株式会社日建設計と株式会社ホロラボは共同で、MRオフィスアプリのプロトタイプを開発したと発表しました。
公式発表によると、このアプリを使えば、オフィスワーカー(出勤者)はARデバイスでテレワーカー(在宅勤務者)のアバターと、テレワーカーはVRデバイスでオフィスワーカーのアバターと、それぞれ交流できます。2022年夏の実証実験で実用性が確認され、今後は顧客へも提供予定とのことです。
VRとARを組み合わせたシステム
このアプリのVR空間は、オフィスのBIM(Building Information Modelling)データをもとに構築。そして、VRでもARでもアバターは身振り・手振りが反映されます。各種データを人感センサーから得た屋内位置情報とリアルタイムにAPI連携し、オンラインゲームなどに使われている仕組みを使用することで、高精度のコミュニケーションを可能としています。
VRデバイスからのテレワーカーの視点(出所:日建設計、以下同じ)
現実と仮想が等価に融合したオフィスを目指して
今回の取り組みは、新型コロナウイルスの蔓延を背景とし、両者が考える将来構想「Cyber-Physical Workplace(以下「CPW」)」の実現に向けた研究開発です。「CPW」とは、現実のオフィスと仮想のオフィスが等価に融合したワークプレイス(職場)の未来像。MR技術でテレワークの孤独感を解消し、偶発的な出会いや非言語コミュニケーションを誘発することを狙っています。
日建設計は、2020年秋から職場の一角に様々なセンサー・ネットワーク機器を設置し、オフィスビルの多様な属性データを収集するなど(参考)、ビルマネジメントにおける「ヒト起点」のデータ活用に取り組んできました。ホロラボは、Windows Mixed Realityに代表される最新のMR技術を活かして、地図データ、人流データ、3D都市データといったさまざまな地理空間情報を複合した研究開発を行っています。
1900年創業の老舗企業と2007年創業のテックベンチャーが協業する今回の取り組み。2022年8月に行った実証実験では、試作アプリの実用性が確認されたとのこと。今後はアプリの機能を強化し、顧客へも提供予定。関連する技術開発をつづけ、企画提案・コンサルティングの強化を図るとのことです。
参考:日建設計