2021年10月、Facebookはメタバースをコアとする構想を掲げ、社名を「Meta(Meta Platforms, Inc.)」へ変更しました。この新社名にまつわる権利をめぐり、もうひとつの「META」が訴えを起こしています。
(※以下、本記事では二社の混同を防ぐため、「Meta」を「旧Facebook」と表記します。また、MetaXによるプレスリリースでは、一貫して「Facebook」と呼称されています)
VRやアートを手掛ける「MetaX」
旧Facebookに対する訴訟を起こしたのは、2010年創業の米国企業「MetaX」です。同社はVRのような没入型アートを手掛けており、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)や大規模音楽フェスのコーチェラ・フェスティバルへの出展も行っています。なお、これらの出展を行った際、同社の名称は「META」でした。
(画像: MetaX)
MetaXの訴訟内容によると、旧Facebookが現在目指す事業は「METAがその社名、ロゴの元行ってきた内容と同一である」とのこと。すなわち、同じイベントや場を通じ、同じクリエイターや企業と共に没入型の体験を提供しているということです。そして社名変更に伴い、消費者はMETAの商品やサービスが旧Facebookから提供されている、或いはMetaX LLCが旧Facebook傘下の企業であると誤認しやすくなる、と主張しています。
旧Facebookが「コミュニティを破壊」
「Facebookは当社のようなベンチャー企業の事業だけでなく、我々が過去10年間で勝ち取ってきた評判まで奪おうとしています。Facebookの社名変更、そして我々の法的な権利を全く無視した行為は、当社、そして当社が何年も支持し協業してきた個人やアーティスト、産業界、業界の卓越した人々の中に、懸念を生じさせています」——MetaXの創業者でありCEOの、Justin “JB” Bolognino氏はこう語りました。
Bolognino氏は、「Facebookはまるで、METAが作り上げてきたコミュニティを破壊し、業界を侵略し、我々を抹消するのが当然の自由であるかのようにふるまっています。しかし当社は、Facebookの目に余る違法行為に対して、立ち上がります」と苛烈な言葉を続けています。
なおMetaXは、かつてARヘッドセットを開発していたMeta Company(2019年に破産が報じられ、のち「Meta View」として再出発、社名をCampfireに変更)とは無関係の企業です。
ロイターによれば、旧Facebookは本件へのコメント依頼に応じていません。
(参考)PR Newswire、MetaX