRからPCを操作する方法

VRヘッドセットからPCを操作する方法は他にもあります。

Meta Questシリーズの場合

Meta Questシリーズの場合は、公式の無線接続で、PC向けVRゲームが遊べるシステム「Air Link」が利用可能です。ただし同機能は、快適に利用するための動作条件(下記)がやや厳しめ。筆者の環境では「Virtual Desktop」はスムーズに動くのですが「Air Link」では、起動直後からガタガタになってしまいます。PCのスペックや通信環境に合わせて「Virtual Desktop」と使い分けると良いでしょう(PCとVRヘッドセットを有線ケーブルで接続する「Quest Link」を試すのも方法のひとつです)。

(Quest版「Virtual Desktop」の動作条件)

・PCとWi-FiルーターがLANケーブルで接続されている(有線接続である)こと
・Wi-Fiの帯域:5GHz(ac)

(「Air Link」の動作条件)

・Air Linkの有効範囲:Wi-Fiルーターから20フィート(約6メートル)以内
・ルーターの設置場所:ヘッドセットと直線上で遮るものがなく、床から1メートル以上の高さ
・Wi-Fiの帯域:5GHz(acもしくはax)
・Quest Linkの動作要件を満たすスペックのPC
・PCとWi-FiルーターがLANケーブルで接続されている(有線接続である)こと。

ほかにも「Steam Link」や「ALVR」という無料アプリもありますが、こちらは「SteamVR」のコンテンツをメインに利用するという方におすすめです。

VIVEシリーズの場合

VIVEシリーズでは、「Virtual Desktop」のほか、「Vive Streaming Hub」を使用でき、PCとのワイヤレス接続を行えます。使用するためには、「SteamVR」と「Vive Streaming Hub」をPC側に事前インストールし、PCとVIVEシリーズを同じネットワークに接続する必要があります。「VIVE ストリーミングソフトウェア」をPC側で起動した後、デバイス側の設定欄から「コンピューター接続」を選択。自分のパソコンを選ぶことでPCディスプレイにQRコードが表示されます。このコードをヘッドセットで読み取ると接続が完了します。

「Vive Streaming Hub」を使用した接続では、PC側にインストールされているVRアプリは遊べますが、仮想デスクトップ機能やSteamへのアクセスなどは行えません。「Virtual Desktop」の方が、利便性は高いと言えます。

PICO 4の場合

PICO 4の場合は、ワイヤレス接続アプリ「Streaming Assistant」が用意されています。接続条件は、同じWi-Fi(5GHz以上)にPCおよび「PICO 4」を接続すること。アプリ自体のダウンロードは無料です。

性能の比較ですが、基本的な画質は「Virtual Desktop」の方が良い印象。「Virtual Desktop」は全体的に映像がはっきりと見えるのに対し、「Streaming Assistant」は若干ぼやけるように見えます。この映像クオリティの差は、特に高精細なオブジェクトが映るVRゲームで感じやすくなります。

コストを優先する場合は「Streaming Assistant」。より高品質なワイヤレスVR体験を楽しみたい場合は、「Virtual Desktop」を選ぶと良いでしょう。

持っていて損はなし! 様々な使い道のあるアプリ

「Virtual Desktop」は、2025年現在の目線から見ても、利便性の高い、DLして損はないアプリです。VIVE XR EliteやPICO 4の場合も、「Virtual Desktop」を購入することで、より品質の高いワイヤレス接続方法を確保することができます。

また、リモートデスクトップ機能は、様々な作業や遊びで活用できます。アップデートも精力的に続けられている本アプリ。まだ所有していない人は、ダウンロードを検討してみてはどうでしょうか。

ソフトウェア概要

タイトル Virtual Desktop
発売・開発元 Virtual Desktop, Inc.
対応ヘッドセット Meta Quest(Quest 2、Quest 3、Quest 3S、Quest Pro)、PICO 4、PICO 4 Ultra、VIVE XR Elite、Valve Index、HTC VIVEシリーズなど
プレイ人数 1人
ダウンロード(税込) Quest公式ストア(2,490円)、VIVEPORT(3,947円)、PICOストア(2,208円)※2025年3月現在、金額は時期により変更する場合があります。
公式サイト https://www.vrdesktop.net/

執筆:井文


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