フランスのスタートアップLYNXは、同社が開発中のMRヘッドセット「Lynx R1」の“リデザインモデル”を発表しました。「Lynx R1」は、VRとARの両方の機能を併せ持つヘッドセット。今回お披露目された画像からは、2020年2月に公開されたモデルと比較して、デバイス本体がさらに小型化されたことが確認できます。
「Lynx R1」は、Qualcomm(クアルコム)の5G対応の新型チップセット「Snapdragon XR2」を搭載。(VRのような)ディスプレイと、ビデオパススルーによるARの両立を実現しており、これ(両機能の両立)が“MRヘッドセット”という名称の由来となっています。ハンドトラッキングやアイトラッキングにも対応する予定です。
「Lynx R1」は、初期のモデルの時点で、現行のVR(MR)ヘッドセットと比べてサイズが小型化されていました。LYNX社によれば、小型化は新たな“光折り畳み(light folding)”光学技術によって実現したとのこと。この技術は、ヘッドセット内部でレンズとディスプレイの設置距離を短縮するだけでなく、レンズの中央にアイトラッキング用のカメラが“隠れて”います。
米メディアRoad to VRによれば、新デザインはFOV(視野角)の最大化を目的としているとのこと。小型化は、ヘッドセット前面に搭載されたカメラ(トラッキング、パススルー用)の省サイズ化や、一部コンポーネントを、ヘッドセット後部に移動させた結果、実現されたと思われます。
パススルーがFOVに貢献
「Lynx R1」は、先述した通りパススルーカメラが認識した現実の映像に、バーチャルなものを重ねることでARを実現ます。これは、HoloLens 2やMagic Leap 1など多くの(透過ディスプレイを使用する)ARデバイスとは異なるアプローチで、Varjo XR-1などで採用されています。視野角の拡大に貢献します。
“パススルーAR”は、このほかにも不透明度や明るさなどの調整が容易な一方、透過ディスプレイと比較すると、解像度が低いという欠点が存在します。なお、「Lynx R1」は、VRモードではガスケット(レンズを覆うカバー)を装着して、ARモードではガスケットを取り外した状態で使用します。
ハードウェア概要
2020年7月26日現在、判明している「Lynx R1」のスペックは以下の通りです。
ディスプレイ解像度 |
1,600 × 1,600 (片目/液晶ディスプレイ) |
FOV |
90度 |
リフレッシュレート |
90Hz |
チップセット |
Qualcomm Snapdragon XR2 |
メモリー |
6GB RAM (LPDDR5) |
ストレージ |
128GB(追加のマイクロSDにも対応) |
バッテリー連続使用時間 |
3時間 |
接続 |
USB-C, Wi-Fi 6, Bluetooth 5 |
その他 |
アイトラッキング、ハンドトラッキング対応。IPD(瞳孔間距離)の物理的な変更機能搭載。3DoFか6DoF対応のハンドコントローラーを使用可能 |
「Lynx R1」は現在、公式サイトで予約受付中。価格は1,500ドル(約16万円)です。出荷予定日は2020年9月。当初は夏期に発売される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響によって、予定が変更されました。
(参考)Road to VR
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