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テック 2021.06.18

マイクロディスプレイのKopinから新型レンズ、VRデバイスのさらなる軽量化につながるか

VRヘッドセットの小型軽量化は、現在も多くのデバイスメーカーにとって大きな課題となっています。この課題解決に向け、マイクロディスプレイ等を手掛けるKopin社は新技術として100%プラスチック製のパンケーキレンズの発表を行いました。

フレネルレンズの課題を解決する「パンケーキ」

まず、パンケーキレンズとはどのようなものでしょうか? 現在のVRヘッドセットの多くは、フレネルレンズを採用しています。これはレンズ上に同心円状の溝が刻まれ、断面がノコギリ状になっているレンズで、一般的なレンズと比較すれば軽量かつ薄型となっています。

他方でスマートフォン程度の大きさのディスプレイとフレネルレンズを合わせて使うためには、レンズとディスプレイ間をの距離を取る必要があり、筐体が大型化しがちです。

ディスプレイとレンズ間を縮小

これに対してパンケーキレンズは、レンズとディスプレイをより近づけて配置することができます。したがって、デバイスを小型化することが可能です。この「パンケーキレンズ」を作る技術自体は新しいものではなく、研究所や軍事では数十年前から利用されています。またVRヘッドセットとしても、古くは2015年にeMaginが、2017年にはKopin自身もプロトタイプを発表してきました。

その後もHuawei、Pico、Panasonicらがパンケーキレンズを採用した小型デバイスを発表しており、トラッキングシステムやバッテリーを除いた重量は150グラム程度まで抑えられています。

小型軽量化を実現

今回発表されたKopinの新型パンケーキレンズ「P95」は、2つのプラスチックエレメントを採用。同社によれば、この”大きなブレイクスルー”により、残像の問題もほぼ解決されたとのこと。「既存製品に比較して、高画質、さらなる小型化、軽量化、そして低価格化を実現した」と言います。

では今後、世の中のVRヘッドセットは全てP95の光学系を採用するのでしょうか? 答えは恐らく「ノー」です。パンケーキレンズの光学効率は非常に低く、ほぼ全ての光を遮断してしまいます。通常のディスプレイでは薄暗く色も不鮮明になり、対策としてディスプレイの輝度を上げると、今度は消費電力が大きくなります。消費電力の増大は、バッテリーサイズの大型化に繋がります。さらにこのレンズでは、視野角も限定的です、Kopinによれば、P95の視野角は対角で95度。一般的なコンシューマー向けVRヘッドセットと比較して、2割程度狭くなっています。

Kopinによれば、新型レンズに関する複数の特許を提出し、”デザインインパートナー”が現時点で1社いるとのこと。具体的な計画については明らかにしないものの、実用化に向けていることが見て取られます。

(参考)Upload VR


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