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統計・データ 2019.06.28

2023年までにAR/VR市場は年間78%成長か、IDCが発表

リサーチ会社のIDC Japan株式会社は、AR/VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスの2023年までの市場予測(Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H2)を発表しました。地域や産業分野、ユースケース、テクノロジー別に、AR/VR関連支出等の予測が記載されています。

2018年から2023年にかけての年間平均成長率は78.3%

 

発表によれば、世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスを合計した支出額は、2018年の89億ドル(約9,600億円)から2019年は168.5億ドル(約1.8兆円)に。2023年には1,606.5億ドル(約17兆円)に達する見通しです。

2018年から2023年にかけての年間平均成長率(CAGR::Compound Annual Growth Rate)は78.3%と高い成長が見込まれています。これは昨年発表された2017から2022年にかけての年間平均成長率の71.6%よりも多い結果です。最も高い伸びが期待できるのは金融およびインフラであり、続いて製造業と公共部門がほぼ同レベルの成長率とのこと。

IDC Devices and Consumer Researchのグループバイスプレジデントであるトム・マイネリ氏は、「トレーニング、コラボレーション、デザイン、セールス、その他多数のユースケースを推進する方法として、VRに着目する企業の数は勢いを増している」とコメント。続けて、「ARのユースケースもまた、次世代のハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの登場で増加。ARはハンズフリー技術を必要とする第一線の労働者に新しい能力をもたらすからであり、多種多様な会社がこれに注目している」と語っています。

2023年にはトレーニング分野での支出が最多に

2023年のビジネス分野において、AR/VRに関する最大の支出ユースケースと予測されているのはトレーニング分野であり、その規模は84.7億ドル(約9,100億円)と予測されています。続いて、産業メンテナンス43.1億ドル(約4,600億円)、および小売・展示38.7億ドル(約4,200億円)となっています。

一方消費者向け分野では、2023年に「VRゲーム、VRビデオ/機能表示、ARゲーム」の3つの消費者向けユースケースが合計208億ドル(約2.2兆円)の支出が見込まれています。その他のユースケースとしては、実験室および実習用のAR、公共インフラ整備用のAR、および診断用途のARが含まれています。

ARがVRを上回る見通し

ハードウェアは、予測期間の全体を通してAR/VRの支出全体の半分以上を占め、ソフトウェアとサービスがそれに続いています。また、ARヘッドセットの年間平均成長率が189.2%と高いが続くため、2023年にはハードウェアカテゴリーで最大の支出分野になると見込まれています。

ARソフトウェアは、2022年までにVRソフトウェアの支出を上回り、テクノロジーカテゴリー中2番目の高成長となると推定されています。サービス支出は、ARコンサルティングサービス、ARカスタムアプリケーション開発、およびARシステム統合が力強い成長をすることで牽引する予測とのことです。

地域別は中国がトップに

地域別に見ると、中国は予測期間を通して最大のAR/VR支出が行われる地域となり、それにアメリカが続くと予測されています。2023年には中国・アメリカ両国の支出が全世界の3/4近くを占めるものとみられます。

一方日本の2018年のAR/VR関連市場支出は12.9億ドル(約1,400億円)、2019年は17.8億ドル(約1,900億円)、そして2023年は34.2億ドル(約3,700億円)の市場に成長すると予測されています。2018年から2023年までのCAGRは21.5%と予測。セクター別では、消費者部門が2023年には11.6億ドル(約1,300億円)と最大の市場である他、流通・サービス部門が10.8億ドルで続くとみられています。

日本は新たな市場の開拓が成長のカギか

国内の予測をユースケース別に見ると、2023年のトップはトレーニング用途の10.4億ドル(約1,100億円)ですが、2018年から2023年にかけてのCAGRは14.1%に留まるとみられ、新たな市場の開拓が求めらるとのことです。

また、産業分野別では消費者向けが2023年も引き続き11.6億ドルでトップであるとみられますが、組立製造やメディア関連がそれに続くものと予測されます。

これらに関して、IDC Japanアナリストの菅原啓氏は「トレーニング分野を中心にAR/VRの利用が拡大してきたとはいえ、現在の市場の成長見込みは海外の諸地域に比べて明らかに見劣りする状況に変わりはない。国内市場の現状に甘んじることなく、積極的なユースケースの開発とAR/VR新規使用者層の開拓を続けることが、今後の停滞を避ける唯一の道である」と提言しています。

(参考)IDC Japan株式会社 プレスリリース


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