現在、VR体験中に自分の体を見たり、周りの現実世界の人や物を見ることは困難です。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)に所属するIMVERSEのメンバーは5年間VR空間に実物を取り入れる技術を開発しており、1月に行われたサンダンス映画祭で一般向けにデモを行いました。
IMVERSEが開発する複合現実感描画エンジン
IMVERSEはVR空間に自分の足や腕、周りの現実世界を取り込むためのリアルタイム複合現実感描画エンジンを開発しています。サンダンス映画祭で公開されたデモを見ると、まだ人物の境界の処理や解像度、遅延など課題はありますが、確かにVR空間の中に実物の体が見えています。下記動画の終盤では、目の前にいる相手もVR空間に表れて握手を交わす様子が分かります。
このデモ環境を支えているのは、囲むように配置されたKinectです。各Kinectから取得されたRGB画像と距離画像を元にIMVERSEが開発しているソフトウェア「LiveMaker」を用いて人の体のモデルをリアルタイムで作成しVR空間で表示します。
今までのコントローラーとは異なるより存在感を持つことができる
TechCrunchの記者が体験したところによると、今までのハンドコントローラーやトラッカーを用いて手や足を表示するとどうしてもVR空間内では浮いた存在になってしまっていたのが、IMVERSEはまさに自分がその場にいるという実在感があったと話しています。
IMVERSEが開発しているソフトウェア「LiveMaker」は、共同創設者のBello Ruiz氏が「Photoshop for VR」と呼んでおり、ヘッドセットを被りながらVRコンテンツを編集して作成できます。このソフトウェアは映画スタジオがVR映画を作る際に使うだけでなく、マーケティングや不動産会社、数学的なシミュレーションにも用いることができるとしています。
IMVERSEはコアメンバーは4人。すでに40万ドルを調達しており、さらにシリーズAで数百万ドル規模の資金調達を目指しています。
(参考)
Imverse’s groundbreaking mixed reality renders you inside VR / TechCrunch(英語)
https://techcrunch.com/2018/01/30/imverse-mixed-reality/
IMVERSE公式サイト(英語)
https://www.imverse.ch/