フランスのスタートアップLYNXは、2019年時点で200万ドル(約2.2億円)の資金調達を行ったことを明らかにしました。同社は2020年夏、一体型MRヘッドセットの発売を控えています。
2019年創業、翌年デバイス発売
LYNXは、VRとARの両機能が使用できる一体型MRヘッドセット「Lynx R1」を開発しています。2020年2月に正式披露を行い、1,500ドル(約16万円)で同年夏頃の発売予定です。
LYNX社の創業(2019年)からわずか1年足らずでのリリースとなったこのデバイス。メディアRoad to VRは同社創業者のStan Larroque氏にインタビューし、ヘッドセットの詳細や開発の舞台裏に迫りました。
早期リリースの秘密は?
「Lynx R1」の早期リリースを可能としたのは、Qualcomm(クアルコム)のアクセラレータプログラムとXR向けのSDKです。特にSDKはトラッキングといったデバイスの核となる機能を実現しており、一からアプリケーション開発を行うことに比してアドバンテージがあります。
Larroque氏によれば、「Lynx R1」のOSはAndroid 10、今後はQualcomm XR SDKをベースとした独自のSDKをリリース予定。そしてVRの標準仕様として策定が進むOpenXRへの対応を計画、「Lynx R1」向けコンテンツの拡充を図ります。またLarroque氏は、ハイエンドコンテンツを体験する場合はPCに接続し、処理能力を挙げることが可能だと話しました。
特長はオリジナルのレンズ
「Lynx R1」の特長のひとつとして、ユニークなレンズが挙げられます。ディスプレイと目の距離を短縮可能なため、ヘッドセットのコンパクト化に繋がります。またアイトラッキング用の内蔵カメラをレンズの中心に据えることができ、より正確な視線追跡が実現するとのこと。
さらにLarroque氏はレンズの利点として、スーパーサンプリングを挙げました。画像を四分割しレンズ内で再合成することで、重なる部分の鮮明さを向上させるものです。
このように複雑に見える「Lynx R1」のレンズですが、同氏は「設計は困難だが製造はそうでない」と説明。価格には大きな影響はない、という見方も示しました。
ディスプレイに関しては、ジャパンディスプレイが2020年2月に量産開始した、高精細VR液晶ディスプレイを採用予定であることを明らかにしています。
「Lynx R1」は、公式ウェブサイトにてプレオーダーを受付中です。
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(参考)Road to VR